海に眠る貝にきいた

ももいくれあ

第1話

初めて、水平線を見た時の思いを、

 今でもはっきり覚えています。

私の大好きな季節の中で見た

 あの海の幻は、

  私に教えてくれました。

地平線があることを、

 私に教えてくれました。

初めて、地平線を見た時の思いを、

 今でもはっきり覚えています。

私のふみしめるこのわずかな大地が、

果てしなく続くことを、

 私に教えてくれました。

大地に溢れた私の涙は、

きっと海につながってると、

 そして宙(そら)のもっと遠方(かなた)に

  すうっと溶けていけることを、

   私に教えてくれました。

この心の微かな鼓動が、

 叫びとなってのぼっていくと、

  私に教えてくれました。

太陽と月の切なさを

 初めて感じた日のことは、

  今でもはっきり覚えています。

向日葵の苦笑いが、

 唯一の支えとなることを、

  私に教えてくれました。

どうして、いつもいつも私は、

宙(そら)や海や、その狭間で、

 目を閉じているのかが、

  やっとわかった気がします。

あの丘の遥か向こうで、

 両手を広げて目を閉じてごらん。


きっとわかるはずだから。

 私に教えてくれたことが。。。

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海に眠る貝にきいた ももいくれあ @Kureamomoi

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