第20話 姫人形
ドラゴンの『金竜ちゃん』の営業ができなくなって,数日が経過した。
仮住まいの千雪邸では,全体会議が開催されていた。最近は,千雪も顔を出すようにしている。サルベラがしつこく顔を出すように言っているからだ。
今回の全体会議のテーマは,リンリンの商売についてだ。
サルベラ「リンリン,ドラゴンの商売について,皆に報告しなさい」
報告と言っても,頻繁にネットやyoutubeを見ているものにとっては,十分に理解できたが,ものぐさなスタッフやボスは,事態を全然理解していない。
リンリンは,どんな罰を受けるのかわからないが,現状を報告することにした。
リンリン「あの,,,ドラゴンの営業は,,,完全に失敗しました。ドラゴンでお金を稼ぐには,どこかの企業のマスコットになってもらうという戦略を立てました。そして,なんとか広告代理店の営業部長と話をつけたのですが,,,その営業部長が,春美と,その,,,肌を合わせてしまって,,,春美としては,枕営業をしても仕事を取りたかったのですが,,,禁呪の十分な知識がなかったので,,,結局,営業部長は死んでしましました。その噂が,つまり,悪評がネットで拡散してしまって,ドラゴンにも悪評がついてしまって,もう取り返しがつかない状況になってしまいました」
この話を聞いて,だれもリンリンや春美を非難するものはいなかった。この商売の失敗は,不可抗力に近かった。
サルベラ「じゃあ,もうドラゴンで商売はできないの?」
リンリン「はい,もう無理です。それに,わたしは,まだいいのですが,春美の名前も悪評が立ってしまって,,,」
サルベラ「じゃあ,名前を変えればいいのね?」
リンリン「・・・,はい。幸い,春美の顔を知るものは,ほとんどいませんから大丈夫だと思います」
サルベラ「では,春美は,夏美という名前に変えなさい。リンリン,別の商売のネタはないの?」
リンリン「ドラゴンは無理ですが,何かほかにマスコットになりそうなものがあれば,それを担ぎたいと思います。ドラゴンで悪評は立ったものの,マスコミへのアプローチ方法など,いろいろと勉強しましたので」
サルベラは,ちょっと考えて,千雪の顔を見た。千雪は,相変わらず,ぜんぜん別のことを考えているようだった。
サルベラは千雪を睨んだ。
サルベラ「千雪!あんたの禁呪,なんで人まで殺すのよ!」
千雪「え?わたしに文句言っているの?」
サルベラ「そうよ!」
こんな全体会議で内輪のけんかを始めてしまうと,収集がつかなくなる。カロックが止めに入った。
カロック「サルベラ,千雪を責めるのは後にしたほうがいいんじゃない?それより,ドラゴンの代案,なんか考えるほうがいいぜ,へへへ」
サルベラは,怒りを抑えて,千雪にある提案をした。
サルベラ「千雪,例のゴーレムの設計図だけど,あれを使って,体長は,そうね,,,4,50cmほどのゴーレムを作ってちょうだい。千雪の魔法因子でいいわ。気に食わないけど,その恐怖感がなければ,一番美人そうだから。2,3日中に作ってちょうだい」
千雪「作るのはいいけど,今回のドラゴンの商売は失敗したんでしょう?だったら,担当者に罰をちゃんと与えなさい」
サルベラ「どんな罰よ?」
千雪は,リンリンの報告など,聞いていなかったが,ドラゴンの商売は失敗したことは理解した。
千雪「罰は,拷問刑って決まっているわ。それと,刑の内容はビデオにして,ネット販売すればいいわ」
リンリン「えーー!!」
リンリンは,自分だけ罰を受けるのはいやだった。
リンリン「わたしだけ罰を受けるのはちょっと不公平です。担当者の夏美と葵も,罰を受けるべきです!!」
千雪「そうね。ビデオが3本もとれるから,それが’いいわ」
それを聞いて,夏美と葵は,『ええーーーー!!』と声を上げたものの,反論はできなかった。すべてを受け入れるしかなかった。
千雪「刑を執行するときは,サルベラかメーララを同席させてちょうだい」
リンリンは,なんとかビデオ出演を回避したかった。
リンリン「でも,カメラマンとか,照明係とか,監督とか,どうするのですか簡単ではないですよ?」
