第21話 『現代の恐るべき呪詛の実態』
それから,間もなくして,某テレビ局が,4時間特別番組を報道した。『現代の恐るべき呪詛の実態,その正体とは!!!なんと巨乳の絶世美女だった!!』
そのテレビ放送が始まった。
ナレーション「われわれ取材班は,世界でもトップクラスの呪詛師にインタビューすることに成功した。まだ,幼い面影が残る美少女です。その母親も同伴です。都合により,顔だけはモザイクを入れていますが,どちらも超美人だー!!」
そのテレビ映像では,モザイク入りと言っても,目の部分が薄くなっているだけで,事実上,はっきりと顔を認識できるレベルだ。
ナレーション「ご覧のように,美少女呪詛師,はたして,彼女の呪詛の力は,本物なのか?! おっ! 子犬を瞬間に気絶させるという呪詛のようです。あっ! 子犬が気絶してしまいました! なんと,今度は,子犬の味覚を狂わして,紙を食べさせていま。すごい!すごい呪詛です! これが超一流の呪詛です!」
視聴者は,この巨乳の呪詛師が,この番組の看板なんだろうと思った。だが,それは違った。
ナレーション「その世界最高レベルともいえる美少女呪詛師でさえも,解除することのできない,呪術が存在したー!!
それは,なんと,なんと,なんと,なんと巨乳に仕掛けられた呪詛だったー!!!」
ここで,CMが入った。
5分後,再び,この狂気のような映像は続いた。
ナレーション「巨乳に仕掛けられた呪詛を解明すべく,特別チームを編成した取材班は,極秘の調査により,ついに,最強・最悪の呪詛を施されたという人物,偽名ですが,花子さんに接触することに成功したぁー!!」
ナレーション「われわれ取材班は,とうとう,その呪詛を実演してもらうことに交渉に成功したー!!。われわれ取材班は,あるマンションの一室に向かった。呪詛をかけられているという花子さんは,その同僚によって目隠しをされた。これは,花子さんに羞恥心を感じさせないためだという。その同僚は,花子さんのブラウスのボタンをひとつずつ,ゆっくりと,外していくぅー!!
出たー!!!,ブラジャーからはみ出るくらいの巨乳だー!!
その同僚は,さらに,ブラジャーをゆっくりと外した!!そして,真の巨乳が出現したー!!。
残念ながら,あの部分は,倫理規定により,モザイクになります。ごめんなさい」
その巨乳の持ち主は,夏美だった。でも,乳首部分も色がやや薄くなるだけで,事実上,モザイクをしていないに等しかった。
ナレーション「なんと,この巨乳に,最強,最悪の呪詛が存在するのだー!!」
((この部分が放送されている時に,テレビ局へは,抗議電話と,賛同の電話の嵐だった。視聴率が30%を超えて,どんどんと上昇していってた。))
ー 亀鶴広告代理店の社内 ー
ランラン「テレビ局からラインで連絡がどんどん来ています。もうすでに視聴率は30%超えたと。まだまだ,上がるそうです。それと,テレビ局側に,即刻,放送を即時中断してほしい,との,政府側からの依頼があったそうです。ですが,報道の自由を盾に,このまま継続放送すると,突っぱねたそうです」
営業部長「なんで政府側が動くんだよ。テレビ局側の対応は当然だ!」
ーーー
ー テレビ放送 ー
テレビ映像では,モザイクされた女性スタッフが,ゆっくりと子犬を取り出して,花子の呪詛がかけられた巨乳部分にゆっくりとあてた。
ナレーション「あぁぁー,その瞬間,子犬は,気絶したぁぁー。これは,なんだー。これが,これが,これが,最強,最悪の呪詛なのかー!」
テレビの映像では,次に三毛猫を取り出して,花子の呪詛がかけられた胸にゆっくりとあてた。
ナレーション「次は,三毛猫だー。あ,なんと,子犬と同じように,一瞬で気絶した!」
テレビ映像では,微かなモザイクが掛けられた胸のアップが映し出されて,CMになった。
ーーー
千雪邸
千雪邸では,どの部屋にもテレビがある。千雪の部屋にも,テレビはあるが,千雪はつけたことがない。
この特別報道中も,世間の慌ただしい動きとは別に,千雪は,ハーレムをどうやって構築していくかということしか考えていなかった。ひさしぶりに,誰かを超爆乳にしたかった。それを誰にしたらいいか思案中だった。
