第一話 "陰謀の幕開け"
ゼルガフォート。オーレルムを縦断するように敷かれた、中央鉄道の上に存在する街。
物資の流通も良く、人も多い。一方で、砂漠からの来客というものはとても少ない。大体は鉄道に乗ってやって来るか、北か東の街道を、ロバなり馬なりを使って来るものだ。バセルと門前で別れ、南門から徒歩で街に入ってきたPCたちは、物珍しそうに見つめてくる人々の視線を感じたりもしただろうか。
ローランド:「やれやれ……またここに戻る日が来るとはな」
フェルーザ:「我が鉄道よ!私は帰ってきたであります!フーハハハ」(テンション高め)
GM(セレス):「私も、ここに来るのは、二年ぶり、かしらー」一応、一年はここに滞在してたのでね。
ホープ:……落ち着かない様子で、ダシュアの後ろで服をつかみます。
ダシュア:「おわ、ホプちどないしたん?ビビりはった感じ?」
ホープ:「……おちつかなくて、その……しばらく、一緒にいて。」
ダシュア:「ええよー!きちんと掴まっとってなぁ」
アルゲス:「ワタシは、ここに来るのは初めてですね。さて、まずは───」ところで、冒険者or放浪者のくだりってやります?
GM:あー。このタイミングでパパっとやりましょう
そう。このゲームブック、なんとヴァグランツPC対応である。
……というかまぁ、ご覧の通り、開始時点でどこの組織にも所属していないので、冒険者でもなんでもない、本当にただの旅人なんですね、今のPC達。
アルゲス:では……「ある程度ここで活動することになるのなら、先に足場固めでしょうか」
そういう訳で、冒険者ギルドに向かいつつも。
ローランド:「あー……わりぃ、俺多分ブラックリストに乗ってるよ。お前たちで登録してくれ」
GM(セレス):「あら。ローラン、悪いこと、したのね?」
ローランド:「まあな。じゃなきゃマカブには流れてないよ」ニヤリと笑っておく。ということで、街にいる間はフードを被るよ。
ダシュア:「やんちゃさんやったん?やるぅ~」
GM(セレス):「……つまり、今後、わるいことをするなら、冒険者にならない方が、都合が良いのね」とにっこにこ。ちなみにこいつはビルド的にどっちでも問題ないので、せっかくだから放浪者になるよ。
この様に、冒険者登録をしない(=放浪者として旅をする)選択をすることもできるのである。
ぶっちゃけ放浪者、滅多に選べる機会が無いと思うのでこういうところでやってかないとね!!
アルゲス:「おや。……では、私も登録は避けておきましょうか。冒険者として動くもの、そうでないもので別れておいた方が、見える情報も変わるでしょう」
フェルーザ:「え゛、マカブ、そういう村だったのでありますか……?気概の良い里ではあるとは思うのでありますが……」と言いつつ、登録処理を進めます。
アルゲス:「……フェルさんの小さな誤解は後で解かせて頂くとしましょうか」
ダシュア:「うちは登録するよ~。指揮も勉強しはらんとあかんし」
ホープ:「私も……軍師には興味があるんだ。だから、とうろくしちゃおうかな……」
ということで、ローランド、アルゲス、セレスティアの三人が放浪者、のこり三人は冒険者として今後旅をしていくことに。
この時点で、パーティによってだいぶ色が違ってくる気がしますね。放浪者がいないこともあれば、全員放浪者なこともきっとあるはず。
GM:登録手続きもしたところで、本目的を。ワリムから教えられた通りに大通りを外れ、小路を探せば、すぐにそれらしき店が見つかる。隠居したと言いつつも、商いはまだ続けているようだ。薄暗い店内の壁に床に、所狭しと物が並べられているのが、店の外からでも分かる。
ダシュア:「お邪魔しま~す。」
アルゲス:「さて、素直に情報を得られればよいのですが……」
GM:では、早速店の中に足を踏み入れてみると……アシムの姿は見当たらない。代わりに、なにやら鉄錆のような匂いが、店の中に漂っている。
ホープ:「……嫌な臭い……怪我したときに嗅ぐにおい……?」
フェルーザ:「むむ……整備中によく香る匂いでもありますな。しかし屋内でなぜ……?」
アルゲス:「……警戒を」眼鏡を外して、店の中を見渡します。
GM:そうすると、すぐにでも気がつくだろうか。足元に、なにか赤い染みが───血溜まりができていることに。
ホープ:「……っ!?」
GM:血の流れてくる方向を見れば、壮齢の男が一人、頭から血を流してうつ伏せに倒れている。そしてその容姿は、聞いていたアシムの情報と一致する。
ローランド:「おい爺さん!しっかりしろ!」
ホープ:思わず駆け寄ります。「いま、神聖魔法をつかいますから……!」
ダシュア:「ん、ホプちはケガ治したって。アルぴ、店の奥見てみる?」
アルゲス:「ええ。ローラン、この場の警戒は任せていいですか?」
ローランド:「あぁ、任せろ。」
GM:そうこうしていると、治療を試みようと近づいてきたホープの手に、アシムはあるものを差し出す。血に塗れた、古びた手槌だ。
ローランド:「なんだ?それは」
ホープ:「わかんない……わかんないけど……」
GM:その手槌を渡すのと同時、男は絞り出したような声で呟く。『黄金の……キャラバ……ン……』そして、治療も虚しく、そのまま息絶えてしまった。
ホープ:「……!だめ!起きて……頑張って……!」
GM(セレス):「……駄目。脈が、もう」首を横に振るね。
アルゲス:「……わかりました。ワタシ達も、今のうちに離れましょう」
ダシュア:「しかし……黄金のキャラバン。うちがまだ、キャラバンにおった時に聞いたことあんなぁ」
フェルーザ:「あの幻獣達のキャラバンでありますか……」
ローランド:「考察はあとだ。事件に巻き込まれる前に離れよう」
