フィギュアと僕

 僕の趣味はフィギュア収集だ。

 美少女フィギュアから特撮ヒーローのフィギュアまで幅広く集めている。

 なぜ好きなのか?

 それは好きなキャラや憧れのヒーローが目の前にいるという感動を味わえるからだ。

 それは抱き枕カバーやポスターでは味わえない感覚だと思う。

 とはいえシンフォギアの抱き枕カバーを買いまくっているのだが……


 それはそうと、立体物として同じ次元に存在していることが大事なのだと僕は思う。

 光の当たり加減や見る方向で表情が変わり、

 架空の存在で触れることも話すこともできないが目の前にいる。好きなキャラが「ここにいる」という感覚が味わえる。


 僕は誰かを愛でるということに飢えているんだ。

 誰かを愛したいし触れ合いたい。それは人類共通の癒しだ。

 でも、人は傷つけあい、己の利益のために人を騙す。

 そんなものを愛でることは出来るだろうか? 素直に愛してると言えるだろうか?

 僕は人間が好きだ。でも、そのみんなが僕に理想を押し付けたり、こうしろああしろと要求してくる。それに応えることができれば苦労はしない。それができればきっと僕は人並みに好かれ、人並みに愛し、人並みに幸せだったはずだ。

 だけど僕にはそこまでの力量もなければ才能もなかった。

 誰かの罪を許して受け入れることができたらいいのにと思う。

 それは出来なかった。僕は集団で生きる生物として人として才能がなかったのだ。


 だから、僕は偶像を愛する。

 フィギュアは僕に何も求めないし傷つけないし裏切らない。

 ただそこにいるだけ。

 だらか僕も心置きなく愛することができる。


 それにだ、可愛い物は目に入れてもいたくないし、かっこいい物は心躍らせる。

 それらが常に目の前にあることはとても幸せだと僕は思っている。

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