リンリンの事務所は,1階に設けてある。そこにももちろんテレビはある。そこで,この特番が流れていた。
葵「これ,,,夏美とリンリンなの?テレビに映っているよ。やばー!」
リンリン「どれどれ?えー! これ,私よ! いつのまに。しかもこんなにクリアに映ってる!」
夏美「えー! 私のおっぱい,映ってる! いやー! お嫁にいけない!」
夏美が,お嫁に行けないのは,何もこの映像のせいではない。もう,結婚はできないことは確定済みだ。
リンリン「大丈夫,私たち,全員お嫁にいけないから安心して。そのうち,千雪様の子を産むでしょう。全員,女の子を産むわ」
夏美「どうして?」
リンリン「だって,千雪様には,男性を決める性決定遺伝子の『Y』がないんだもの。精子はみんな『X』だけよ。生むとしたら女の子よ。でも,そんな話をしてる場合じゃないわ。千雪様がテレビを見ないようにしなさい! えーと,どうしよう。夏美! 今から,千雪様におねだりしなさい。愛してもらいなさい!」
夏美「えー? 性欲なんて,今,ないよ!」
リンリン「大丈夫よ。精神支配されるから,すぐに性欲解放してもらえるわ。すぐ,いきなさい。われわれの命がかかってるのよ!」
この言葉に,夏美は反論できなかった。
リンリン「亀鶴広告代理店をどうするかは,ちょっと考えるわ。とにかく,千雪様には,なんとか,今日だけは,一切の騒音を入れさせないことに徹底するわ。それとすぐに,サルベラ様に相談しなくては!」
リンリンは,サルベラを捕まえて,テレビ報道を見るようにお願いした。
サルベラは,非常事態だと判断。すぐに,メーララやカロックだけでなく,スタッフ全員にテレビを見るように指示した。でも,今は,テレビを見ることしかできなかった。
ーーーーー
テレビ放送
ナレーション「われわれ取材班は,巨乳美女に呪詛をかけた人物を徹底調査した。その道のりは険しかった。ときには,山を登り,時には,海を潜り,時には,外国にも訪問した。
だが,手がかり,意外にも身近なところにあったのだー!」
テレビ報道では,リンリンの目の部分が薄いモザイクが掛けられた顔がアップに映しだされた。明らかに,望遠による映像だ。はっきりと顔が認識できるレベルだ。
テレビ放送では,リンリンの声が少し変音されて流れた。
リンリンのテレビから流れた声【そうですか。では,遠慮なく。その嫉妬深い人が,もし打ち合わせに同意しましたら,また連絡します。では失礼します】
葵「リンリンさん。嫉妬深い人って,千雪様でしょう?これ知ったら,リンリンさん,あの世いきよ」
リンリン「くそ!あの部長め。何台隠しカメラ使ってんだ?」
葵「部長のネクタイピンとか,ブラウザーのボタンなんかもあやしいですね。あのスタップの女性も,腕時計をずーっと巨乳に向けていますよ」
リンリン「これでは,政府側と約束した内容にも影響するかもね。政府がどうでてくるか,,,,」
ーーーー
大統領官邸
秘書長「大統領,大変です。千雪さんが,テレビで暴露されるかもしれません」
大統領「ああ,今,テレビを見てるよ。これは,まずいな。テレビ関係者,皆殺しの可能性もあるな」
秘書長「テレビ局には,放送中止のお願いをしたのですが,断られました」
大統領「あほか,お前は! この責任,われわれにも及ぶんだぞ。強制的に中止させろ。切りのいいところでかまわんから,即刻中止させろ。大統領命令だ!」
秘書官長「了解しました!」
ーーーーー
テレビ放送
ナレーション「さあ,大変なことになってきました。『巨乳美女にの呪詛をかけた嫉妬の権化,最強・最悪の呪詛師』と,面談することになりました! はたしてどんな人物なんでしょうか! CMをどうぞ」
CMが入った。
CMが終了後,『巨乳美女に呪詛をかけた嫉妬の権化,最強・最悪の呪詛師』へのもてなし料理などが紹介された。
テレビ放送では,モザイク入りの男性スタッフが,もてなしの内容を紹介した。