その通り。こんな場面を誰かに目撃されれば、真っ先に疑われるのはPCたちなのである。
GM:そうしようとしたところで。偶然、店に客が入ってきてしまう。『あん。なんか騒がしいね?』
ローランド:「っちぃ!ホープ、その手槌だけは回収して!」
ホープ:「う、うん……!?」
GM:どたばたしている君たちを不思議がりつつ、視線をその中心にいるアシムに向けると、青ざめた顔に。『だっ……誰か!人殺しだ!アシムの爺さんが!!』そう叫ぶよ。
ダシュア:「ぼけっとしとらんといくでぇ」翼を生やして、ホープを抱えて飛んでいく。
ローランド:本棚とか机とか、盾で張り倒して撹乱していこう。
アルゲス:裏口とかあるかな。そこから逃げ出しましょう
GM:裏口はあるね。けどもちろん、この後追ってくる衛兵達もそれは使ってくる。ので、どうにかしてやり過ごせる場所を見つけることになる。ということで探索判定だ。誰か一人でも成功すればオーケー。
さて、初めての判定のお時間。目標値は控えめだったのだが……
アルゲス(スカウト持ち1):……スカウトォ!(失敗)
ローランド(スカウト持ち2):お前、スカウト降りろ(達成値、ドベ)
GM(セレス):ちょっと男子ぃ~(平目)(成功)
ダシュア:こいつはキャラバン出身!!(平目)(成功) 魔法の言葉かもしれん、キャラバン出身
スカウトコンビが見事失敗、一方で平目組が成功するという事態に。
平目でも成功の余地がある初期作帯、たびたびこのような事件が起こりますね。
ダシュア:「こっち!」路地を曲がり、空き家に突っ込む。
GM(セレス):「そうね、そこなら!」ダシュアが突っ込んだ空き家へ、皆を誘導するよ。
フェルーザ:「ぬおお、あのしつこさ、味方ならいざしらず敵に回すと厄介でありますな!」
GM(セレス):「まったく、お勤め、ご苦労様、なのだわ!」全員が入ったことを確認して、扉を閉める。程なくして、空き家の前をどたどたと走り抜けていく音がする。どうやら見つからずに済んだみたいだ。
アルゲス:「……ふぅ。怪我はありませんか?」一息ついて眼鏡をかけなおす。
ホープ:「うん……ダシュアねーちゃんが守ってくれた」
フェルーザ:「……はぁ~」と大きく息をついて。「まさか、生涯で官憲に追われる身となることがあろうとは、夢にも思わなかったでありますな……」
GM(セレス):「えぇ。悪いこと、まだ何も、してないのだわ」
ローランド:「幸い、俺はフードを被ってたから顔は見られてないが……お前たちはどうする?あの薄暗さじゃあ、見られても顔までは覚えられないと思うが」
GM:とは言え、容姿くらいは覚えられてしまっただろうね。六人組、というのもバレてしまった。
ホープ:「……この街には、長居できなさそう?」
ローランド:「少なくとも、この騒ぎが収まるまではな……」
アルゲス:「同感です。……本来ならば、もう少し情報を集めたかったのですが。仕方ありません」
フェルーザ:「最後の言葉が気になる所でありますな。小槌も、そこへ持っていけば分かるやもでありますし」
ダシュア:「ともあれまずは、この街から出る方法を考えなあかんよねぇ……」
GM:では、街からの脱出方法についての話だ。ひとつ、城門から普通に出ていく。ひとつ、君たちと一緒にゼルガフォートに来てくれた商人・バセルを頼ってみる。ひとつ、自力で脱出ルートを探す。
ローランド:「強行突破は……まぁ無理だろうな。バセルさんに頼んでみるか?」
ダシュア:「せやねぇ。付き合いは長いし」
ホープ:「でも、商人さんは、どこにいるんだろ……」
GM(セレス):「いつも借りてる、宿がある、そうよ。そこで会えるか、そうでなくとも、話は聞けるかも、かしら」
アルゲス:「伝手もない今、彼に頼るしかないでしょうか。心苦しくはありますが、ね」
GM:では、彼が借りているという宿・"石竜のねぐら亭"に向かうことに。流石に、まだ一般人にまで顔や容姿が知られてはいないようで、店に入っても、君たちは特に注目されるようなことはないね。
ダシュア:「店員はん!バセルっていう商人はんいらっしゃらん?」と声をかけに行く。
GM:『なんだい。見ない顔だな』『バセル?……あぁ。あいつならさっき、荷物を置いて出かけちまったぞ』
フェルーザ:「むむ。何処へ行く等何か言っていたでありますか?」
GM:『行き先までは聞いてねえなぁ。そんなに長い用事じゃあないっつってたけど……』
アルゲス:「……あまり長居はしたくないですが、歩き回るよりかはましでしょうか?」
GM:『おっと。一応、宿屋兼飲食店なんでね。何も頼まずに居座られるのは、流石にお断りさせてもらうぜ』ということで、店で待つなら一人あたり5G、トータル30Gのお支払が要るよ。
現代、というか現実においても、飲食店で何も頼まずに(あるいはめっちゃ安いものを一つだけ頼んで)長居するのは、スゴイ級シツレイに値する行為である。
メニューも場所代込みの値段、なんて言われたりしますね。
そんなこんなで、キャンペーン特有のお食事代を支払うイベントがやってきたのですが。
ダシュア:「そらそうやねー、みんなどないする?」ちなみに所持金は20G。
ホープ:325Gあるよ。
ローランド:こっちは110Gあるぜ。
GM(セレス):私もこんなこともあろうかと160G。
アルゲス:(財布チェック)(残り10G)笑って誤魔化す。
フェルーザ:内心冷や汗をかきながら、他のPCたちに縋るような目線を……(0G)
マギシューのフェルーザは運用コストが控えめな代わりに、導入コストがそれなりに高いのでまぁ仕方ない。ダシュアも金属鎧に加えて魔法職なので、発動体の費用もある。