千雪「いちいちうるさいわね。商売は,リンリンがすべて行いなさい。ビデオもそうよ。リンリンがすべて準備しなさい」
リンリンは,これ以上反抗するとまずいと思った。
リンリンは,意気消沈して小さい声で答えた。
リンリン「はーい。了解しました」
罰を受けるのは,リンリン,夏美,葵の3人だ。でも,ビデオの女優になって,顔出ししてしまうのは,さすがに,厳しい罰に相当するものだった。
翌日,リンリン,夏美,葵の3名は,女優,カメラマン,照明の担当をかわりばんこにして,むち打ちの刑の残酷なビデオを録画していった。録画データの編集は,葵が担当した。
このビデオのオンラン視聴サービスのため,ホームページを担当する職員を採用することにした。もちろん,美人で乙女が条件だ。給与月50万円という嘘の募集で人集めした。
給与など,出来高払いだ。つまり,自分で稼ぐしかない。いい意味で,いくらでも稼ぐことができる。失敗したら,ビデオ出演するだけのことだ。最初は,むち打ちの刑だが,2回目以降は,もっと過激な罰があるかもしれない,,,
その後,『金竜ちゃん』は,ピアロビ顧問に返却されることになった。
ーーー
2週間後,,,
この日の全体会議では,千雪があたらしいマスコットを披露することになった。
千雪「では,新しいマスコットを披露するわね。作成するのにすっごい苦労したのよ。もうヘトヘトになったわ。2週間もかかったわ」
千雪は,そう言って,そのマスコットを披露した。
そのマスコットは,ピンクのレースを着ていた。千雪は,いったいどこからそんな服を持ってきたのか,まったく不明だった。
リンリンたちは,それを見てびびった。
リンリン「え!!うそーー!!」
夏美「これ,本物?」
葵「なんか,やばいわ!!」
それは,まさに千雪だった。身長50cmの千雪だった。胸はKカップ相当だ。人形というには,あまりに生々しい。あたかも生きているようだ。それに,このマスコットは,体から妖艶さを放出しているようだ。
千雪「あなた,もう月本語は,ある程度,話せるでしょう。片言でいいから,挨拶しなさい」
マスコット「はい。わたし,,,名前,まだ,ありません。昨日,この体,もらいます,いや,,,もらいました。やっと,歩くこと,できます。もっと,うまく動くこと,練習します。頑張ります」
千雪「彼女は,まだ,体をうまく支配していないわ。でも1週間もすれば,うまくなるでしょう。」
リンリンはあることを確認した。
リンリン「あの,,,このマスコット,いや,もう,小さい千雪様ですけど,まさか,呪詛をしていないでしょうね?」
千雪「しているに決まっているでしょ。でも,触られるのは前提よ。だから,特別な呪詛をしたわ。今度は誰もすぐには死なないわよ。安心して」
リンリン「あの,,,わたしたち,このマスコットに触っても大丈夫でしょうか?」
千雪「触ったら商売にならなくなるわ。常に手袋をしてちょうだい」
リンリン「あの,,,呪詛の内容を教えてください」
千雪は,にたっと笑った。
千雪「いやよ」
リンリン「え?どうしてですか?」
千雪「ふふふ,内緒!それよりも,いいこと,しっかり聞きなさい。3ヶ月以内に1億円稼ぎない。経費は,どんどん使っていいわよ。でも5000万円までかな?リンリン,夏美,葵,もう失敗はだめよ。今度,失敗したら,本番のエロビデオに出演しなさい。そのほうが,よっぽど金儲けになるわ」
メーララが,そのマスコットをずーっと睨んでいた。そして千雪に質問した。
メーララ「千雪,そのマスコットって,別の世界に行った雪生や小雪と同じ方法で造ったでしょ。それに,その霊体って,本物の魔界の女性の霊体よね。ちょっと,悪趣味じゃないの?」
千雪「ふっふふ。これも人助けよ。体は小さくなったけど,悪魔大魔王のもとでレイプされるのもかわいそうだからね。解放してあげたのよ」
メーララ「でも,ちょっと,その子,変な問題起こすんじゃないの?」
