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「え、星七、なんて?」


「私が初めてプレイしたゲーム。四角の中に星を七つ探す、ゲームなんです」


 さっきの話の続きかとようやく理解しつつも、天宮の言うゲームが一体何のタイトルを指しているのかが分からない。


「何てタイトルだ? 四角の中に星を探す? スーパー配管工64は七つじゃないしな……」


「っていうか星を七つって、星七の名前じゃん。もーこの子、酔ってるなー」


 笑い声が響く中、天宮は浬だけを見つめていた。


 あぁ、またこのだ。瞳の奥に、強く、激しく輝く星を宿したような――


「久城さん、タイトルあてゲームです」


 そう言って、天宮は仄かに色づいた頬を緩ませる。その、どこか掴み所の無い笑みにどぎまぎしながら、浬は視線を彷徨わせた。


「タイトル……今のところ思いつかないな。……というか何で俺に?」


「久城さんはゲーマーの鏡なので、きっと分かると思いまして!」


 そう言われると、ゲーム好きとして挑戦を受けないわけにはいかない。


「わかった。正解を思いついたら言う」


「はいっ、楽しみにしてます!」


 元気よく天宮が頷くと同時、再び肩に重みを感じた。ギョッとして隣を見やると、雪平が浬の肩に頭を預け、すやすやと寝息を立てている。


 声にならない悲鳴をあげていると、他のメンバーもこの事態に気付いたようだった。


「うわっ、雪平ちゃん大丈夫?! 潰れちゃった……?」


「あらあら」


「ギャルゲーならスチルになるところね」


 黒木はのんびりと酒を飲み干しながらそんなことを言うが、浬は気が気では無かった。


「お……俺は一体どうすれば……」


「しばらくはそのままにしておいてあげたらどうかしら。すぐに目を覚ますかもしれないし」


 と花里アドバイスをもらい、浬は極力動かないよう努めることにした。しかし――……



――――……



「雪平ちゃん、起きないわねぇ」


 困ったような花里の視線は、浬が背負った雪平に向けられている。ほんの少しのアルコールでぐっすりと眠ってしまった彼女は、退店の時間になっても目覚めることはなかった。店に迷惑をかけるわけにもいかないので、とりあえず浬が背負ってビルの外まで出て来たのだ。


 時折耳にかかる吐息や、背中の温もりや感触には全身全霊で意識を向けないようにしつつ、これからどうするか思考を巡らせる。しかし答えを出す前に、宇佐見から救いの手が差し伸べられた。


「あっ、あたし雪平ちゃんの最寄り駅なら知ってるよ! 前に聞いたことあるんだよね」


「た、助かる。とりあえずその駅までタクシーで送るか……」


 宇佐見のコミュニケーション能力に感謝しつつ、駅名を聞いてタクシー乗り場に目を向ける。

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