アルゲスは……自業自得、かな……( ᐛ)(眼鏡とぬいぐるみで200G使ってる)
GM:『……神殿みたいな慈善事業じゃないんだ。金の無い奴に食わせる飯は、ウチには無いぞ』と、お金の無さそうな面々を冷たくあしらうよ。
ホープ:「……おじさん、これで足りる?」と10Gをカウンターに背伸びをして置く。
ローランド:「まぁ、仕方ない。お昼にしようか?」俺も10G出す。
ダシュア:「うちは自分の分は出すよ~」どうせ魔神召喚はしないしね。「はいうちの分!フェルちとアルぴは二人に感謝せなあかんよ~」
フェルーザ:「ハイ……」肩身が狭い……
アルゲス:「……ええ、そうですね。ありがたくいただきましょう」
GM:『なんだ。払えるなら、最初から払っとくもんだぜ」金を受け取ると、厨房へとオーダーを伝える。この時間は、決まった定食メニューが提供されるみたいだ。
アルゲス:「……では今のうちに、"黄金のキャラバン"についての話をお聞きしてもよいでしょうか」
GM(セレス):「そうね。情報の、整理も、しておきましょうかー」
ちなみに当然ながら、"黄金のキャラバン"に関する情報も、本の序盤に記載されてます。
このゲームブック内に限らず、オーレルムを舞台とするセッションを行なうことがあれば、割と活かせそうな設定の組織です。他の地方であっても、彼らと同じようなキャラバンを存在させてみても面白いかも。
GM:さて。話をしつつ食事を摂っていると、店の扉がやや乱暴に開かれ、武装した数人の衛兵が入ってきた。『失礼。先程、路地裏にて殺人事件が起きたもので、聞き込み調査を行なわせてもらっているのだが』
アルゲス:「……静かに。」(口に人差し指を当てる)
ダシュア:「どないする?逃げるか、隠れるか、はったおすか」
ローランド:「完全武装した衛兵に勝てるわけが……」
アルゲス:「えぇ。やり過ごせれば一番ですが……」
GM:『……六人組で、この街の住人じゃない……あぁ。それなら、今さっき……』と、君たちを庇う理由もない店員は、さっそく君たちのテーブルへと案内しようとしている。見つかる前に隠れなければ───ということで、隠密判定です。
ここの判定、全員成功しなきゃいけないとか書いてあったけど、まぁ無理ゲー極まりないので、二人以上成功すれば良いことに。
この辺りの調整はアドリブ有りでやろう、と事前に周知済みです。GM有りでゲームブックを遊ぶ場合、そうした方が逆にスムーズに行くことも多いはず。
アルゲス:(コロコロ)やめたらスカウト!(失敗)
GM(セレス):(thinking_face)どうせ戦闘で恩寵使うことねえな私!今使っちまいな!!
なおアルゲス、またも失敗した模様。
〈剣の恩寵〉ルールを採用していたため、戦闘で使う機会が無いであろうセレスがここで切り、素で成功していたローランドと合わせて無事2成功に。
ローランド:「……いざとなったら俺が騒ぎを起こす。お前らはその隙に逃げろ」
GM(セレス):「無茶、なのよ。……あっち。荷物が積んであって、うまく隠れられそうよ」と皆を誘導するよ。
アルゲス:「……では、そちらに」途中で椅子に足をぶつけかけつつ。
GM:では間一髪、衛兵達の尋問を免れた。『む……逃げられたか?逃げ足の早い連中だ』『ご協力、感謝する。なにか分かったらすぐに教えてくれ』やがて、ぞろぞろと店を去っていく。
ホープ:「……いっちゃった。」
フェルーザ:「た、助かったであります……」
ローランド:「とは言え、もうここにはいられないぞ。さっさと離れよう」
ダシュア:「バセルはんはどないするん?」
GM(セレス):「また、別のところで、探してみる、しか───」と、言うのと同時。衛兵と入れ替わりで、バセルが店に戻って来たよ。『あれ。君たち、どうしてここに?』
ホープ:「商人さん……!」
アルゲス:「……首の皮一枚、といったところでしょうか。バセルさん、またアナタを頼るのは非常に心苦しいのですが───」と、さっきアシムのお店であったことを説明しよう。
GM(バセル):『本当に災難だね、君たち……とは言え、流石に僕の力じゃ、それはどうしようもできないな……すぐに街を出るべきだとは思うけど、城門は当然警備を固められてしまっている。そこから抜け出すのは無理だろうね』
ダシュア:「抜け穴的な、あらへん?」
GM(バセル):『……そうだね。そういう道を知っている人が、いるにはいるらしい』
ホープ:「その人を頼れば、出られるんだね!」
GM(バセル):『うん。君たちみたいな……って言うと失礼だけど……訳あって、街から逃げ出さないといけない人の手伝いをする、"逃し屋"っていう仕事をしている人が、遺跡ギルドにはいるんだって』
フェルーザ:「成程、遺跡ギルドでありましたか」
ダシュア:「うちはよぉ知らんなぁ」
ローランド:「何度か世話になってたな……まぁぶっちゃけると、盗賊ギルドのシノギだ」
GM(バセル):『ま、あんまりいい噂は聞かないね。発掘物を裏ルートへ横流ししたり、調査の権利を独占したり。でも、頼れるのは確かだ』
アルゲス:「そのような方を相手にする職となると……金さえ積めば、ということなんでしょうが」
フェルーザ:「えぇ。先立つ物は……」財布が軽い……
GM(バセル):「そうだね、お金がそれなりに要る。……けどまぁ、君たちがそんなお金を持っていないことも、僕は知っている」そう言いながら、小袋をひとつ君たちに差し出す。覗けば、それなりの額のガメルが入っている。
ローランド:「……いいのか?」
ダシュア:「バセルはん、お人好しがすぎるんちゃうか?」
GM(バセル):「はは。出世払い追加、または乗りかかった船、ってことで。そもそも、お金を稼げる状況でも無くなっちゃったでしょ?もう」