千雪「そんなのまだわからないわ。リンリンがしっかりその子を管理すればいいだけよ。失敗は,すべてリンリンたちがその身をもって償えばいいわ」
千雪は,ここで話を切った。
千雪「リンリン,さっさとその子に名前をつけて,営業しなさい。話は以上よ」
千雪は,さっさと自分の部屋に戻った。彼女の部屋では,茜が待っているからだ。
ーーー
ーーー
リンリンは,この小さい千雪に,『あずさ』と命名した。そして,簡単に踊りを教えた。最初はぎこちなかったが,日に日に体の制御が増していき,3歳の子供が躍るのと,遜色ないレベルになった。
そして,30秒間のあずさの紹介ビデオも作製した。
ー 亀鶴広告代理店 ー
営業手法は,ドラゴンと同じだ。老人ホームで,『あずさ』を紹介して回った。ただし,幼稚園は避けた。ちょっと,子供受けが難しいと判断したからだ。どうしても,巨乳人形のイメージがぬぐえそうもないからだ。
でも,老人ホームでは,意外と受けがよかった。男性の老人だけでなく,女性の老人も,いやな顔はしなかった。まあ,それだけ,人生経験が豊富なのかもしれない。
そこで撮影したビデオは,youtubeやツイッターなどで紹介していき,さらに,『あずさ』に,ビキニ姿で写真を公開するなどして,知名度を上げていった。
その結果,2週間もかからずに亀鶴広告代理店の担当者からリンリンに面会の申し込みが舞い込んだ次第だ。
会議室で,リンリンと夏美は,担当者が来るのを待った。
リンリン「いい夏美,もう一度言うわよ。セクハラはOKよ。でも,服の上からよ。絶対に肌を触らせてはだめよ」
夏美「もうわかってます。拷問受けて,ビデオにされて,充分に身に応えてます。でも,今の化粧術はすごいですね。わたし,もう別人の超美人になってしまいましたよ」
リンリン「化粧術も苦労したのよ。専門の人を雇ったからね」
夏美「よく経費がでましたね」
リンリン「ビデオの経費は,1000万円ほどあるから,そこからもてきたのよ。フフフ」
そんな会話をしているとき,ドアが開いた。
担当者と営業部長が姿を現した。お互い自己紹介した後,担当者は急な用事のため席を外したので,営業部長だけになった。
その後,リンリンから,『あずさ』の紹介を行った。まず,30秒の紹介ビデオを見てもらった。
その内容は,以下のようなものだ。
『人間と同じ動きで踊る人形。それは,生前,夢がかなえられなかった,一人の人生の物語なのです。
彼女は,大衆の前で踊るのが夢でした。でもそれは実現しませんでした。その夢をかなえるため,彼女は,この人形の中に,魂を宿したのです。そして,今,その夢が実現するのです』
このようにナレーションが始まって,音楽とともに,踊りが始まった。決してうまい踊りではないが,見ていて飽きはしなかった。なにせ,超美人だからだ。
紹介ビデオが終了した。
営業部長「ほほう,いいね。ストーリー性もあるじゃないか。じゃあ,この内容で,各方面に紹介してみるよ。それで,なんだ。まだ,早いけど,今から,お酒でも付き合わんかね」
リンリン「あの,実物は見なくていいのですか?一応,『あずさ』は,持ってきたのですけど」
リンリンは,キャリヤー付きの旅行カバンを見た。
営業部長「すでにネットで,実物の映像は何度も見ているしね。実物は,実際に企業側で採用されてからでいいよ。ただの人形だしね。それに,ほんとうに霊魂が宿しているなら,見るの怖いしね」
リンリン「わかりました。あの,お酒は付き合いますが,それ以上のことは,会社から禁止されています。お含みおきください」
営業部長「ああ,心配ないよ。私のマンションが近くなんだ。食事もあるし,お酒もある。そちらは2名だから,安心でしょう?」
リンリン「はい,では,お付き合いします」
営業部長「では行きましょうか。20分も歩けばつくから」
ーーーー
ー 営業部長のマンション ー
営業部長は,単身赴任だ。ベッドの部屋とリビングルーム,台所,トイレ,風呂といった普通の部屋だった。
リンリンと夏美は,リビングルームのソファに座った。営業部長は,缶ビールを持ってきて,彼女らに差し出した。
