2人目 K応BOY 樹・・・好きなのは自分。
「私の彼氏、大学生なんだ!」
これが言いたかった。
しかも、あのK応というブランドまでついてる!
本当は自分の事を解ってた。
そうなの、私はたぶんいっちゃんが好きな訳じゃない。
K応生と付き合ってる自分が好きなの。
中学時代は陰キャだった私が自称一軍の女どもに勝っている優越感に浸っているだけ。
それに気づいたのはクラスメイトのめぐの一言だった。
「芽衣は彼氏が好きなの?いっちゃんが好きなの?」
言われた時はその意味に気付かないようにしてた。
分かってたし、なんか人に言われるとムカつくから。
というのも、みんながクリスマスにどうするかの話をしている時に1人だけなんかピンと来なかったんだ。
プレゼントの事とか、どこに行くとか。
「芽衣の所はどうするの?彼氏のプレゼント一緒に買いに行かない?」
「え!?」
何でこんな事きくのだろう?
プレゼント・・・
祐介との別れがあまりにもあっけなかったから、あまり先の予定を考えられずにいた。
祐介とも「春休みどっか行こうな」なんて言われたけど、結局騙されちゃったし。
そりゃ「彼氏と過ごすクリスマス」に憧れるけど、いっちゃんとのやり取りは付き合ってからというもの、だんだん素っ気ないものになってきた。
それもあってイベントに樹を誘う、という頭がなかったのだ。
返って来るか分からない返事に時間を取られたくないのだ。
最近はこっちから送らないとメッセージが来ないしそれにも不満だ。
大学生ってそんなに忙しいの?
そんなこんなで久しぶりに会った樹とのデートはカラオケだった。
もうすぐ試験だから芽衣の勉強を見てくれる事になっていた。
友達にはクリスマスの話をするように言われたけど、言って断られるのも嫌だしな~って気持ちだし、もうすでに樹の気持ちにもうっすら気付いてるし話す気もなかった。
かと言って別れようとも思わないのは、また1人になるのが嫌だから。
少しでも「K応と付き合ってる私」で居たいから。
たぶんいっちゃんも同じだと思う。
前に友達と取ったプリクラをあげたら、なぜか自分の妹にあげたって言われた。
理由は「女子高生と付き合ってる」って自慢したかったんだって。
確かにそのプリクラは学校帰りに撮ったもので、制服着てたやつだ。
なんだ、私達似たもの同士じゃん。
って・・・へ!!!????
いつの間にか樹が芽衣のスカートの中に手を忍ばせている事で我に返った。
「な!!!」
「ちょっとそこのテーブルに乗って。」
は!!??どゆこと??
「いいから乗れよ!!!」
こわ!!!
急に口調が荒くなった樹の言う通り芽衣は恐る恐る個室のテーブルの上に乗った。
「じゃぁこっちにお尻向けて。」
「は!?何??」
有無を言わさず樹は部屋の電気を消して芽衣のスカートから見えるショーツに顔をうずめだした。
鼻をスースー言わせてショーツ越しに芽衣の匂いを嗅いでいるのだ。
え・・・何この人・・・・いっちゃんだよね??
てゆーかきも!!!!!
さらに芽衣のショーツの隙間から指を忍ばせてきたところで芽衣はもう限界だった。
「さわんじゃねぇよ!!!!!」
なりふり構わず樹の顔面に喰らわせたのはとっさに出た回し蹴りだ。
芽衣はそのまま自分のかばんに出しっぱなしにしていたノートと筆記用具を詰め込んで部屋を逃げるように出て行った。
樹がどんな性癖で、どうするつもりだったのかは分からないが、女子高生の芽衣にはあーゆ―ことをするのは痴漢という認識しかなく、恐怖心からもう樹とは関わりたくないと思ってしまった。
そして芽衣と樹の時間は幕を閉じた。
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