アルゲス:「……全てが終わった後、マカブはアナタに返し切れないほどの借りを抱えてそうですね」
ちなみにバセルさん、どうやらその昔、砂漠で死にかけていたところをマカブの民に救われているとのこと。なのでPC達は、むしろ恩を返されている立場なのである。
……が、そこを読み飛ばしていた私が、その辺をセッション中に触れることは一切なかったもよう。てへ。
まぁほら、商人は義理人情に厚く、それでいて簡単には弱みを握らせちゃいけねえってことでね……
ホープ:「それじゃ……いそご。時間は、とまってくれないから」
ダシュア:「ありがたく貰うよぉ。おおきにね!」
GM(バセル):『あぁ、頑張って。……さて。僕は何も見なかったし、聞かなかったことにしよう。ご飯を食べたら、次はトリファにでも向かおうかな』
アルゲス:「……では、次は"逃し屋"ですね。なんとも、慌ただしい旅が続きますね」
フェルーザ:「こんなはずでは無かったのでありますなぁ……」(若干涙目)
GM:では再び、人気のない裏路地を通って遺跡ギルドへと。立地に似つかわしくない、不自然に立派な建物の中、受付と思わしき柄の悪い女性が、タバコを咥えて君たちを見つめてくる。
ダシュア:「こんにちはぁ。遺跡ギルドってここで合ってはる?」
GM:『なんだい、ぞろぞろと……あん?六人組、見ない顔……はぁん。なるほど』
ローランド:「話が早いな。……金はあるぞ」
フェルーザ:「無実であります。それだけは言っておきたいであります」
GM:『おや。そっちも話が早いね。……ま、金さえ払ってくれるなら、アタシらは何も言わないさ』そう言って、出された金が充分なことを確認すると、受付の近くのテーブルで酒を飲んでいた男に声をかける。『仕事だ。こいつらを連れてってやんな』
ホープ:「お、お願いいたします……」
アルゲス:「えぇ。暫くの間、頼らせて頂きます」と一礼。
GM:『……馴れ合いは要らん。どうせ、すぐに別れることになるんだ』『準備がいいなら、もう出発する。着いてこい』と、ぶっきらぼうに言いながら建物の外に向かうよ。
ダシュア:「ほな!みんな行くよぉ~」
フェルーザ:「信用商売である故、信じさせてはもらうのであります」そう言いつつも、(依頼者を順次消していけば、契約違反は報告されないのでありますが……)と一抹の不安を抱き。
GM:『あぁ。……あぁ。そうだな、"信用第一"がうちのモットーだ』と皮肉な笑みを浮かべながら、君たちを路地の更に奥へ、奥へと連れて行く。やがて、地下へと降りる梯子を伝うと、街の地下水路へと無事に到着する。ちなみに、この人も普通の人間なので、光源としてたいまつを自前で用意するよ。
逆に[暗視]持ちだったらそれすらも用意してくれなかったんだろうか、たいまつ別料金とかいう狡い追加オプションが用意されていたんだろうか、とは思うところである。
GM:『それで。あんたら、お急ぎだったか』水路をしばらく進むと、そう訊いてくる。
フェルーザ:「そうであります。無実にも関わらずこうやっているのは、それがあるからでありますなー」
アルゲス:「ええ。可能な限り、速やかに脱出をしたいですね」
GM:『そうか。……次の分かれ道なんだがな。右に曲がれば近道だが、アンデッドの住処と化しちまってる。左に曲がれば安全だが、時間はそれなりに掛かる』
フェルーザ:「アンデッドでありますか……ホープ殿の力量に依る所大となりそうでありますが……」
ダシュア:「うちはどっちでもええよー。低位のアンデッドなら、うちが庇いきれるやろうし」
GM(セレス):「そうね。流石に、そんなに強いのは、いないのよね?」と確認すると、『ま、途中でくたばった奴のゾンビとか、レヴナントとかだな。そんなのに負けるような奴じゃ、街を出た所で、って話だ』と返されるね。
ローランド:「急がば回れとは言うが……出口を衛兵に感付かれたらお終いだし。近道から行こう」
GM:では分かれ道を右に曲がる。やがて、水の流れる音に紛れて、呻き声のようなものが聞こえてくるようになる。『……この辺だな。じゃ、掃除はよろしく』
アルゲス:「ええ。それでは……荒事の時間といきましょう」眼鏡を外して、前に。
ローランド:「仕方ない。人を殺すよりはマシか」
ホープ:「……覚悟は、できてます」聖印を握りしめます。
GM:そのまま少し進むと、たしかに何匹かのアンデッドが立ち尽くしている。これを無視して強行突破、というのは難しそうだ。……ということで、本書特有の『チャレンジ』ルールのお時間です。
本作、道中でのイベントの形態のひとつとして、オリジナルのルールが用意されている。それがこの『チャレンジ』だ。
簡単に言えば、用意された選択肢(だいたいは行為判定)の中から、それぞれひとつを選び、挑戦する……というもの。
成功させることができれば、固定キャンペーンにおいてはとても貴重な経験点やガメルを得られる。なるべく成功させたいところ。
GM:初回のお題は、『先制判定』『命中力判定』『魔法行使判定』『物理ダメージを与える』『物理ダメージを受ける』。最後の一つだけは何人でも挑戦できます。そしてセレスは、特に要望が無ければ物理ダメージを受けるよ。
ダシュア:よかろう、物理ダメージを受けてやる。ちなみに練技は使用可能?
GM:戦闘1ラウンドで行える範囲の行動まではオッケー。ただし、他人にバフやデバフをかけるのは無し。あくまで各個人のパワーだけで解決してください。
ホープ:先制、【陣率:軍師の知略】があるからいけるなぁ。
アルゲス:物理与ダメは私かな。
ローランド:俺は命中かな。フェルーザは……マギテ2だし、魔法行使ありじゃない?