男性スタッフ「はい,今日は,とうとうその日です。巨乳美女に呪詛をかけた嫉妬の権化,最強・最悪の呪詛師との面談の日です。
これが,おもてなしする料理です。最高級のフランス料理です。特別に,国内最高のシェフをお呼びして,料理を作ってもらっています。こちらが,本日出すワインです。100年ものの超高級ワインです。そして,デザートです。十数種類ものレパートリーを準備しています。これだけでも,特別番組になるのですが,本日は違います。
そうです。『巨乳美女に呪詛をかけた嫉妬の権化,最強・最悪の呪詛師』とは,どのような人物なのか,それがあきらかになる日なのでーす。CMをどうぞ」
CMが入った。
CM終了後,番組の視聴率は,40%にまで達した。
ナレーション「あっ! やってきました。とうとうやってきました。待ちに待った瞬間です。
3名の女性です。ひとりはメガネをしています。どうやら,このめがねをかけているこの女性が『巨乳美女に呪詛をかけた嫉妬の権化,最強・最悪の呪詛師』のようです。その胸の大きさは,隣にいる巨乳美女と決して引けをとりません」
テレビ放送では,胸の部分がアップになった。
ナレーション「ガウンを着ています。胸を隠すためでしょうか? 眼鏡をしています。伊達メガネでしょうか? でも,一目で超美人であることはわかります!
どうぞ,ご覧ください。どんなアップにも耐えれる超美人です。メガネがあるため,モザイクは入っていません。
ほかの2名も,いずれ劣らぬ美女です。また,彼女らも巨乳です。巨乳美女の勢揃いでーす。
あっ,フランス料理のコースが始まりました。話の内容は,世間ばなしのようです。
呪詛の話は,ここではしないとの約束ですので,われわれ調査班は,きちんと約束を守っています。『巨乳に呪詛をかけた嫉妬の権化,最強・最悪の呪詛師』は,ワイン2杯目です。少し,顔が赤らんでいます。どうも,お酒に弱いようです。
食事が終わりました。デザートも終わりました。調査班長は,ここで,嫉妬の権化,最強,最悪の呪詛師に,ガウンを脱いでくれないかと依頼しているようです。ああ,なんと,なんと,同意してくれました。ガウンを脱いでくれます。
あっ! 脱いだ! ガウンを脱いだ!
あっ! 巨乳が,,,サラシです。サラシで覆われています。ですが,胸の谷間はすごいです。3人の超巨乳美女の中でも,ひときわ大きいです!
((ここで,瞬間視聴率が45%を超えた))
あっ! 巨乳が一瞬でガウンに隠されてしまいました! あっ! 残念。ここまです。でも,そのシーンを再現しましょう!」
何度も何度も胸のアップが再生された。
ナレーション「はい,どうぞ。これが,これが,あの『巨乳美女に呪詛をかけた嫉妬の権化,最強,最悪の呪詛師』の巨乳でーす。どうぞ,ゆっくりとご覧くださーい。
CMが入った。
まだ,放送は1時間残っていた。残りの1時間は,『あずさ』のストリップショーを放映する予定だ。これまで以上にインパクトのある映像だ。
だが,ここで,SARTのスタッフが,放送局を占拠する形で,強制的に放送を中止させた。
CM終了後,このようなテロップが流れた。
『突然ですが,本特番は,登場した本人の了解を得ずに放映されたため,放送倫理規定に従い,放映を中止させていただきます。ここに,本番組で登場した方々には,この場をお借りして,謹んでお詫び申し上げます。尚,今からは,昨年放映された特番を再放送します』
こうして,4時間特別報道番組は終わった。
ーーーーー
千春邸
リンリンは,呆然とした。自分に,ひたひたと死刑執行の日が迫ってくるのを感じた。
葵「リンリン!あなた,死刑確定ね。千雪様の胸を世間にさらして,いい笑いものね」
リンリン「うー! どうしよう?」
葵「もう,知らぬ存ぜぬで通すしかないわ。早く,千雪様の子を身ごもると,生きる希望があるかもよ」
リンリン「そうか!その手があるわね。わたし,スポーツやっていたから,サルベラ様には,胸をEカップまでにしてってお願いしたの。でも,今からGカップ,いや,Kカップにまでしてもらうわ」
リンリンは,早速,サルベラに巨乳化をお願いしにいった。この依頼は,リンリンの死活に関わる部分でもあるため,サルベラもすぐに対応してあげた。
