第29話 花子,霊魂王の誕生

 霊媒師の花子が千雪の霊体を破損させてから1ヵ月が経過した。花子は,なんとか100mほど歩けるようになった。これも筋トレの結果だ。熱海温泉に予約をして,出発する日が来た。


 花子「葉子,準備できたの?」

 葉子「はー-い。準備OKですよ。でも,胸が邪魔で動きが鈍いですー-」

 花子「私はあなたの2倍量よ。限界をとうに超えているわ」

 葉子「お姉さま,見慣れると,なかなかいいものですよ。あ,タクシーが来ましたよ。では,乗り込みましょう」

 花子「そうね。では行きましょうか」


 花子と葉子は,タクシーに乗り込もうとした。しかし,この時,彼女らはマリアの転移魔法によって,千雪邸に転送された。位置特定魔法陣の再設置のタイミングだ。


 マリア「霊媒師さん,助手さん,ごきげんよう。いかがお過ごしでしたか?」

 花子「また,転送されたのね。タイミング悪いわね」

 マリア「そのスタイルだと,また温泉旅行ですか?いいわね」

 花子「そうよ。いつ殺されてもいいようにね」

 マリア「ふふふ。そうね。千雪が戻ってくるまでの命だものね。まあ,せいぜい楽しんでちょうだい。お二人さん,全裸になって,この床に横たわってちょうだい。位置特定魔法陣をもう一度設置しないといけないから」


 花子と葉子は,さっさと全裸になった。さっさと言うことを聞いて,帰してもらうためだ。マリアは,手際よく位置特定魔法陣を再設置した。禁呪はもう不要だし,それに,マリアは禁呪を使えない。


 マリアの隣には,リンリンがいた。


 リンリンは,花子と葉子の裸体を写真に何枚も収めた。花子は,リンリンとは面識がない。


 花子「ちょっとあんた!人の裸体を勝ってに写真とってるんじゃないわよ!!」

 リンリン「そんな口のききかたしていいの?千雪様にいいけてあげるわよ」


 ここで言う千雪様とは,千雪人形のことだ。


 花子「そんなのわかっているわよ。本物の千雪が戻ってきたら,私の命がないってことくらい知っているわよ。何?あんたの言うこと聞いたら,本物の千雪に私たちの命乞いでもしてくれるの?」

 リンリン「そうね。あなたが教団の役に立つなら,千雪さまにお願いしてもいいわ」

 花子「じゃあ,何をすればいいのかしら?」

 リンリン「あなたの体がラブドールのモデルになれるかどうかが決め手ね。うまく採用されて,それなりの利益がでるんだったら,少しは長生きできるかもね」

 花子「少しでも長生きできるんだったら,なんでもするわ。なからず千雪にわたしたちの命乞いをお願いしないさいよ!」

 リンリン「もちろんするわ」


 リンリンは,ラブドールの社長に連絡し,面談の約束を取り付けた。


 リンリン「ラブドールの社長と面談の約束できたわ。今から打合せにいくわよ」


 リンリンは,タクシーで花子と葉子を連れてラブドールの会社に出向いた。


 リンリン「社長,急なアポをお願いしてすいません。香奈子から紹介を受けたリンリンです。千雪さまの廉価版ラブドールが好調なので,第2段のラブドールのヒット作を出したいと考えています。今回は,高級路線でいきたいと思います。そのモデル候補を連れてきました。採用していただけるかどうか検討願いたいと思いまして」


 社長「そうでしたか。千雪さんのラブドールは,ほんとうに評判がよくて,こちらもなんとかこれまでの赤字を取り戻すことができそうです。それで,モデル候補は,こちらのかたですか?」


 リンリンは,花子の肩を軽く叩いて,社長に返事した。


 リンリン「はい,こちらの女性です。彼女は,胸の重量が40kgもあるのです。写真がこちらです。ご覧ください」


 リンリンは,タブレットに花子の超巨乳の映像を映し出した。社長は,それを見て,思わずうなった」


 社長「ほほう,これは,これは」


 そう言って,しばらく考え込んだ。そして,重い口を開けた。


 社長「今の率直な感想としては,これだけの超巨乳となると,一般受けは難しいです。高級路線で,リアルラブドールを100万円くらいで販売したとして,月に1,2体売れるかどうかでしょうね」

