第2話 午前と電車

 私は、自分の住んでいるマンションを出た。ここは、私が田舎から高校に通う為に借りたマンションだ。家賃は、月50,000円食費は私一人だから30,000円そして雑費が月20,000円。計月々100,000円を使って暮らしいる。家賃50,000円は親がその他50,000円は私が支払っている。高校生活は、3年間ある。それを考えると私の親は家賃だけでも3年間で180,000円。その他、学校の授業料も払ってくれている。

本当に感謝しかない。大学には、自分のお金だけでいこうと思う。これが私ができる親孝行だ。奨学金を全額借りれられるようにテストも上位を維持して内申点を上げて推薦が受けられるように先生にいい顔をする。正直ストレスだ。これだけ頑張っても大学に行って卒業をしたら約9,000,000円の奨学金という名の借金をすることになる。けど今日は、そんなことは、考えずに行こう。そうしよう。




 駅に着く。私のマンションは街から少し郊外にあるので電車を使わなければそこそこ遊べるところには行けない。夏休みの終わりだろうか。少し駅に人が多い気がする。

本当に気がする程度だけど。駅のホームをグルっと見てふと一つのパンフレットが目に留まる。海沿いにある最近ここらで活気が付き始めた商店街のパンフレットだ。

近くには、砂浜もあり思い出作りには、ピッタリかもしれないけど、、、若干遠い片道1時間半。悩みどころだ。けどまぁ今日は、私一人だし少し遠出してもいいよね。

そう思いパンフレットを手に取って電車に乗った。




 電車の中で一人でいるのは、とんでもなく暇だ。今日こんなこともあろうかと最近はやりの小説を持ってきたが私には合わなかったらしくすぐに読む手をとめてしまった。この電車は、街中を通るから電車の窓から見える景色をながら行くには、暇すぎた。こんなことだったら遠くに行くべきじゃなかった。はぁっとため息をを出そうとしてとどまりトートバックから午後の名を冠する紅茶(ミルクティーが一番のお気に入り)を取り出し一口含んだ。少し気持ちが落ち着いた時ごろに次の駅に止まり新しい人が乗り組んでくる。その中でひと際目を引くのは、浴衣を着た高校生のカップルだ。どこかで祭りでもあるのだろうか。そう思いながら眺める。少し心に淀みができたことを感じる。嫉妬してるんだ幸せなあの二人に。私が望んでも手に入らないあの関係性に。こんな自分が少し嫌いだった。こんな自分はたぶんアイツからも嫌われるだろう。今頃あいつは、私じゃない「友達」とどこかで遊んでいるのだろう。

ちょっと気が沈んできた。ダメだ。ダメだ。

今日は、思い出を作りに来たんだ。楽しみに来たんだこんな気分じゃ楽しめない。

いつの間にかうつむいていた顔を上げる。

世界から一瞬音が消える。青い空と海が見えた。大きな入道雲がうみのずっと向こうに見えた。昔まだ田舎にいた時に初めて海を見た時と同じような感激を受けた。私は、山育ちで13歳の時に初めて見た。写真や本などでは、見たことがあったけどこの目で本当の海見たのは、そんな年になってからだ。アイツが私に海を見せてくれた。 今思えばあれが人生初のデートというやつだったのかもしれない。あの頃の私は、私の大好きな祖母が亡くなって学校にいけないほど傷ついていた。母も父も何もいわなかった。そんな時に家にアイツが来た。私の母と父に少し早口で少し借りていきます。と言って手をひっぱられていっしょに電車に乗ったことを覚えている。アイツが小銭をジャラジャラと券売機に入れて私と自分用との二枚の切符を買って電車に乗った。行きの電車では、何の会話もなかった。私は、久しぶりに出た外に驚いたのかおろおろしていた。アイツは、ドンっと腕を組んで座っていた。電車から海が見えたんだ。私は初めて見た海に興奮した。よくわからない興奮だ。そんなことをしている間に電車がついて一緒に砂浜に行ったんだ。そこでアイツは、、、ガタンゴトンそんな音が段々とその間隔が広くなっていく目的地が近いらしい。

バックをもって席から立つ。電車が止まった。降りた。

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