ホープ:恩恵、切るのもあり?
フェルーザ:そうでした、恩寵の切りどころですね……物理ダメージは素通しですし(防護点/Zero)
ということで、各自得意分野を担当して、全判定を成功させた。
セレスの被ダメが少々大きめだったのも、ホープが【キュア・ウーンズ】をして解決。
私(というかセレス)としても、ここで経験点を稼げていると大変有り難い(具体的には、戦闘まで入れて経験点が1500入る)ので嬉しい結果である。
GM:無事にアンデッドを掃討し、再び歩くこと数十分。地上へ登るための梯子が見えてくる。『あれを登れば、街の近くにある崖の上に出る。少なくとも、衛兵は張ってないだろう』
ダシュア:「おおきに~。あんさんは一人で大丈夫なん?」
GM:『いざとなったら死ぬ気で走るさ。じゃあな』と、足早に来た道を引き返していく。
ローランド:「あぁ、じゃあな。……さて、俺が先行して様子を見てこよう」
アルゲス:「では、殿はワタシが。」
GM:登ってみると、確かにそこは崖の上だ。ふもとから離れたところに、ゼルガフォートの姿が見える。周囲に衛兵の姿は無いね。
ローランド:「どうやら追手は来てなさそうだな」
ホープ:「……なんとか、なったね」
GM(セレス):「えぇ。……それで、次は……キャラバンを探しに、大平原へ、かしら」
フェルーザ:「キャラバン、というだけあって、無策で追うのは辛そうでありますな」
アルゲス:「情報が欲しいところではありますが……はてさて、次は何事もなく済むでしょうか。あれが〈時の卵〉目当ての殺害だった場合、自然とあのような荒事に巻き込まれていくのでしょうが」
GM(セレス):「うーん……まぁ、他の街なら、さっきみたいには、ならない、かしら?」
フェルーザ:「えぇ。基本我々、善良な者達でありますから……」
ローランド:「善良なんて、人の基本であってなんの自慢にもならないからね……それに、現状ほぼ無一文なことも考えとかないとな」
GM:そうこうして今後について考えていると。近くの岩陰から、衛兵とは全く異なる、怪しげな格好の武装集団が姿を現す。『よぅ、ご苦労。地下水路まで使って、逃げてきたところ悪いな』
ダシュア:「あんさんら誰や?」
GM:『誰か。さぁな。少なくとも俺は、ただの雇われの身だぜ?』『それより……その手槌。持って行かれる訳には行かないらしくてな』言うまでもなく、アシムに託された手槌のことだろう。
アルゲス:「───噂をすればなんとやら。全く、随分と慌ただしい」
フェルーザ:「どうやら、アルゲス殿の言は間違ってはいない様でありますな……」
ダシュア:「ほな、あんさんらが失敗したことにして、ここは見逃してくれへん?」
GM:『お前らこそ、手槌さえよこしてくれりゃ、後は何も要らねえんだが……それとも、力づくがいいか?』
ホープ:「……ぜったい、渡さない。」
ダシュア:「……ちゅうわけ」ホープの頭にぽんと手を置く。
GM:「そうか。じゃ───交渉決裂、だな!」連中が、それぞれ武器を構える。直剣、杖、弓、選り取りみどりだ。
アルゲス:「ひい、ふう……。数は十分ですね。獣相手ならいざ知らず、───ここで、人相手の"覚悟"をつけさせて頂きましょう」
ローランド:「あぁ。人を殺るのは久々だ」
フェルーザ:「小職、動物くらいしか撃ったことがありません故……きちんと当たるか、心配でありますな」
ホープ:「……戦う力は、たりないけど。にーちゃん、ねーちゃんを守る力は……あるんだ」
GM:よろしい。元より、今更梯子を降りたりするような時間もない、やるしか無いのだ───ということで、第一話クライマックスの戦闘開始です。
なお、実際のセッションはここで一度中断、後日再開している。
この時点で26時手前だったからね。ここから2,3時間追加はさすがにね。
◇ 追っ手との戦闘 ◇
戦闘準備は、お互い特に無し。魔物知識判定は無事にすべて成功(弱点は突破ならず)、先制もPC側が奪取となった。
GM:敵は合計7体。まず〔匪賊の雑兵〕が3体、最初はこいつらが前線に。後方には〔オーク〕と、それを操っているエルフの〔堕ちた魔法使い〕。それから、リカントの〔匪賊の弓兵〕に、リーダー格の男はナイトメアの〔見習い暗殺者+1〕。弓兵と暗殺者には〈剣のかけら〉を3個ずつ、それから魔法使いと弓兵には〈世界の汚染Ⅰ〉を入れてます。
アルゲス:やる気あるね君ら!
このメンバー、普段からがっつりSW2.5を遊んでいる民なので、ちょっとくらい敵盛っても……かまへんか……と思い、ほんのり強めにセッティング。
ちなみに、種族の変更によるステータス変更は『モンストラスロア』収録のルールを、レベルを上げることによるステータス変更は2.0の基本ルルブⅡ収録のルールを採用している。
なんでこのルール2.5の基本ルルブに収録されてないんだろう……とずっと疑問に思っているくらいにはいいルールなので、皆さん是非お買い求め・ご確認ください。
GM:それから、本書特有ルールの『バトルギミック』も存在しています。今回用意されているのは〔岩〕と〔崖っぷち〕。岩に隠れると防護点が上昇する代わりに近接攻撃が不可に、崖っぷちに近づくと命中が上がる代わりに回避が下がるよ。
グリフォンロードの戦闘の最大の特徴とも言えるのは、この『バトルギミック』。
それぞれの戦闘ごとに異なるギミックが用意されており、PCはそれを活用、または対策して戦うことになる。
ちなみに、本には『今回の戦闘では、敵は一切これを活用しない』とある。逆に言えば『今後敵が活用してくる可能性もあるよ!』という意味ですね。オラワクワクすっぞ。
ローランド:とりあえず、順当に転ばせて行く(《シールドバッシュ》)か?
