第3話 午後と喧騒


電車を降りた時、潮の香りがした。あの時と同じ香りだ。さてとどこに行こうかとパンフレットを広げる。昼時だしご飯を食べよう。そう思いパンフレットを右から左までじっと見て持っているお金と相談しながら食事処を決めた。そうして決まったのは

海沿いの少し洒落たカフェだった。そしてそこに向かって歩き始めた。

 駅のホームを抜けメインストリートを歩き始めると学校や自宅近くと違って何やらガヤガヤとしている。自宅や学校回りも朝の通勤や帰りの時間にガヤガヤとしているけれどそれとは、また違う。いつものがガヤガヤは、足音や電話の音、駅のアナウンスなどが主だが今のガヤガヤは、活気がって多くの人が楽しくしゃべったりスキップをしているかのようなガヤガヤだ。形容するならば地元の祭りの日に似ているとそう思った。

 商店街の道幅は、割と広いのにどこを歩いても人と人との距離が肩と肩とがぶつかりそうな距離だ。その中をずんずんと押し分けかき分けしながら前に進んでいく。商店街には、魅力的なお店が多いが食事を済ませてからでも時間は、あるだろうそう思いカフェへと向かった。




 やっとの思いでカフェの前まで来れた。ここまで来るとメインストリートからだいぶ距離があるし私の降りた駅と次の駅の間らへんにあるのでどの場所からも遠く人通りも少なかった。近くには、潮の匂いが満ちている。このカフェは、海沿いにありカフェの目の前には、堤防がある。その堤防にも階段がついており堤防と海との間にある砂浜にアクセスしやすいようになっていた。カフェの風貌はというと全体的に古びていて歴史を思わせる木材とレンガを組み合わせた建物だ。しかし汚いわけでは、無く外から見ても店に掃除が息とぢていることがわかる。店先には花が植えられており

それが店全体の古びた雰囲気を打ち消すかのような綺麗さを持っている。私は、店の中にはいった。カランカランっと扉に設置されていたベルが鳴る。店の中は、暗い色をした木材が基調になっておりそれに合わせるかのように机や椅子も暗い色の木材を使ったものを使っている。天井には、ガラスのシャンデリラがありそれが店内を明るくも暗くもない良い塩梅でてらしていた。

「いらっしゃいませ」

そう店主に声をかけられる。身長は、私よりも大きく170センチほどで初老を超えた風貌の白髪のいかにもな店長が声をかけてきた。

「誰かと待ち合わせですか」店長が優しい声音でそう言った。

「いいえ今日は、一人です待ち合わせもしてません」そういうとではこちらへどうぞとカウンター席に通された。店内には、店長を含め五人。私と私の二つ隣の席に座っている常連さんっぽい人と窓際で談笑をしているカップルだ。

「注文が決まりましたお呼び下さい」そう言い店長は、メニュー表を渡してくれた。中を見ると様々なメニューが書いてあったが私は、迷わずランチセットを選んだ。

店長を呼びランチセットを頼み十数分後。

「お待たせしましたランチセットでございます」

そういって店長は、私の前にプレートを置く。プレートの上には、出来立てのオムライスとアイスコーヒーそして冷水が置かれていた。オムライスにもアイスコーヒーにも特筆すべきところは、無い。ではなぜこんなところまでプチ旅行をしてまで食べるランチにオムライスを選んだかというとただ単純にオムライスが好きだからだ。

 私は、スプーンを持ち上げそのスプーンでオムライスをスプーン一杯に掬う。

オムライスから立ち上がる湯気、少し焦げたケチャップの香りが私を喜ばせる。そして口に中に運ぶ。おいしい。素朴な味がした。味が薄いというわけでは、無いむしろ濃いけれどシンプルな味付けだ。塩とケチャップくらしか入ってないんじゃないだろうかそれくらいシンプルだ。グリンピースとか玉ねぎとかも入ってない。なのにとってもおいしい。

「おいしそうに食べてくれてうれしいです」店長がそう声尾をかけてきた。

私は、口の中にあったものを全部の飲みこんだ後に「はいっとっても」

と言った。それ以上の言葉は、いらなかった

 すべてを食べ終えアイスコーヒーを飲み会計をし店の扉をあける。

「またいらしてください」店長がそういった。私は、振り返って

「今度は、彼氏でも作ったら一緒にきます」そう言い返した。

カランカランっとなって扉が開く。そして扉を閉めた。

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