営業部長「まあ,一杯やってくれ」
リンリン「はい,ありがとうございます。夏美も飲みなさい」
夏美「はい。じゃあ,少しだけ」
営業部長「いやー,若い子はいいね。胸の発育もいいね。何カップあるの?」
リンリン「夏美は,また最近大きくなって,Iカップになったんです。両方の乳房で4kgくらいの重さがある感じです」
営業部長「いやー,すごいね。ちょっと見せてくれんかね。もし見せてくれたら,確実に,人形の仕事とってくるよ。約束するよ」
リンリン「それ以上は,絶対なにもしませんか?」
営業部長「約束する!うん!」
リンリン「じゃあ,3分だけ見せましょう。でも,簡単でいいので,この手帳に,そのことを書いてください」
営業部長「ああ,いいよ」
営業部長は,その手帳に,『私,亀鶴広告代理店の営業部長は,女形人形を積極的に営業展開して,テレビ出演させます』と書いた。
営業部長「これでいいかな?」
リンリン「はい,いいでしょう。夏美,胸を見せなさい。見せるだけなら,大丈夫ですから」
夏美「私がですか?はずかしいです」
夏美は,ちょっと乙女のイメージで返事した。
リンリン「じゃあ,夏美,私のところにきなさい。目をつぶりなさい」
リンリンは,夏美に目を閉じさせた。そして,夏美の後ろに回りこんで,夏美を抱く姿勢で,ブラウスのボタンを外していった。ブラジャーを下げて両の乳房をはだけさせた。
リンリン「部長,これがIカップの大きさです。3分間,しっかりと見てください。これでいいですね」
営業部長「おお,これが,そうか。触ることはダメかね?」
リンリン「素手では,触らないでください。手袋をするなら大丈夫です」
営業部長「おお,そうか。手袋で触るね」
営業部長は,薄手のゴム手袋で触った。
・・・
それから10分後,,,
リンリン「もういいですか?この子が,ここまでして,部長に貢献したんです。ぜひ,女形人形のテレビ局への採用,お願いしますね」
営業部長「わかっとる,わかっとる。心配せんでいいよ」
リンリン「では,もう部長の気が晴れたと思います。もう失礼していいですね?」
営業部長「そうだな。でも,君たちは,足腰がそろそろ立たなくなるころだよ。そして,あの部分が熱くなり出す頃かな?」
リンリン「え?お酒に,媚薬でも入れたのですか?」
営業部長「いやいや,媚薬というほどのものではないよ。それに近いけどね」
リンリンは,罠にハマったと思った。そこで,呪詛のことを明らかにすることにした。
リンリン「私とこの子は,同性愛者です。愛し合っています。ですから,少しの刺激でもこの子は感じるのです。でも,この子には,とっても怖い別の愛人がいたのです。とても嫉妬深くて,呪詛をかけるのが得意です。そして,わたしたちに呪詛をかけたのです。わたしたちに触る人は,いずれ,死亡するというものです。どうか,わたしたちにさわらないでください。部長が,呪詛で殺されてしまいます。わたしは,部長にもっともっと長生きしてもらって,女形人形をもっともっと広めたいのです。お願いします」
営業部長「ほーー,面白い話だね。わたしも,職業がら,いろいろと情報があってね。呪詛に得意な人を知っているんだよ。久しぶりに電話してみるかな。君たちは,どうせ,5,6時間は動けないしね。時間はたっぷりある。せっかくだから,通話の音声をスピーカーで流してあげるよ」
営業部長は,呪詛の得意な人に電話した。それは,龍子だ。
営業部長「もしもし,タッちゃんかね?私だ。泉だ,今は,営業部長になったがね」
龍子「あれーー,久しぶりー。最近は,呪詛の特集番組はしないの?声かからないから,もう忘れ去れたと思った」
営業部長「いやー,たまたま,呪詛がかけられたという人が二人いてね。なんと,体に触ったら,その人が呪いで死ぬっていうんだ。そんな強力な呪いってあるのかね? うそだと思いけど,一応,聞いておこうと思ってね」
龍子「へーー,そうなの。その人たち,どんな人たち?」
営業部長「なんでも,とっても嫉妬深い人から呪詛かけられたんだってさ。彼女らは,動く人形のセールスレディなんだけどね」