リンリンはKカップになった。
ーーー
夏美が千雪に抱かれた後,Kカップになったリンリンが,無理矢理千雪の部屋に入った。
誰がどの順番で千雪に抱かれるかというのは,茜が決めている。しかし,茜も今は,非常事態だと理解しているので,リンリンの無理を許した。
ー 千春の部屋 ー
リンリン「千雪様,愛してください。お願いします」
千雪「どうしたの? いつもは,あまり乗り気じゃないのに?」
リンリン「子供がほしいです。排卵日なので,妊娠できると思います。お願い,子供がほしいの!」
千雪「わかったわ」
ことが終わった後,リンリンは,ちょっとだけテレビ内容をさりげなく漏らした。
リンリン「千雪様。この間,会ってもらったあの亀鶴広告代理店の営業部長,私たちのこと,隠しカメラで撮っていました。テレビで流れてしまいました。千雪様は,メガネをかけていたので,モザイクがかかっていません。千春様,怒らないください。あの部長は,人形の売り込みに必要な人です」
千雪「そうなの? リンリンがそういうならいいわ。しっかり『あずさ』を普及しなさい」
リンリン「はい,わかっています」
リンリンは,千雪の部屋を去った。その後,千雪は,リンリンの話が気になって香奈子を呼んだ。
香奈子は,最近,意気消沈している。だって,もう千雪の秘書としての仕事がないからだ。それは,つまり,ハルトの性奴隷にされてしまうという意味だ。
久しぶりに香奈子に声がかかって,香奈子は嬉しかった。今は,つまらない家計簿の整理をしている日々だ。
香奈子も,テレビの報道は見ていたので,状況は理解していた。
香奈子「千雪様,何でしょうか?」
香奈子は今もCカップだ。そのため,茜から千雪に抱かれる順番から外されていた。
千雪「香奈子,亀鶴広告代理店の営業部長の身辺調査をしてちょうだい。私立探偵会社2社くらいにお願いすればいいわ」
香奈子「いいけど。何のために調査するの?」
千雪「あの部長は,言っていることと,していることがばらばらよ。強欲で出世欲が強いわ。それに寿命があまりなかったわ。たぶん,誰かに殺されるのでしょうね」
香奈子「誰かって?千雪様のこと?まあ,ともかく調査依頼をします」
ーーーー
翌日,
大統領官邸ー会議室
この日,日の出放送局局長と,特番の関係スタッフの方々が大統領官邸の会議室に呼ばれた。
秘書長「よくおいで下さいました。日の出放送局局長。それから関係スタッフの方々」
局長「いえいえ,お呼びとあらばどこでもお邪魔させていただきます。昨日の特番では,SARTまで出動されてしまって,われわれも,何がなんだかわからない状況です。その辺の説明はあるものと期待しております」
秘書長「はい。ご推察の通りです。大統領から,まず,ご足労願った趣旨を説明していただきます」
大統領「コホン,なんだ,昨晩の特別報道番組の件だがね。あれは,出演者に,事前に,了解を得ているのかね?」
この問いに,日の出放送局の子会社である亀鶴広告代理店の営業部長が返答した。
営業部長「私から申し上げます。出演者には,事前には了解は得ておりません。ですが,本人とはわからないように声も変えております。しかも当日,彼女はメガネをしていました。モザイクと同じ効果がありますので,本人とバレることはないでしょう」
確かに声は変えているが,ちょっとしか変えていないので,容易に本人わかる声だ。でも,声を変えた事実は間違いないので,そのように返答した。
α隊隊長「私は,治安部隊を担当する隊長です。私の勝手な意見を述べさせていただきます。事前に,失礼な発言をすることをお許しください。
もし,私が,あの番組でいう,巨乳の呪詛師だとしましょう。隠し撮りして,しかもあのように,世間で公開されたとしたら,いくらメガネで隠されていたとしても,激怒するでしょう。そして,あなたを抹殺するような行動にでるでしょう」
営業部長「抹殺だなんて,極端な発想しないでください」
α隊隊長「いいえ。営業部長だけの抹殺ですめばいいのですが,どれだけ波及するかを考えると,末恐ろしいです」
