第6話 彼岸花
彼岸花が咲いているということは
私たちは結構田舎まで歩いてきたのだろう
畦道を横に見ながら
どれだけ歩いたのだろうか
記憶は遥か遠く
どうにも思い出せない
あなたの笑顔を見たくて
随分歩いてきたような気もするが
あなたは笑っていただろうか?
頬を伝うのは
涙ではなく汗のよう
手を取って来たはずなのに
あなたは透かして見えるようになり
やがて消えていく
真夏の思い出が
少しづつ色褪せていく
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