龍子「ーーーー」
営業部長「んん,どうしたの?」
龍子「もう,その子たちに触ったの?」
営業部長「いや,まだだよ。手袋では触ったけどね」
龍子「そうなの。素手で触らなくてよかったわね。よく,電話してくたわ。絶対に,触っちゃだめよ。彼女たちの言っていること,ほんとうよ。わたしでも解除できないわ。だって,わたしもその呪詛にかかってるの」
営業部長「えーー!! ほんとうに,そうなのか?」
龍子「ほんとうよ。都心の繁華街で大量の自殺者事件があったでしょう。それも,嫉妬深い人の呪詛だって,うわさがあるのよ。ほんとうに強力な呪詛なのよ」
営業部長「わかった,ありがとう。信じるよ。今度,また機会あれば,また,詳しい話きかせてくれ」
龍子「いいわ。最近は,暇してるからね。いつでもどうぞ」
営業部長「ありがとう」
営業部長は,電話を切った。
営業部長「聞いた通りだ。いまは,君たちの話を信じよう。解毒剤だ。飲んでくれ,すぐに効くはずだ。悪かったね。こんなことして」
リンリンと夏美は,体が火照り出して,無性に性欲が湧き出てきたところだった。こんな中途半端なところでで解毒剤を飲むのもなんか尻切れトンボのような気がしたが,飲むことにした。
リンリン「信じてくれて嬉しいです。ほんとうに部長には,呪詛で死んでほしくなかったのです。ペットでもいれば,それを証明できるのですが」
営業部長「蛇でもいいかね。爬虫類が趣味でね。亀もいるよ」
リンリン「蛇でも亀でも持ってください。殺していいのなら」
営業部長は,蛇と亀の入った別々のケースを持ってきた。それをリンリンに渡した。
リンリン「死んでもいいのですね?」
営業部長「かまわん」
リンリン「わかりました。夏美,まだ,目を閉じていなさい」
夏美「はい,大丈夫です」
リンリンは,ケースから,大胆に,蛇の頭をつかんでとりだし,蛇を夏美の胸にあてた。夏美は,その冷たさが気持ちよくて,うううう,とうなり声をあげた。3分過ぎたころに,元にもどした。蛇は微動だにしなった。
次に亀を取り出し,同じく夏美の胸に3分ほど,押し当てた。そして,元のケースに戻した。亀も微動だにしなかった。
営業部長「なに?これは,蛇も亀の死んだのか?」
リンリン「いえ,気絶しました。明日には目がさめるでしょう。ですが,7日後に死亡します。それが,この呪詛なのです。決して,口外しないでください。口外した人は,いずれ見つかって,殺される可能性があります。それを知った人は全員殺されるかもしれません。それほど,怖い存在なのです。この嫉妬深い人は」
リンリンは,夏美のはだけた胸を元にもどして,ブラウスのボタンをしめた。
リンリン「夏美,目開けて。もういいわよ」
夏美「体のほてりが,少し収まってきました」
リンリン「ご苦労さま」
営業部長は,これで終わりにするのも嫌だと思った。
営業部長「そういえば,人形を持参していたね。巨乳人形のようだ。その人形の胸を触ってもいいかな?」
その提案にリンリンは同意した。あずさに呪詛がかけられているのだが,その内容は開示されていない。つまり,呪詛がないものとして扱ってもいいってことだと理解した。
リンリンは,キャリアカバンからあずさを取り出した。取り出す時,あずさの体は硬直していた。
リンリンは,あずさに声をかけた。
リンリン「あずさ,悪いけど,営業部長にその胸を触らせてちょうだい。あなたを売り込むためよ」
すると,あずさから念話で返事がきた。
あずさ『千雪様から,体を触られるのは許可されていますので,問題ありません』
リンリン「ありがとう。必ず,売り込みに成功させるわ」
リンリンは,身長50cmのあずさの服を脱がした。Kカップの胸が露わになった。
リンリン「営業部長,どうぞ」
営業部長は,にやっと,微笑んで,そのKカップの胸を触った。
営業部長「これはいい。本物のもち肌だ。さ,最高だ。このままでもイキそうだ。あっ,あーーー」
営業部長のズボンが濡れてしまった。あずさの胸を触っただけで,すぐにイッてしまった。端から見れば,なんともはずかしい限りだ。