 リンリン「社長がそのようにおっしゃるのはわかっていました。ですが,私も彼女も必死です。たとえば,彼女のリアルラブドールを100万円で購入してくる人には,彼女と1時間デートできて,彼女の裸体の撮影もOKとかいう特典を付けるのはどうでしょう。日本中どこへでも運びます」

 花子「え?私,なにも聞いていないのですけど」


 リンリンは,花子の耳元でささやいた。


 リンリン「命乞いしてあげるから。私の言う通りしなさい」

 それを言われると,花子は下を向いて黙った。


 社長「それでしたら,私どもは,メーカーに徹します。そちらで営業販売されてはどうでしょうか?高品質となりますと,1体50万円ではいかがでしょう。最低ロット200体で注文を受けつけます。3回の注文をしてもらうことが追加条件になります。こちらもそれでぎりぎり採算がとれるレベルです」


 リンリン「こちら側で営業活動をしていくのですね?それもいいかもしれません。わかりました。初回ロットの200体を購入しましょう。高精度に仕上げてください。彼女の隅々まで写真をとって,等身大のリアルラブドールでお願いします」

 社長「即断ですね。わかりました。ではモデルの3Dスキャンと写真撮影を行います。どうぞこちらに来てください」


 花子は,裸体を3Dスキャンされて,かつさまざまな方面から写真撮影された。リンリンには,勝算があった。無料で雇える営業員が2人もいるのだ。花子と葉子だ。ラブドールの販売店をこまめに廻って営業展開をしてもらうだけのことだ。


 スキャンと撮影が終わった。初期ロット200体は,1ヶ月後の納品だ。3Dプリンターがあるので,納期は大幅に短縮できる。


 千雪邸に戻ったリンリンは,花子と葉子に,机,パソコン,携帯,iPadを貸与した。さらに名刺も準備した。新しい会社名だ。雪美人形専門店とした。社長はリンリン,営業部長が花子,営業課長が葉子だ。


 リンリン「花子,葉子,いいですか。あなた方の命は,千雪お姉さまが戻るまでの命です。ですが,リアルラブドールをまずは200体,最終的に600体を売りさばかなくてはなりません。少なくとも末端価格100万円,小売店には80万円くらいで販売してください。顧客に直接販売する場合は,花子や葉子のデート付き,ヌード写真撮影付き,エッチ付きでもなんでもいいです。売りまくってください。販売が完了し,利益が5億円に達したら,千雪お姉さまに,命乞いをお願いしてあげます


 ホームページを作る会社には,私から連絡します。販売戦略のアイデアがまとまったら,その会社と打ち合わせしてください。ホームページの経費はこちらでカバーします。


 花子「わかりました。今は,それしかないですね。あなたの言葉を信じます。少しでも延命できるなら,かんばるしかないです」

 リンリン「教団信者用の宿泊施設に,まだ部屋があまっています。そこに住みたいなら,いまからでも住んでかまいません。食堂もあるので,自由に食べていいです。無料で提供します」

 花子「ではそうさせてもらいます」


 この日から,花子と葉子は,というより,葉子がひとりで,リアルラブドールの販売戦略を考えて,1週間後に,ホームページ制作会社と第1回目の打合せを行い,その次の週には,簡易ながらホームページが出来た。

 

 葉子「お姉さん,もう,好き,嫌いを言っている場合ではありません。すべてを曝け出しましょう。youtubeでは,ビキニ姿をさらけ出しましょう。自分のホームページでは,ヌードを曝け出しましょう。それと,思い切って,ラブドール1体を200万円で販売しましょう。買ってくれる人たちには,私たちのヌード撮影会の参加券を販売しましょう。その撮影会は,毎週1回,北海道,東北,関東,関西,九州で開催すればいいと思います。わたしたちの負担も少ないですし」