営業部長「ご冗談を。冗談はやめていただきたい」
大統領「日の出放送局局長にお尋ねしますが,本人の了解を得ずに,報道するのは,報道倫理に違反すると思うのですが?」
日の出放送局局長「はい,当然です。報道倫理規定違反に相当します。SARTに占拠されてしまったので,言われるままに『報道倫理規定違反に違反する』というような内容をテロップに流しましたが,部長!その辺はどうなんだ?」
営業部長「そこは,報道倫理と報道自由のどちらを優先するかという問題になります。今回の場合は,女性の胸に呪詛を施して,かつ,その呪詛が,動物を一瞬で気絶させる,7日後には死亡させる,というものです。もし,人だったらどうでしょう? とんでもない,殺人事件です。これは社会的意義があるものと判断して,公開に踏み切ました」
α隊隊長「そうですか。あなたがたのいう,社会的意義とは,巨乳を世間にさらすことですか?」
営業部長「失敬なことはいうな! 君! 凶悪な呪詛師を暴くためだ!」
大統領「ここは,ケンカをする場ではない。わたしたちは,別に,あなた方を非難しているのではない。報道倫理とか,報道自由とかの問題でもない。もうこうなった以上,われわれは,もうなにもできない。しかし,あなた方に忠告だけはできる。α隊隊長,こうなった以上,最善の忠告,アドバイスは何だともう?」
α隊隊長は,大きくため息をついた。
α隊隊長「こうなった以上,日の出放送局局長,および関係スタッフ全員が,あの呪詛師に,土下座して謝ることしかありません。慰謝料は,日の出放送局が300億円くらいださないと,納得しないでしょう」
日の出放送局局長「なんで,そうなるんですか? ちょっと,あまりにおかしいですよ」
大統領「君たちは,いったい,だれを怒らしたか,知っているのかね。まあ,知らんだろうな。秘書長,守秘契約書を準備しさなさい」
秘書官長「これらは,極秘情報です。内容を確認して,これにサインください。守秘義務違反の場合,不正行為として,厳罰に処します。本人の全財産の没収および生命さえも差し出すという内容です。これに,サインすれば,われわれの情報をあなたがたにも少しは提供できます。なぜ,われわれが,あなたがたの身を案じているかがわかるかと思います」
日の出放送局局長「よ,よし!サインしましょう!」
営業部長「私もです。他のスタッフもサインに同意しました。どうぞ」
大変厳しい守秘契約が締結された。
大統領「よし。α隊隊長,最低限の情報を開示しなさい」
α隊隊長「はい,では,かいつまんで申し上げます。その呪詛師,名を千雪といいます。それは,あなたがたも調べれば,すぐわかることです。彼女は,わかっているだけで280名を殺害しています」
営業部長「なんと!?」
局長「そんな危険な人物,なんで逮捕しなんだ?」
α隊隊長「彼女は,人間ですが,人間ではありません。神か悪魔と理解ください。あなたは,神や悪魔を逮捕できますか?」
局長「言っている意味がよくわからん」
α隊隊長「われわれもただ手をこまねいていた訳ではありません。われわれは,千雪,およびその仲間が悪魔,化け物であると断定し,超法規的措置をとる決断をしました。
そこで,特殊攻撃機動隊が,全ロケット砲,および長距離機関銃を使って,千雪の仲間の1人を殺害しようとしました。しかし,殺害に失敗しました。そこで,麦国の人工衛星によるウルトラ・ハイパー・ビーム砲で,千雪の家もろとも焼消させようとしました。しかし,家は消滅しましたが,千雪は,生き残りました。
その後,千雪側は,われわれに反撃してきました。その映像は,示していただけるのですか?」
大統領「かまわん。千雪がなにものか,よくわかるだろう」
秘書官長「では,私から説明します。映像を白壁に映します。みてください。この人型の影を。そして,火炎の放射を見てください。火炎攻撃だけで,東都電力の第8火力発電所が爆発炎上し,ほとんど跡形もなくなってしまいました。被害総額1500億円にも上ります。もっとも,この発電所は廃炉が決定していましたので,廃棄費用が大幅に浮いたと見ることもできます。尚,攻撃予告を受けていましたので,被害者はひとりもいませんでした。ここで,重要なのは,たった1人で,火力発電所を灰にできるほどの化け物がいるという事実です」