ホープ:私はアルゲスに【マキーナー・グリーヴ】を渡しつつ、初手は……うーん……待機で。
ダシュア:前衛スタートだと魔法は使えないんだっけ。
GM:そうなるね。
ダシュア:じゃあ初手はアルゲスを《かばうⅠ》だけかな。
第一回から、各PCの特色、そしてこのパーティの戦術が見えてくる布陣。
ホープとセレスが補助を、ローランドは転倒が有効な場面では《シールドバッシュⅠ》でサポート、アルゲスとフェルーザは確実に一体ずつ処理。ダシュアは防御力の低いアルゲスのことを《かばうⅠ》しつつ、召異魔法で臨機応変に。そんな感じです。
GM:セレスは、雑魚に【ウルフバイト】を撃つのも勿体無いし、【ナチュラルパワー】からの【ウイングフライヤー】撒きかな。ということで、初手を頂いて……(コロコロ)(ナチュパ行使1ゾロ)あの……
アルゲス:しょっぱなから1ゾロ見えて笑っちゃった
フェルーザ:ワッ……
GM:ヘケッ!ま、まぁMPが2,3点浮くだけなんでね……とりあえず、アルゲス、ローランド、それと一応アルヴェールにも【ウイングフライヤー】を付与。アルヴェールはそのまま雑兵1へ突撃。(コロコロ)当たって、2点のダメージ。
ホープ:私の行動は先述の通り。「アルゲスにーちゃん!」
ダシュア:おなじく。「アルぴ!防御はウチに任してなぁ!」
ローランド:「アルゲス、右のやつは任せた、俺は左のをやる」異貌しつつ、雑兵1に戦斧を叩き込む。(コロコロ)7点ダメージ。
アルゲス:「感謝します。では、遠慮なく」崖っぷちへ近づきつつ、雑兵2へと二連撃。(コロコロ)(一発目、1ゾロ)もしかして今日、ヤバイ日か?
GM:どうにかして経験点稼ごうとしてるなこいつら……
アルゲス:ま、まぁまぁ。二発目……(コロコロ)こっちは当たって9点。二発あたってもちょっと足りないかも、ぐらいか。
フェルーザ:自分は、雑兵1に追撃の【ソリッド・バレット】を。(コロコロ)おっ、11点でぴったり撃破。「まずは一人、であります」と後ろから撃ち抜く。
ホープ:「さすがだよ!フェルねーちゃん!」
アルゲス:「目の前はこれで二体ですね。……焦ってはいけない、恐れてはいけない。」
GM:その通り。ではこちらの手番だ。雑兵二人は(コロコロ)ダシュアとアルゲスにそれぞれ一回ずつ攻撃だけど……
ダシュア:一回はかばいます。来な
GM:だよね。では結果として、二体ともダシュアを攻撃する。(コロコロ)かばった方は10点、かばってない方は回避どうぞ。
ダシュア:かばった方からは2点もらって、かばってない方は……(コロコロ)避けた。
ここ、今になってよく考えると、そもそも【デモンズドッジ】を使えないはずなので、回避力判定は平目じゃないといけなかった(=まず避けられない)気がする。次回戦闘時には気をつけよう。
GM:魔法使いは、《魔法拡大/数》で【ファイア・ウェポン】を暗殺者と弓兵に付与。オークには暗殺者を庇わせつつ前進。
ここでオークに攻撃を振らせるのを忘れていたが、まぁたかが知れているダメージだし、そもそも《かばうⅠ》をしただけで仕事は全うしていると言える。のでヨシ!
GM:さて、暗殺者と弓兵は……(コロコロ)二人ともアルゲス狙いだわ。雑兵も一人行ってたし、もしかして《挑発攻撃Ⅰ》かなにかなされた?
アルゲス:それか、"崖っぷち"ってそういうこと??
GM:なるほど。さて、まずは弓兵……(コロコロ)出目が微妙だなこれ。
アルゲス:(コロコロ)こっちも出目が怪しい。でも避けてる。
GM:次に暗殺者。とりあえず様子見で、〔相打ち狙い〕は使わず普通に攻撃(コロコロ)これも微妙な出目だな……
アルゲス:(コロコロ)避けた。「っと、獣の相手をしていた甲斐はありましたね」
GM:『へぇ。口だけの連中じゃあ無いみたいだな』
アルゲス:「ええ。それだけでは何も救えませんから」
実際のところ、初期防具に〈ポイントガード〉を採用しているアルゲスは、一発でも攻撃を食らうと非常に不味かった。単発ヒットでも気絶、どっちも当たっていた場合は死亡の可能性すらあった程度には火力のある敵なのだ。
ともあれ、ほぼ無傷で敵のラウンドを終えられて、まずは一安心。
ローランド:さて、頭のおでましか。アルゲス、先に雑兵3を頼んだ。生きてたら追撃、倒れたら2を殴りにいく。
アルゲス:では、雑兵3を攻撃(コロコロ)今度はどっちも当てて、トータル20点のジャストキル。
ローランド:じゃ、俺は雑兵2に《シールドバッシュⅠ》で。転倒入れて、フェルーザの追撃を当てやすくしよう。
ここで初の放浪者要素。《シールドバッシュⅠ》はその名の通り、盾で敵を殴りつけて攻撃する、ヴァグランツ用の宣言特技。
装備しているのが〈バックラー〉故、ダメージは大したことない(威力1。必筋がそのまま反映される)が、命中補正が+2も付くのに加えて、相手が単部位なら転倒までさせられる。
確実に攻撃を当てたい時にも、転倒で味方の補助をしたい時にも使える、ユーティリティの高い技である。
ローランド:(コロコロ)5点ダメージ。「どこを見ている!」と脇っぱらを殴打だ。
フェルーザ:そこに追撃の【ソリッド・バレット】(コロコロ)9点です。「その隙を頂くでありましょう!」
GM:雑兵が全員やられてしまった。意外とあっさりだったな……
まぁ、良くも悪くも取り巻きの雑魚キャラなんてこの程度。
本番は、それなりにステータスを盛った暗殺者くんとの殴り合いが始まる次のラウンドからである。
その後、ダシュアが再びアルゲスを庇いつつ、ワンパンできるかも、ということで後ろのエルフへ【アヴェンジャー】を発射。
しかし抵抗されてしまい、撃破ならず。〈世界の汚染Ⅰ〉も起動したが、これは大した被害にはならずに済んだ。
ホープ:まだMPを温存したいかな。冷や汗をかきつつ、前線を眺める。
GM:セレスは、ローランドとアルゲスに再び【ウイングフライヤー】。ついでに暗殺者くんに【ウルフバイト】も撃とう。(コロコロ)(行使6ゾロ)こいつのダイス1と6しか無いんか??