 花子は,もう何でも好きにしてという開き直りの態度だ。


 花子「葉子,どんどん,計画を立案して,実行してちょうだい。文句は言わないわ」


 花子のその超巨乳は,さすがに絶大なインパクトがあった。


 花子の水着姿のyoutubeは,何本も撮られて,すぐにアップロードされた。かつ,宣伝費用100万円を投じた。ラブドールの宣伝動画も作成して流した。花子のホームページも作られ,ラブドールの販売ベージも準備された。


 youtubeの再生回数は,すぐに50万回を突破。100万回突破も視野に入った。ホームページへの誘導がスムーズに行き,ラブドールの販売予約が200体どころか,1000体に達してしまった。


 まだ商品が完成していないのに,入金がどんどんと進み,1人200万円で1000人,合計20億円の入金が入ってしまった。客から,商品は後でいいから,ヌード撮影会を先行して開催してほしいという要望が続出した。やむなく,葉子は,リンリンの許可を取って,関東のある民間の貸し会議室を借りて,急遽写真撮影会を開催した。


 リンリンは,ヌード撮影会を開催することを,誰にも報告しなかった。報告したところで,誰も気にしなかっただろう。



 ー 関西の民間貸し部屋 ー


 関西の民間貸し部屋では,花子のヌード撮影会が開催されていた。受付は,葉子が対応した。

200人がどっと会議室に入ったので,撮影者たちが,率先して,50人ずつ,30分交代して,撮影することになった。


 撮影が順調に進んでいる頃,ある撮影者が,花子にあるお願いをした。


 「あの,花子さん,その爆乳に,ちょっとでいいので,触っていいですか?200万円も出したんですから,ちょっとでも,触りたいんですけど」


 この提案に,回りの撮影者は,『そうだ!そうだ!触らせてください,花子さん!!ちょっとでいいです!!』という声の合唱が響いた。撮影者は,200万円でラブドールを予約購入した客でもある。


 花子も,そう言われては,抵抗することはできない。それに,花子の体には禁呪などはもう施されていないはずなので,花子は同意した。触られたくらいで減るものではないし,千雪人形に,さんざん犯された身分だ。人に触られることに,あまり抵抗はない。


 でも,相手の顔を見るのはいやなので,背後から,顔が見えないように,後ろからおっぱいや乳首を触ってもらうことにした。20秒にした。


 時間を計るのは葉子だ。


 葉子「はい,次の方,どうぞ。20秒間ですよ。どこを触ってもいいですけど,股間は止めてくださいね。背中部分は,いくらでもキスしてもいいですよ」

 

 20秒後,,


 葉子「あら?お客さんは,おっぱい,乳首,お腹,お尻,それに,指をあそこに入れようとしましたね。厳重注意ですよ」

 客「へへへ。ついつい,できごころで。でも,いい,肌してますな」

 葉子「ふふふ。あとで,メール連絡してください。気が向いたら,100万円で抱かせてあげますから」

 客「よっしゃー!じゃ,あとで,メールで連絡するぜ」


 葉子は,客の扱いがうまくなった。そんな感じで,テキパキと花子の体を200人の撮影者に触らせていった。


 2時間後,全員の参加者が,花子の体を撮影し,かつ彼女の体に触ることができる撮影会が成功裏に終わった。撮影者のマナーもよかった。


 それから,間もなくして,初回ロットのラブドール200体が,完成したとのことで,製造会社から直接予約購入者へ届けられた。ただし,その荷物の差し出し人の住所は千雪邸とし,差し出し人は,花子の名前にした。


 葉子は,花子にニコニコ顔で言った。


 葉子「お姉ちゃん,先のヌード撮影会も盛況だったし,できたラブドールの品質も,超すごいわよ。これなら,200万円だしても,全然おかしくないと思うわ」

 花子「葉子に,そんな商売の才能があったなんて,びっくりだわ」


 商品を発送してから,数日後に,ちょっと異変が起こった。なんと,ラブドールの商品が,どんどんと返品されて来るのだ。それも,日に日に多くなってきた。結局,200体,すべて返品される始末だった。


 葉子は,何事かと思い,輸送会社に連絡したり,購入者の客に直接電話したりした。客のひとりの電話に応答があった。



 葉子「もしもし,太郎さんですか?わたし,あなたが購入したラブドールの販売担当のものですが,商品が受け取り者不在ということで,返品受けたんです。どうして受け取ってくれないのですか?」

 太郎の携帯「・・・」

 葉子「どうして返事してくれないのですか?」

 太郎の携帯「・・・,もしもし,,,わたし,,太郎の母です。太郎は,,,うっ,うっ,,2日前,亡くなりました,,,」


 ダーーン


 携帯が手から滑り落ちる音がした。


 ツーーッ!ツーーッ!ツーーッ!


