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今から百数十年前、国内初の女性内閣総理大臣が誕生したのを皮切りに、我が国の女性参政率は年々増加していった。
議席の過半数以上を女性が占め、我が国における女性の地位はみるみる向上していった。
女性至上主義はますます苛烈さを増していき、男性は侮蔑と迫害の対象となった。
そうして時が流れ、いつしかこの国では「男として生まれた事」それ自体が悪という思想に傾いていった。
そんな中、一人の議員がこんな事を提案した。
「男性を女性へ転向させる更生施設の設立は我が国の繁栄のための急務である」
この提案は瞬く間に可決され、更生施設の設立をある民間の企業が請け負う事になった。
ある一定水準をクリアーした見目麗しい男性はこの更生施設で「教育」され、「
女の素晴らしさ、気高さ、高潔さを学び、男としての性を恥、乙子になる事に喜びを見出す。そのためのカリキュラムの一環として、ミッション系女学校をモデルケースとした。
対象者の男性は「生徒」として、教官の女性は「教師」として互いに接する事で、ストレスフリーな更生を可能にし、これまでに多くの男が「乙子」として生きる事を選び、出所、もとい卒業していった。
私立黒百合学園の規則は以下のものである。
一つ、乙子は慎ましく、貞淑であるべし
一つ、乙子である事を喜び、誇りに思うべし
一つ、女性を尊び、その全てを以て誠心誠意尽くすべし
一つ、己が男であった事実を恥、一日も早い更生に努めるべし
一つ、以上の掟を守り、立派な乙子になれるよう日々精進すべし
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