それに,営業部長は,なんか,急激に疲れも出てきた。
営業部長「なんか,急に疲れが出てきたみたいだ。すまいない。今日は,ここまでにしよう」
営業部長は,そう言って,さっさと寝室に行ってベッドに潜り込んだ。
リンリンと夏美は,ポカンとした。
リンリンはあずさに聞いた。
リンリン「あずさ。あなた,営業部長に何をしたの?」
あずさは,営業部長が倒れた原因を知っている。でも,千雪から口外してはいけないと言われていた。
あずさ「わたしもわかりません」
リンリン「そう,,,千雪様は,あずさに,呪詛が施されているって,言っていたわね,,,殺すわけでもないし,,,じゃあ,何?」
夏美「まったくわかりません」
あずさに施された呪詛が何なのか不明のまま,リンリンたちはタクシーで千雪邸に戻った。
ーーー
2日後
龍子は,亀鶴広告代理店の営業部長に自宅に呼ばれた。龍子はマリアを連れて訪問した。
営業部長「いや,タッチャン,よく来たね。お母様もどうぞ。まあまあ,上がってくれたまえ」
龍子「また,新しい呪詛シリーズを企画しているって,聞いていますけど,詳しくお話を聞かせてください」
営業部長「そうそう,この間の電話での話,もっと聞かせてほしいのよ。世界でもトップクラスのタッチャンの呪詛使いのあんたでも解除できない。その,なんだ,嫉妬深い人の話ね。この企画は,ヒットすると思うんだよね。謝礼はたんまり出すから」
営業部長は,50万円を龍子に渡した。
営業部長「はい,50万円あるよ。ねえ。ここだけの話だからね。ちょっと教えてよ」
マリア「ここだけの話なら,いいんじゃない?」
マリアも,金の力には弱かった。マリアも龍子も,まだ千雪邸には住んでいない。結局,教団の信者用の宿泊施設が完成してから,そこに移り住むことにした。1ヶ月後の予定だ。
龍子「じゃあ,いいわ。ちょっとだけね。ばれたら,みんな,死刑になるのよ。わかったわね?」
そして,龍子は,ちょっとオブラートに包んで説明することにした。営業部長は,その話をニヤニヤしながら聞いた。
営業部長は,子犬を持ち出して,龍子に何か実演をしてほしいとお願いした。その依頼に龍子は応えて,いくつか実演してあげた。
ー 亀鶴広告代理店の会議室 ー
さらに数日後,リンリンらは,再び亀鶴広告代理店を訪問した。営業部長は,ニコニコ顔でリンリンらと面談を持った。
営業部長「リンリンさん。『あずさ』のテレビ出演,決まったよ。まだ,5分枠のニュース番組の中だけどね。徐々にしていけばいい。それと,先週の呪詛の話,確かに蛇や亀は死んだけど,たまたまの可能性もある。猫とか犬で確認したいんだがいいかね。どうしても信じられないんだよ。そんな,呪詛があるなんてね。こちらも,さらに『あずさ』の売り込みに頑張るよ。専門の人員を配置したからね。ランラン(部長秘書),ちょっとおいで」
ランラン「はい,なんでしょうか?」
営業部長「こちらが,女形人形の制作会社の人たちだ。挨拶しなさい」
ランラン「初めまして。ランランです。『あずさ』の各テレビ局への売り込みを担当しています。この人形は,可能性が無限に広がります。頑張らせていただきますので,よろしくお願いします」
リンリン「こちらこそよろしくお願いします」
営業部長「そこで,悪いのだが,先ほどの話,猫と犬で実演したのだが?」
リンリン「わかりました。決して,口外はしないように。ランランさんも口外はだめです。あなた方の命があぶないですから」
営業部長「ありがとう。では,私のマンションにいきましょう。ランラン,猫と犬をもって一緒に来なさい」
ランラン「了解です」
彼らは,営業部長の家に移動した。
営業部長のリビングルームで,ランランは,夏美に目隠しをして,彼女に何も考えずに,ぼーっとするように言いつけた。
そして,ランランは,夏美の上半身をもったいぶったようにして,ゆっくりと,服を脱がせていった。花柄のブラジャーをしていた。そのブラジャーも,美しい動作で,きれいに外していった。
ボヨヨーン!