 そのショックで,電話が途絶えた。


 葉子も,ショックで,自分の携帯を落としてしまった。ゆっくりと花子の方を見た。


 葉子「おねえさん,,,お客さん,,,もしかして,全員,死んだのかもしれない,,,,」


 その言葉を聞いて,花子は,青ざめた。確かに,ここ数日霊体が数多く自分の身の周りに集まってくるから,おかしいとは思っていた。でも,この集まった霊体がヌード撮影会で集まった撮影者だったとは夢にも思わなかった。


 花子は,何度か呼吸を整えてから,葉子に命じた。


 花子「葉子!至急に,千雪人形,マリア,ハルト,リンリン,サルベラ,その他,だれでもいいから,状況を説明して原因を究明してちょうだい。下手すれば,われわれは,集団殺人者にされるかもしれないわ」


 その指示に,葉子は,頭を軽く下げて,部屋から出ていった。


 葉子は,状況をリンリンに報告した。それを受けて,リンリンはまず千雪人形に状況を聞いてみた。


 ものの5分もせずに,リンリンが戻ってきて葉子に千雪人形の言葉を伝えた。


 リンリン「葉子,犯人がわかったわ。千雪人形とマリアよ」

 葉子「え?でも,禁呪はもうされていないって。それに,毎日,お姉さんの胸を触っているけど,なんともないわよ」

 リンリン「背中よ。あなたたちには,背中に位置特定魔法陣が植え付けられているんだって。そこに,呪詛の転送実験をしたんだって。その背中を触ると,いずれ心臓発作で死ぬらしいわ。転送実験が成功したって喜んでいたわよ」


 葉子は愕然とした。これが,千雪人形の本性か,,,,悪魔だ!!


 リンリン「まあ,転送された商品は,次回のお客に回せばいいわ。商売がんばって。ヌード撮影会では,背中を触らせなければいいわ。次回のヌード撮影会は,明日以降,連続で,関西,九州,北海道,東北の開催でしょう。背中は触らせないでね。じゃーね」


 リンリンは,他人事のように説明した。


 その日,新幹線,花子と葉子は新幹線で関西に移動して,あるホテルに泊まった。明日のヌード撮影会に参加するためだ。


 だが,花子の周囲に,どんどんと浮遊霊が集まって来た。こんなに集まって来てしまっては,花子は,もう睡眠どころではない。


 花子「葉子,悪いけど,あなたの体,貸してちょうだい」

 葉子「どういうこと?」

 花子「呪詛で亡くなった霊魂に,葉子の体を支配してもうわ」

 葉子「ええーー。いやよ。そんな,,,」

 花子「葉子には霊魂は見えないと思うけど,わたしには,はっきりと見えるのよ。もうこのままじゃ,睡眠不足でこっちも死んでしまいそうよ!!」

 

 結局,葉子は渋々,承諾した。


 花子は,霊魂の1体に葉子の体を憑依させた。


 霊魂「えーーううーー,ああーー,やっと,しゃべれるようになった」

 花子「あなたは,ヌード撮影会の参加者ですか?」

 霊魂「そうだ。花子さんの体を触って,もう,わたしの頭は,花子さんの体のことで,いっぱいだ。せんずりしすぎて,死んでしまった。お願いだ,一発させてくれ。それができないと,成仏できない」