なおダメージ決定の出目はふつうに8が出た模様。なんなんだこの女。
アルヴェールは、後衛を蹴飛ばしに行くために、岩に隠れつつ乱戦離脱を宣言(ハウスルールで、上級戦闘と同じような移動妨害・乱戦離脱のルールを採用してます)し、こちらの手番が終了。
GM:さて、再び敵の番だ。まずは魔法使いが、生き残ってる四体に【プロテクション】をかけるよ。
ローランド:ぬわ、面倒なやつ。
フェルーザ:辛いですね……(ガンにも効くので他人事でない)
GM:ゴーレムは……(コロコロ)アルゲスを攻撃、しようとしてダシュアに庇われるね。
これは出目のしょぼさとダシュアの硬さもあり、ノーダメージに終わる。
《かばうⅠ》が剥がれたところへ更に追撃を入れたかったが、ダイスの女神はローランドを狙えと指示。弓と暗殺者はそちらに流れた。
アルゲス程ではないが、気絶が見える程度のダメージを覚悟しないといけ……なかったのだが。
GM:まずは弓が当たって、l2点。暗殺者は、まだ余裕を見せて通常攻撃。(コロコロ)(命中1ゾロ)見せすぎちゃうか??
アルゲス:うーん、これは舐めプ
せっかくそれなりに盛ったのに、いいとこ無しである。給料泥棒め。
続く3ラウンド目、だいぶ削れたローランドをホープが回復、邪魔なオークをアルゲスが破壊。ローランドは暗殺者を《シールドバッシュⅠ》で転倒・フェルーザが追撃。ダシュアは引き続きアルゲスを庇い、セレスは【ウイングフライヤー】を維持しつつ、アルヴェールに後衛のエルフを蹴り飛ばさせる。
作戦通りの進行をできていたが……
GM:魔法使いは【アースヒール】で暗殺者と自分を回復。弓兵と暗殺者は(コロコロ)再びローランド狙いだ。ここからは〔相打ち狙い〕を使っていくよ。
ローランド:(コロコロ)弓は避けて(コロコロ)げ、食らうのかここで。
GM:よしきた。ダメージは(コロコロ)防護点を引いて14点。
ローランド:残りHPは11点。「……ナイトメア同士、こうして殺し合うしか無いってのも運命か」
GM:『運命ねぇ。そんな大それたものかどうかは知らねぇけど』
実際、そんな大層なものは抱えていないのである。こいつただの1面ボスだしね……
でもまぁ、こういうGMの思いもよらないところでPC・PLが何かを感じるというのも、TRPGあるあるであり、醍醐味ですね。
ダシュア:「ホプち、回復頼むわぁ!」
ホープ:「う、うん。アールマータ様、お願い……」(コロコロ)【キュア・ウーンズ】が成功して、ローランドは11点。ちょっと削れてるダシュアも対象に入れて、こっちは8点。
体勢を立て直し、ここで作戦会議。
ダシュアと誰か一人いれば、《かばうⅠ》で安全に耐えつつ、暗殺者の移動妨害を阻止できるので、その間に後衛を叩きにいこうという判断に。
結果、丁度弾切れをしてリロードを行なうタイミングだったフェルーザが前線へ移動、ローランドとアルゲスが弓兵を一気に叩きにいく、というプランになった。が……
アルゲス:(コロコロ)一発クリティカルも入って、合計26点!
GM:えーと、弓兵のHPが……残り1!ぷ、プロテクが無ければ即死だった……
ローランド:やばい。弓兵も魔法使いも落ちてないぞ。
GM:うむ。そして当然、この状況なら弓兵と暗殺者はフェルーザを狙うよ。(コロコロ)弓はダシュアに庇われるけどね。12点どうぞ。
ダシュア:暗殺者の方を庇いたかったけど仕方なし。防護点で引いて4点。
GM:よし。『おい、このリルドラの女をどうにか引きつけろ!』と弓兵に指示を飛ばし、フェルーザから一瞬引き離させる。
ダシュア:「あっ、やび───」
ホープ:「っ、フェルねーちゃん!!」
GM:その隙に相打ち狙いの一撃だ。(コロコロ)無駄に命中の出目がいい。17を避けてみせよ。
フェルーザ:へ、ヘヘ……(コロコロ)(当然無理)
GM:ではダメージ。(コロコロ)ひっっっく……出目3で14点です……
フェルーザ:や、やさしい……それでもHP残り3点ですが……「きゅ、急に本気出してきたでありますよ!」
GM:『ちっ、当たりどころが悪かったか……』さて。だいぶ頑張ったけど、この後は割と消化試合かな?