この説明に,局長が反論した。
局長「ば,なかな?1人で火力発電所を灰にするだと?冗談としか聞こえない」
秘書官長は,局長の反論を無視して続けた。
秘書官長「こちらが,爆破された麦国の人工衛星の映像です。被害総額3兆円です。これで,充分にわかったかと思います。その後,彼女は約束してくれました。彼女に手をださないかぎり,決してわれわれ一般市民には,手をださないと。彼女がその気になれば,この世界は,彼女によって滅ぼされます。現在,政府と千雪側とで,友好条約が締結されています。
今回の報道で,この友好条約は破られました。あなた方がどう対応するのかは自由です。どう殺されようが,政府,治安部隊は,いっさいかかわをもちません。どうせ,証拠がない状態で殺されるのですから。かかわりの持ちようがないでしょう。
明日にでも,わたしたち政府は,この報道には,われわれ政府とは関係ないことを千雪サイドに申し出る予定です。こちらも命が惜しいですし,大統領を殺させるわけにはいきません。ただ,テレビ局への監督不十分ということで10億円は提供する予定です」
この話を聞いて,局長や営業部長らは,ことの重大性を初めて理解した。
α隊隊長「やっと理解いただけたかと思います。あなた方は,そんな,神,悪魔,化け物を,かつ,その仲間を,巨乳などと,世間にばらしたのです。テレビ局全員の命,建物そのものが消去されても,おかしくないでしょう」
局長や営業部長らは,だんだんと血の気が引いていった。
局長「・・・,十分にわかった。至急に対応する。できれば,明日,一緒に同行させていただき,呪詛師に会えるようにしてもらえるとありがたい。至急,役員会で総意を得ることにする」
秘書官長「役員会で,今の情報を開示することは,契約違反です。ちょっとでも漏れた場合,責任を追及します。こちらも,真剣なのです。わかりますか?大統領の命さえあぶないのです。あなた方との連絡係として,代理秘書官2名をつけます。常に,代理秘書官と行動を共にしてください」
局長「だが,開示しないと役員も納得すまい。すまないが,その守秘契約を役員全員に適用いただけないか?」
秘書官長「大統領,どうしましょうか?」
大統領「かまわんが,秘書官長,それにα隊隊長,すまないが,日の出放送局局長と,今日と明日,行動を共にしてくれないか。みすみす殺されるとわかって,手助けをしないわけにもいくまい。こちらの対応は,代理秘書官にお願いする」
秘書官長とα隊隊長は,同意した。
ーーーーー
ー 日の出放送局 臨時役員会議 ー
日の出放送局局長は,新営業部長,秘書官長,α隊隊長を同伴して,臨時役員会議を開いた。その結果,まずは,50億円の賠償金とし,さらに要求された場合は,都度対応することになった。子会社の営業部長の責任は,この件がケリがついてから,別途,協議することとなった。
ーーーー
特別報道番組から2日目
ネットなどでは,爆乳呪詛師の話題で持ちきりだった。他局もその話題をニュースに取り上げて,その所在を突き止める動きがあった。しかし,この日,政府からの報道特別規制が全マスコミ関係者に伝えられて,いっさいの巨乳呪詛師の話題は禁止された。ネットでも,youtubeやツイッターから,どんどんと関連情報が削除されていった。
ーー
ー 千雪邸,千雪の部屋 ー
千雪は,リンリンの情報遮断の努力むなしく,私立探偵からの暫定報告書を,香奈子経由で入手して,報道内容の全貌を知るに至った。
また,亀鶴広告代理店の営業部長の愛人関係にある人物などの情報も入手した。あの部長秘書ランランと,営業部長は愛人関係にあった。
この情報を得て千雪は,どう対応しようかと,楽しみ増えて微笑んだ。
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