 花子「・・・,あなたの憑依している体は,女性の体ですよ。うまく動かすことはできないできないです。それに,いちいち1体1体対応するのでは,わたしの体がもちません」

 霊魂「霊魂共有できれば,1回でいいのでは?」

 花子「え?霊魂共有?」

 霊魂「霊魂をぎゅうぎゅうに詰めて,さらに棒で叩けば,霊魂が合体のような状況になるって死んでから知った。すでに,霊魂共有に成功した霊魂合体の先輩から聞いた」

 花子「じゃあ,,,それで,,,お願い」


 花子は,何も考えずに同意した。


 霊魂「では,この憑依している体の持ち主に,棒で叩く役割をしてもらいます。霊魂合体に成功すれば,直接,花子さんと念話できる能力が身につくと聞いてします」

 花子「あら?それは便利だ事」


 霊魂「あっ,,,,,ちょっと,待ってください。生き霊が,,,,多数,,,」


 霊魂で憑依された葉子は,しばし黙った後,言葉を続けた。


 霊魂「花子さま。われわれは,一度,退散いたします。今日は,ゆっくりと休んでください。では,後ほど」


 霊魂は,何か悟ったようにして,葉子の体の憑依を解除した。それと同時に,花子の周囲にまとわりついていた霊魂すべてが,消えるように消滅した。


 花子「え?え?どこに行ったの?」


 花子は,一瞬,何が起こったか不明だったが,とにもかくにも,今日はしっかり寝ることにした。


 翌日,予定通り,関西のある民間貸し部屋で,ヌード撮影会が開催され,花子は,自分の胸を触らせた。今回は,背後からでなく,正面から触らせた。花子は,相手の顔を覚えたくないので,触られている間はよそ見をした。


 関西でのヌード撮影会の後,九州,北海道,東北と巡回していって,合わせて800人の客に,ヌード写真を撮影させ,花子のおっぱいや乳首を触らせた。


 一連の行事が終了した。最後の会場は,東北だったので,近場の温泉で,のんびりすべく,松島温泉のある温泉宿に数泊することにした。



 温泉宿について,花子と葉子は,超のんびりした。 

 

 葉子「お姉さん!!なんか,やったね!!20億円の売り上げよ。製造原価引いても,15億円よ。15億!!これなら,千雪の本体が魔界から戻ってきても,ぜったい,大丈夫よ。リンリンが絶対に命乞いをしてくれるわ」

 花子「そうならいいんだけどね。でも,ZZZカップの40kgもあるおっぱいって,やっぱ,威力あるわね。超重たくて,大変だけど,金を稼ぐにはいい方法かもね」

 葉子「そうよ。数日は,のんびりしましょう」


  それから,数日が経過した。


 1体の霊魂が,また花子にまとわりついた。それで,やむなく,また葉子の体に憑依させた。


 霊魂「花子さん。以前,この体に憑依した者です。今日は,前回お願いした霊体合体をしてもらうためにここに来ました」

 花子「ああ,そうだったわね。それで?どうすればいいの?」

 霊魂「ふふふ。まず,あなたに殺されて恨みのある霊魂,すべてを,あなたの腹の中に住んでもらいます」

 花子「え?何?それ?」

 霊魂「その言葉通りです。あなたに殺された霊魂は,1000体にも達します!!おい,みんな,もう隠れる必要はない。花子さんの腹の中に何としても入り込め!」


 ボォーーワ!ボォーーワ!ボォーーワ!ボォーーワ!ボォーーワ!ボォーーワ!ーーー


 次々と霊魂が出現して,花子の腹の中に侵入しようとした。ただ,それは,霊魂を見ることができる花子にしか見ることはできない。


 葉子を憑依した霊魂は,葉子の体を憑依するのが2回目なので,葉子の体を支配する要領がわかった。すでに腕や手の支配を可能にした。


 霊魂「花子さん。今,まさにどんどんと,あなたに殺された霊魂があなたの腹の中に入っています。でも,すぐに満杯になってしまいます。そこで,棒を腹に当てて腹を突く真似をします」

 花子「え?霊魂なんて,棒なんかで突くことなんてできないわよ」

 霊魂「そうなのですが,そのまねごとをすることで,霊魂は叩かれたと思って,自ら縮こまっていきます。なんせ,霊魂は,物体の存在を少しは感知できますから。では,実行に移します。歯を食いしばってください」


 花子は,何で歯を食いしばるのかわからなかった。


 パチーン!パチーン!

 

 霊魂に憑依れた葉子は,思いっきり恨みを込めて,花子を殴った。


 ドタッ!


