第24話
今はリッカと、トロールが対峙している。
トロールの剣がリッカを襲う。リッカは……、躱さない。
ザックリと切られるが、回復魔法で瞬時に傷を癒している。まず始めに防御と教えたのだが、間違った捉え方をしてしまったみたいだ。
リッカの笑みを見た、トロールが恐怖で硬直したのが分かる。
リッカは、短銃を抜いた。
――パン……、ドサ
「ぐおおぉ……」
トロールが、その身を変形させて息絶えた。回復魔法と言うのは、攻撃にも使えるのだな。
私も回復魔法は使えるが、"再構築"は無理だ。だが、面白いと思えた。
しかし、異形と思える姿にするのはどうかと思う。肉だるまと表現できそうな姿になっているが? 仮にも聖女の攻撃なんだろう?
「リベンジも果たせました。経験値も得て、レベルアップも凄いことになっています。何でもできる気がします。魔王四天王に向かいましょう」
主導権を取られてしまったか。まあ、私に戦略眼などない。私の戦術は、特攻・前進のみだ。
ここは、任せよう。
「四天王と言うが、どんな相手なのだ?」
「まずは、最強と呼び声の高い、火魔性から倒して行きましょう」
「いきなり、最も手強い相手に向かうのか?」
「はい。倒せれば、魔王軍の弱体化が望めます。その後、残りの四天王を一度に蹴散らして、魔王に挑みましょう」
まあ、そうだろうけど。発想が、突飛過ぎないか?
私の知識であれば、周囲から削って殲滅して行き、最後に魔王だと思うのだが……。
どんな戦略なのだろうか。
まあいい。
「分かった。任せる」
「はい!」
リッカは、怖い笑顔だ。もはや、獲物を狙う
◇
四天王が守っているという砦に着いた。
「炎のイフリートですね。まあ、覚えなくていいです、倒しますので」
ふむ? それは、強者の言葉だが?
リッカが、銃口を砦に向けた。
まだ、数キロメートルの距離がある。なにをするというのか……。
――ドパン
大轟音が響き渡った。まるで、アームストロング砲。いや、戦艦の砲撃だ。銃の反動など、どうなっているのか。
あ……、地面が割れている。踏ん張っただけなのか……。凄いな。
そして、二度目の大轟音が響き渡る。
「砦が崩壊しているのだが?」
「まだですよ。ここからが私の再構築魔法になります」
ほう……。砦を見ると、城壁が暴れ出していた。まるで生物だ。タコとかイカの触手みたいなのが、暴れ回っている。
魔族達は、混乱の極みに達したらしく逃げ始めた。
確かに、あれは怖い。理由もなく、石畳が蠢き壁が迫って来たら、まるで
「魔力の回復まで、後数秒待ってくださいね」
「そんな短期間で、魔力が回復するのか?」
「聖女の称号の効果です。〈魔力回復量:極大〉を持っています」
素晴らしい。素晴らしい以外の言葉が出ない。あんな威力を日に何度も撃てると言っている。
もうこの娘が、勇者でいいんじゃないか?
少し待っていると、悪魔っぽいシルエットの魔族が近づいて来た。
「イフリートですね。排除させて貰います」
「待て、待ってくれ! 降伏する!」
「昨日、街を襲っておいて?」
「謝罪する。賠償金も支払おう!」
なんだこれ? 魔族の四天王が、聖女に下ろうとしている?
許されるのか?
リッカを見る。
「もう、この世界では、最強の一角だな」
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