脱ニートに向けて、そして不安。

 ニートになって1年と2ヶ月がたった。

 貯金も底を尽きかけている。さすがに働かないとやばい。

 ばあちゃんはゆっくり探したら良いと甘やかしてくれるが、僕自身がそうではいけないと思っている。

 確かにまだダラダラとした生活は捨てたがいけど、これ以上は自分をダメにするような気がしている。

 というのも、最初はゲームや読書、アニメや映画を観て自由な時間を謳歌していた。

 しかし、ここ最近はぼーっと過ごすことが増えてしまった。Twitterのタイムラインをスワイプするだけで数時間を使ってしまい、YouTubeで面白くもない動画をただただ眺めている。無気力な時間がかなり増えてしまった。

 僕が望んでいた自由はこんなものではない。

 だから、僕は働くことにした。


 そう決意したのは良いものの働くことの怖さに気が付いてしまう。

 求人誌をめくって適当な募集に付箋紙は貼ってマークしたりして仕事を探した。

 僕は飲食店の経験が長いので今度も飲食関係の仕事がしたいと思い、居酒屋のアルバイトからでも始めて見ようか?


 よし。面接を受ける職場は見つかった。それだけで疲れてしまったよ。

 今日はこのくらいにして後は明日履歴書を書こう。


 一日1ターン。


 一つの行動をするのに気力を使い果たしてしまい他のことができなくなってしまう。

 それはニートを経験したことがある人なら誰もが陥る事だ。


 翌日、僕は履歴書を書いた。それだけで今日は十分頑張っただろう。

 無理は良くない。


 さらに翌日。

 求人誌で見つけた近場の居酒屋に応募しようと電話をかけようとしたとき、

 胸がドキドキと苦しいくなっている事に気が付いた。

 今は電話対応したり事務的な会話ならそつなくこなせていたはずだ。でも、僕は今、電話にかなり緊張していた。

 動悸が止まらなくて部屋を歩き回り叫びたい衝動に駆られた。

 あ、僕はもうダメかもしれない。

 

 その日は結局電話をかけることすらできず、やる気も自信もなくなって不安だけが残っていた。

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