第24話 始まりばっかし。

薄明光線が薄雲の間から射している。

輝度を徐々に吸い込みながら、山陰のオパール色の雪肌を硬質な群青色に染め始め沈下していく夕刻、音が音が消えていく。

ARTEKA は考えた、そろそろ暗くなる故、人目につかず済むので麓の村の共同パン焼き場に帰ろうと 。 昼過ぎに我々を訪ねてきた 馬運車に住み込んでいるKIM からウラジカフカスからおくられてきた遭難者捜索隊の規模や状況を聴き込んでいる友人のVEKTOR に彼の身内の者達を集合させる様にと伝えた。

彼等は此処何日も胸元に、大地の震えと湿度の異常を捉えていたので製パン所の連中だけでも山津波や大規模な雪崩からの危険回避の為、村の東の高台にある通称「死の都市」の墓へ避難していたのだ。

オデッサ出身のアルテカは東方を目指して旅に出たのに此の小さなカフカスの村になぜだか長居している。

彼が到着した頃、同時期にバクーから来たベクトルとは今や長老株だ。彼等より年長組は各自西に東に北へと旅に出ていったからだ。

アルテカもベクトルも「死の都市」に関しては

長老組から聞いては居たが、わざわざ温かいパン焼き場からこんな高台に登って来て墓場見学する気は無かった。

村人は彼等の祖先はあの若草むせる草原を縦横無尽に駆け回っていたアラン人だと言っているが、死の塔墓地で馬具は見つかっていない、村の近くの平地に在る

墓地からは馬具や防具が出土したらしいが。

勇敢な騎馬民族の一つにハザールも居たが、

どう云う訳だかアランと云う人名は今でも見いだせるけれど、ハザールとかカザリア、ハザリアとかは聞いたことが無い?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る