 花子は急に殴られたので,地に倒れて意識を失った。その霊魂は近場にあったテレビのリモコンを持って花子の腹を叩く真似事を繰り返した。


 ドンドンドンドン!


 そして,何度も何度も叩きこんでいった。霊魂たちは,実際に突かれたかのように,だんだんと圧縮されていった。空いたスペースができると,そこに,また,他の霊魂がどんどんと侵入していった。


 ドンドンドンドン!


 霊魂に憑依された葉子は,休むことなくリモコンで花子の腹を叩く真似をしていった。霊魂があたかも実際にすり鉢で潰されて,圧縮されていくかのように,どんどんと霊魂が圧縮されていき,空いたスペースに新しい霊魂が入り込むということを,何度も繰り返していった。


 花子の体を触ることで殺された999体の霊魂が花子の腹の中に入り込んでいった。最後に,葉子を憑依した霊魂も,憑依を解いて花子の腹の中に入り込んだ。でも,葉子は,腹を叩き込む真似の動作を止めなかった。葉子も半分無意識にその動作を繰り返していた。そして,,,とうとう1000体の霊魂が圧縮されて,意識を共有する合体霊魂が生まれた。


 ちょうどその時,合鍵をもってドアを開けようとした者がいた。


 旅館専門にこそ泥を働く盗賊3人組だ。彼らは,最初からこの超巨乳2人組をマークしていた。豪華な部屋に連泊で止まり,優雅に超巨乳を揺らしながら,温泉旅館の周囲を散歩するので,マークされないほうがおかしい。


 かれら3人組盗賊は,旅館のフロントの授業員を買収して,花子たちの部屋のスペアキーをゲットした。そして,花子たちが,散歩で部屋にいない隙に,部屋に隠しカメラを仕掛けた。貴重品は,金庫に収納してあるので,それを開けることはできなかったが,彼らの目的は,あの超巨乳を盗撮することだ。


 とうとう盗賊のボスがある判断をした。


 ボス「おい,お前ら,この部屋に行くぞ。ひとりは,もう気絶したまま絶頂を味わっている。もう1人は,リモコンで腹を突きまくっているので,もう体力が限界だろう。今なら,部屋に押し込んでも,容易に口を塞ぐことができ,騒がれずに犯せる。その後は,金庫の暗証番号を聞き出せばいい」


 このボスの提案に,2人の部下は色めき立った。


 部下「ボスについてきて,今ほど良かったと思ったことはないです!はい!すぐにこの部屋に行きましょう。ガムテープで口を塞げば,完璧です!!」

 ボス「よし!GO!」


 カチャ!


 盗賊たちは,合鍵を使って,こっそりと花子と葉子のいるドアを開けて,まったく彼女らに気がつかれずに,部屋の中に入ることができた。その後の動作は,電光石火のようなすばやかった。


 部下の2名は,手分けして花子と葉子に,ガムテープを使って手際よく彼女らの口を覆った。さらに,彼女らの両手を頭の後ろに回して,同じくガムテープでぐるぐる巻きにした。


 花子と葉子は,悲鳴を上げる余裕もかなった。 


 ボスは,ゆっくりとドアを閉めた。彼らは,サングラスとマスクをしていたが,それらを外した。


 部下「うまくいきましたね。見てください,この超ウルトラ爆乳!!もうさわり放題,犯し放題ですよ!」


 そう言いながら。その部下は,花子のZZZカップの40kgにもなるおっぱいをわしづかみにした。もうひとりの部下は,葉子の浴衣を脱がして全裸にした。葉子の胸も20kgにもなるZカップだ。

 

 ボス「フフフ。よし,お前たち,先にそいつらを犯していいぞ」

 部下「あら?いやに物わかりがいいですね」

 ボス「まあ,日頃,苦労をかけているからな。たまにはいいだろう。俺は,お前たちが犯しているのをビデオで撮影する。フフフ,高く売れるぜ」


 部下たちは,そそくさと服を脱いでいった。彼らのパンパンに腫れた逸物が露わになった。


 部下たち「では,ボス,お先に!」


 葉子は,意識がある。だから,まだ足が自由だ。そのため,葉子を犯す部下は,葉子の足をなんとか固定させるため,ガムテープで,足首をなんとかベッドの隅に押しつけて,固定する作業をした。一方,花子は意識がなかった。


 部下は,いざ,ことに及ぼうとするとき,彼は,全身が,急に氷に触れたかのような感じになった。その次の瞬間,彼は,恐怖を見た!!


