第22話 後始末
千雪の巨乳暴露報道があってから,2日後の夕刻。
政府関係者と日の出テレビ局の関係者が,千雪邸に慇懃丁寧な低姿勢で訪問してきた。
香奈子「千春様。α隊長からですが,大統領秘書官長や放送局の人達が,今回の報道の件で,謝罪したいと申し出ています。もうすぐ,こちらに参ります」
千雪「わかったわ。1階の大会議室を使いましょう。準備して。それと,リンリンと夏美も同席させて。香奈子も秘書としての身分で,同席お願いね」
香奈子「はい,では準備します」
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1階の大会議室
1階の大会議室では,通常,20人,無理すれば30人が入れるスペースがある。仮住まいとはいえ,なかなか便利な建物だった。
秘書官長「千雪様,今回の報道では,政府側はまったく把握しておりませんでした。せっかく,政府側と友好条約を結んでおきながら,このような事態になって,申し訳ございませんでした」
秘書官長,α隊隊長,日の出テレビ局その他全員が一同に頭を下げた。
千雪「謝罪されても嬉しくありません。もう報道されたことです。ほかに誠意の示しかたがあるでしょう?」
秘書官長「マスコミ関係への指導不十分,ということ,十分に反省しております。本日,全マスコミへは,本件に関する特別報道規制を発令しました。これが発令状です。また,少ないのですが,慰謝料として,10億円準備しました。お受け取りください」
千雪「そう?了解したわ。政府側の対応には評価します。謝罪を受け入れます。それで?日の出テレビ局のほうは,どうなの?」
局長「わたくしどもの特別報道番組で大変,ご迷惑をおかけして申し訳ございません。テレビ,新聞,ホームページで謝罪文を掲載します。それと,慰謝料として,50億円準備します。2,3日中には,指定の銀行口座に振り込みが可能です」
千雪「そう?意外と対応が早かったわね。あと一日対応が遅れていたら,あなた方,みんな死んでいたわよ。まあ,いいわ。リンリン,あなたは,どうなの?これでいいの?」
リンリン「不十分です。日の出テレビ局側も,営業部長に処罰をするでしょう。それは,どうぞ勝手にしてください。しかし,私は,人形の『あずさ』の売り込みのために,営業部長のところに出向いたのです。夏美も同様です。それをきちんと守ってください。不意打ちのように,了解もなく,呪詛のほうで,巨乳,爆乳と騒がれては,50億円でも足りません。営業部長でもいいですし,新しい担当者でも結構ですが,きちんと,『あずさ』を売り込んでほしいです」
局長「あの営業部長は,わたくしどもの子会社の社員なので,直接指示は出せませんが,『あずさ』の売り込みについては,後日,状況を理解したうえで,きちんと対処することを約束します」
リンリン「そう? だったらいいわ。これが,私の名刺です。ラインでもメールでもいいので,連絡をください。私はこの女形人形『あずさ』に命かけているんです。夏美もそうよ。夏美は,営業部長の前で,胸まで露わにしたんだから。それがなんと,隠し撮りされて,テレビに公開されてしまうなんて。とんでもない話よ!!」
局長「お怒りはごもっともです。状況を精査の上,至急,対応します」
リンリン「だったら,いいわ。1ヶ月程度で連絡してください」
千雪「夏美は,これでいいの?」
夏美「私は騙されて,この胸を世間にさらされました。直接の被害は,わたしがもっとも大きいと思います。
わたしも,リンリンさんが言ってましたように,『あずさ』の普及に命をかけています。そのために,裸になって胸まで晒しました。でも,それがテレビで報道されるなんて,死刑に等しいです。わたしは,もうまともな結婚もできなくなりました。でも,50億円の賠償金は,あなた方にとっても大金だとわかります。気持ち的には許すことはできません。でも,許したいと思います」
千雪「リンリン,夏美,もういいわ。営業部長,あの日,『あずさ』でストリップショーの実演をしたけど,その隠し映像はあるのでしょう?」
営業部長「はい。ございます。放映一歩手前で差し止めを喰らいましたが」
千春「せっかくだから,今,この場で,その映像を,局長にみせてください。人形の『あずみ』の特徴が理解できると思うわ」
営業部長「わかりました。データを持参していますので,すぐに示すことができます」
営業部長は,パソコンを起動して,持参した小型プロジェクターを通して,『あずみ』のストリップショーの隠し映像を流した。生データだったため,その映像は,5分程度だった。
だが,その『あずみ』は千雪そのものだった。かつ,巨乳の千雪よりも,さらに大きな胸だった。
そのあまりに性欲的な『あずみ』のストリップショーを見て,だれもがあの部分を反応させてしまった。
『あずみ』の動きは,人形の動きではなかった。現代のロボット技術を駆使しても,到底実現できない動きだ。本来なら,この人形が,正常な形でマスコミに大々的に注目を浴びてもおかしくないものだ。
局長「これは,また見事だ。これは,人間なのか?人形なのか?」
千雪「どちらでもありません。その中間と位置づけください。思考は,人間そのものを使っています。体の構成は開示できません」
局長「そうですか。わかりました。それで,『あずさ』をどの方面で普及させるかですが,エロ方面で,有名にさせるという案は,受け入れ可能でしょうか?当社も,そっち方面でいくつかの関連会社を持っています」
千雪「そうですね,,,それも含めて,1ヶ月程度でそちらの案をいただけないでしょうか?そちらの『あずさ』の売り込みの努力によって,今回の件の謝罪を受け入れるという形にしたいと思います。その時に改めて賠償金の額を提示ください。今回は,ただ,当事者同時が顔見せを行ったということにさせていただきたいと思います」
局長「千雪様,了解しました。では,1ヶ月後に改めて,こちらの誠意と賠償金の額を提示させていただきます」
局長は,リンリンに向かって言った。
局長「リンリンさん,『あずさ』の取り扱いの件ですが,誠心誠意対応させていただきます。プロジェクトチームを至急作って対応させていただきます。今回は,ほんとうにすいませんでした」
局長は,その場で土下座して頭を下げた。同じく,営業部長ら関係スタッフも同様に土下座して謝った。
彼らが去った後で,リンリンはKカップの胸を千雪に押しつけて抱きついた。
リンリン「千雪様,これでヒット間違いなしだわ。これも,千雪様の巨乳のおかげです。ほんとにありがとうございます」
千雪「『あずさ』は,エロ方面で展開するつもりでしょうね。それって,意外と面白いかも。ふふふ」
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