第25話
イフリートは、魔王軍を裏切り、リッカに下った。
その衝撃は、国中に伝わる。
人の国だけではない。魔族の国にもだ。
「えへへ。リッカ
姐さん? リッカは、聖女だぞ? なんか、族長になっていないか?
「……イフリート。精霊界に戻っていなさい。用ができれば召喚します」
「サー、イエッサー!」
イフリートが消える……。
「リッカは、召喚士でもあるのか?」
「ステータスの割り振りで、"精霊との契約"を取りました。でも、召喚士を名乗れるほどではありませんよ」
イフリートは、上位の精霊ではないのか?
私は召喚士と組んだこともあるが、とても小さい精霊を使役する程度だったぞ?
「まあ、聖女なのだ。私には理解できないんだろう。そうだな、サポートジョブと言ったところか……」
目の前には、ゴリマッチョなゴツイ銃を携えた、屈強な回復術師がいる。もはや、
攻撃は、凶悪と言うしかない弾を撃ち出し、膨大な魔力による回復、そして、精霊の使役か。
そうか、これが異世界の聖女か。その真の姿なのだな……。異世界なので、前の世界のイメージを持っていて混乱していた。修道女ではないのだ。
「ふう~。しかし、私はやることがないな……」
リッカの成長後、私は正直暇だ。
「それならば、次はヘーキチさんが戦いますか?」
「む? いいのか?」
「そうですね。次は、風の砦に行きましょう。ガルーダがいます」
久々に働くか。私は、指を鳴らした。
◇
野を超えて、山を登ると風の砦が現れた。
「あそこにいます」
「あれか……」
ここで、鳥の魔物が襲って来た。空を覆い尽くすほどの大群だ。
私は、斧と戦槌を握った。
「物凄い数ですね~。手伝いますか?」
「全て叩き落す!」
私は突撃した。
百匹、千匹、一万匹、十万匹……。魔物の死骸で地面が見えない。
しかし、小鳥が多かったが、鳥の群れと言うのも手強いものだな。
陣形を組んで攻撃されるとは思わなかった。
始めは、魚鱗の陣で突撃して来たが、先頭を叩き潰してやった。次は、鶴翼の陣で包囲して来たが、乱戦は私の得意とするところだ。数が半分になるまで倒して行く。
その後、上空からの魔法攻撃に変更して来た。司令官がいるみたいだ。
私は飛べない。確かに有効だが、投石にて対処する。銃は使わない。弾丸は高いのだ。こんな雑魚には、使いたくない。
次々に落としていったが、ここでリッカが動いた。
――ドカ~ン
目も眩む一撃が空に向かって放たれると、魔物が一掃された。
「リッカ。今日は私の番じゃなかったのか?」
「うふふ。余りにも時間がかかっていたので~。つい~」
うーむ。魔法攻撃力特化と言っても過言ではないな。
翔んだ聖女もいたものだ。
砦に着くと、ガルーダも降伏して来た。
それもそうだな。あんな威力を見せられたら、戦う気も起きないだろう。
今日は、私の番と思ったが、リッカに美味しいところを持って行かれてしまった。
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