先述の通り、弓兵は瀕死。魔法使いは【アース・ヒール】を三人に使ってMP切れ。暗殺者も、ダシュアとローランドを一撃で落とすことはできないので、アルゲスを後衛に残し、フェルーザを庇われてしまうとどうしようもない。
最終的に、気絶・死亡者を出すことなく戦闘終了。ひやっとする場面は何度かあったが、今日のところのダイスの女神はPC達の味方であった。
◇ 陰謀の幕開け ◇
GM:『あー、くそ。前金も結構貰って、ちょろい仕事だと思ったのによ』最期のあがきも虚しく、剣を地面に落としてしまった。
ダシュア:「お、お疲れちゃんやねぇ。」
ローランド:「大人しくしろ!」と背中から蹴り倒して踏んづける。
GM(セレス):「……答えて、欲しいのだわ。あなたは、誰の差し金、かしら」そう問い詰めるも、男は鼻で笑って返す。
アルゲス:「教える気があればよいのですが。」
GM:『そりゃ、守秘義務ってもんだ。死んでも言えねえな。……ただまぁ、ひとつだけ教えてやるんだとしたら……』
ローランド:「なんだ?」
GM:『たかが一回失敗した程度で、諦めそうな奴じゃなかったぜ、依頼人は』
ローランド:「……おい、依頼人ってのは十代前半のガキじゃないだろうな?」
ホープ:「……義兄さん……どこまで……!」
アルゲス:「望むところ、と言いたくはありませんが。仕方ありませんね」(眼鏡かけなおす)
GM:『……それで。俺らにもう一回追いかけられるのと、ここでさっさと殺しておくのと。どっちがいいか、分からねえほどの馬鹿じゃねえだろ』
アルゲス:「ふむ。ここで恩を売っておけば、ワタシ達が窮地に陥った時に助けてくれる、なんて話があれば考えたのですが。どうでしょう?」
GM:『助け。助けねぇ。十万ガメルくらい出してくれるなら、考えるぜ』
ローランド:「冗談も程々にしな……」
フェルーザ:「……後顧の憂いは、ほんの少しの可能性であっても絶っておく。それが文字通り鉄則でありますから」
ホープ:「……できれば……殺したくないよ……」
アルゲス:「……ホープさん、あなたは"あの人"の前でも同じことを言えますか?」
ホープ:「っ……いえない……言えないよ……」
ダシュア:「殺したないなら、うちが殺ろか?」
ローランド:「いやいい、俺がやる。」
ホープ「まって……私がやる。わたしがはじまりだもん」
ローランド「……ふっ。やるんだな?」にやっと笑いながら、斧を差し出す。
フェルーザ:「――─偉いでありますなぁ……」白い手から、銃を取り落としながら。
GM(セレス):「……うん。ホープなら、神官として、正しく輪廻の輪に送り届ける、という大義名分も、あるかしら」
ホープ:目元の雫を拭いながら斧を受け取ります。「……なにか、言いたいことはある?」
GM:『むしろ、言いたくもない台詞まで言わされてたところだ。ひと思いにやってくれ、神官様よ』
ホープ:「……なるべく、痛くないようにするね。」〔石化の視線〕で首を固めて、そこを切断する。「来世が、貴方にとって、良いものでありますように。」そして切り落とした首を、赤子を抱えるように持って、そう呟きます。
いやぁ……本当にただのぽっと出のモブだったんだけどな。なんだかPC達、特にホープに対して大きな影響を与えてしまった気がする、この男。
ソロで淡々と進めていたら、こんなカタルシスも生まれなかっただろう。そう考えると、やっぱり複数人で遊ぶことにしてよかったな、と感じられるというもの。
GM:そうして、再び静寂を取り戻した崖の上。そこに、雪を孕んだ冷たい風が、崖下から物々しい声を運んできた。見ると、どうやら戦闘が起きたことに気がついた街の衛兵達が、様子を確認しに向かってきているようだ。
ダシュア:「そろそろお暇の時間やねぇ。」
フェルーザ:「また逃避行でありますか!?」落とした銃を慌てて拾います。
GM(セレス):「……少なくとも、この件を知らない街に着くまでは、こうなる、かしら」
ダシュア:「すっかりうちら大犯罪者やねぇ!ほないこか、フェルちは大丈夫?」(フェルーザを抱える)
フェルーザ:「おうわ。だ、大丈夫であります……多分」
彼女について補足すると、戦闘前に述べていた通り、人を殺した経験もなければ、覚悟もできていなかった。そもそも前職は、そういう事象とは殆ど縁が無かったのである。
一方、蛮族(ウィークリング)とはいえ、幼いながらも復讐の決意を固め、覚悟を決めたホープ。元々、荒事は慣れっこのフェルーザ以外四人。そんな彼らと比べると、ほぼ一般人のフェルーザにとってこの旅は、確かに過酷極まりないものであると言えるかもしれない。
ホープ:「魔力が回復したら、すぐ癒すよ……フェルねーちゃん。」
ダシュア:「ホプち、そういうことやなくて……ま、ええか。」
GM(セレス):「……魔力も、体力も、回復を待つ時間は、無いのだわ。とにかく、今は、走りましょう」
ローランド:「ああ、行こう。」
アルゲス:「先行しましょう。夜目の効かない方もいるでしょうから」
ダシュア:「ほな行くよ~」じゃ、みんなでトンズラ!
斯くして。
アシムが持っていた、古びた手槌。そして、"黄金のキャラバン"の名。
この二つだけを手掛かりに、彼らは何処を目指すともなく、街から逆方向へと、寒空の下を─────走り出そうとして、ふと立ち止まる。
そして、まるで誰かに呼ばれたかのように……懐かしい声を聞いたかのように、来た道を振り返った。
月影が落ち、灰色に染まった雪原の中に、無数の篝火で彩られた城壁が見える。
飾り気のない、堅牢さだけを重視したそれは、つい先程、彼らが逃げ出してきた都市・ゼルガフォートのものだ。
そして、更にその向こうにあるのは、雪原から一転、どこまでも続く砂の海─────"死の砂漠"ゼルガ。
姿こそ見えないが、あの中には、彼らが帰るべき故郷が、確かに存在する。
しかしその場所に、彼らはまだ帰れない……
……否。帰るための旅が、始まったばかりなのだ。
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