 頭の中に,強烈な憎悪の感情が雪崩込んできて,意識が飛ばされた!!


 バタッ!!


 その彼はその場に倒れた。


 ビデオ撮影していたボスも倒れた部下を見た。


 ボス「おい,どうした。え?どうしたんだ?」


 その問いかけに,倒れた部下は何も返事しなかった。ボスは,おかしいと思い,その部下を揺り動かした。それでもまったく反応しなかった。やむなく,部下が息をしているかどうかを確認したが,息もしていなかった。ボスは,慌てて彼の胸を触って,心臓の音を確認した。だが,心臓の音も聞こえなかった。

                                         

 ボス「し,死んでる!!」


 ボスは,その場で尻餅をついてしまった。もうひとりの部下は,少し冷静だった。


 部下「ボス,こうなった以上,さっさと隠しカメラを取っ払って,死んだ兄貴を担いで,いったん,車の中に隠しましょう。兄貴には悪いが,どこか人目のつかないところで遺棄しましょう。警察の捜査を免れるが先決です」

 ボス「おっ,そっ,そうだな」


 ボスとその部下は,手早く隠しカメラを回収して,またサングラスとマスクをして,死んだ部下にも同じくサングラスとマスクをかけ,2人で肩車をして,駐車場に行って,死んだ仲間を車の中に押し込んだ。その後,自分たちの荷物を回収してチェックアウトして夜道を走った。途中で車を止め,死んだ仲間を担いで,山林の中に入っていった。


 ボス「よし,この辺でいいだろう」


 ボスたちは,死んだ仲間をそこに置いた。そして,両手を合わせて合掌した。


 その時,合掌していた仲間が,恐怖におびえた顔をして,『うわーー!!』と叫んだ。彼はその場に倒れた。 


 ボス「え?おい?どうしたんだ?え?うわーー!」


 ボスも,その叫び声を上げたのが最後だった。


 ボスと部下も,そこに倒れて死亡した。



 花子や葉子は,翌日の朝,清掃に来た旅館の職員に発見されて,拘束を解除された。旅館側は,警察に報告すると言ったが,実害がなかったため,花子は警察への報告はしないようにお願いした。


 彼女らは,数件隣の温泉旅館に宿を変えた。帰ったところで,何をすることもないので,ここで,さらに数泊するほうがいい。


 別の温泉旅館の部屋で,花子は,携帯を出して,リンリンに問い合わせしたいことがあった。


 花子「リンリンさん?わたしたち,まだ松島の温泉にいるんだけど,千雪様に確認してほしいことがあるの」

 リンリン「そんなことより,また,ラブドールの商品が返品されてきているわよ。幸い,空いている部屋があるからいいようなものの,何で客は引き取ってくれないのよ!」

 花子「それなんだけど,撮影会では,客は,おっぱいと乳首しか触らなかったの。でも,霊魂がどんどんわたしのところに来てしまって,彼らが死んだとしか思えないの。千雪様かマリア様に,なんか思い当たる原因がないか,聞いてください」

 リンリン「わかったわ。確認する」


 リンリンは,早速,千雪人形のところに行って,聞いてみた。


 リンリン「千雪様,また,花子と葉子に変なことしたの?花子はおっぱいと乳首を客に触らせたんだけど,なんか死んでしまったかもしれないって,言っていたわ」

 千雪人形「そう?じゃあ,また実験が成功したのね?へへへ,わたしって天才?」

 リンリン「え?また実験したの?」

 千雪人形「そうよ。反転呪詛を試してみたのよ。いったいどうなるかと思ってね」

 リンリン「反転呪詛?」

 千雪人形「そうよ。背中に反転型の呪詛を施すると,その反対側,つまり,おっぱい側に呪詛が施されるのと同じ効果が生まれると思ったの。その実験をしただけよ」


 リンリンは,開いた口が塞がらなかった。

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