夏美の美しい,Iカップの巨乳が露わになった。
ランランが持参した,小型犬と三毛猫を夏美の露わになった胸に3分間押し当てた。
すると,その猫も犬も眠るようにして眠ってしまった。
リンリン「これでいいですか?呪詛がほんものだと,理解されたと思います」
ランラン「うっそー!!! ほんとだわ!」
営業部長「なんと!!ほんとうだったのか。偶然ではなかったのか。その嫉妬深い人って,紹介できないかね?」
リンリン「ただでは,だめです。少なくとも100万円は必要でしょうね。それと,間違っても写真とかビデオ撮影はだめです。あなた方の身のためです」
営業部長「ああ,もちろんだよ。夏美さんに,2回も巨乳を出させて悪かったね。これで,夏美さんに何か新しい服でも買ってあげなさい。少ないけど,10万円あるから」
リンリン「そうですか。では,遠慮なくいただきます。その嫉妬深い人がもし,打ち合わせに同意しましたら,また連絡します。では失礼します」
営業部長「ああ,待ちたまえ。タクシーチケットだ。適当にタクシー拾って帰りたまえ」
リンリン「ありがとうございます」
リンリンと夏美は,営業部長のマンションをあとにした。
ー 営業部長の部屋 ー
ランラン「部長。隠し撮りなんかして,いいんですか?ばれたら,命ないって,言ってましたけど?」
営業部長「この商売,命をかけないと,やっていけないのだよ」
ランラン「なんか,どこかの部長さんが呪詛で死んだって聞いたことがありますよ。その二の舞にならなければいいのですけど,,,」
営業部長「ふふふ。勝算は我にあり」
ーーー
ー 千雪邸の千雪の部屋 ー
千雪は,最近,暇だ。茜ばかり抱く日々だったが,それも悪くはない。でも,寿命エネルギーも取り込んでいないので,このところ,母乳が出ない。ハルトには,当面,母乳はないと伝えている。
最近になって,『あずさ』を造って,『寿命エネルギー収集装置』として稼働させた。ひとり5年ほどの寿命を奪うものだ。だが,どれだけ実績を積むのか不明だ。
リンリンは,千雪に『あずさ』の製造者として,営業部長にあってほしいとお願いした。千雪は,最初はいやと言ったが,謝礼100万円の話を切り出すと,あさっりOKとなった。
そして,3日後の夕刻,リンリンは,千雪と夏美,それと『あずさ』をつれて,営業部長のマンションを訪問することになった。
ー 亀鶴広告代理店の営業部長 ー
リンリンたちは,いつものようにリビングルームに通された。営業部長は,リンリンたちを,特に千雪には丁寧に接待した。事前にリンリンが,営業部長に何度も注意したからだ。
そこでは,たわいのない話と,リンリンが改めて『あずさ』を営業部長に紹介した。
千雪は,少々,化粧を施していた。それでも,千雪が『あずさ』のモデルであることは一目瞭然だった。
そのときに,『あずさ』にある実演をしてもらうことにした。それは,通常の踊りではなく,ストリップショーまがいのようにして,服を脱ぐというものだ。リンリンが営業部長を喜ばすために考案したアイデアだ。
その一連の洗練された動きは,とても人形ができるような動作ではなかった。営業部長は超喜んでしまった。
その後,豪華なフランス料理を食べながら,一般的な雑談に終始して,この会合は終了した。
ーーーー
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