2人目 K応BOY 樹・・・「確定」が「許可」の合図
メールのやり取りをするのは久しぶり。
男の子とメッセージを交わすのはこんなに楽しいものなんだ。
新しい恋をしてムカつく事は全部忘れよう!
男で受けた傷は男で癒すのが早いって何かの漫画で読んだな~。
樹の事は「いっちゃん」て呼ぶ事になった。
いっちゃんと映画に行く約束をしていた。
待ち合わせは池袋。
映画が終わった後もカフェとかファーストフードのお店がたくさんあるから場所には困らないだろう。
恋愛経験の少ない芽衣の心配は行き当たりばったりになった時に気まずくなる事だ。
「芽衣~!」
いっちゃんだ。
駅前の人込みの多い中でも私を見つけてくれた。
きれいめのジャケットに細見のパンツ。
なんか大学生って感じのファッション!
「いっちゃん・・・。」
「どうしたの?」
「ちょっと・・・名前を呼ぶの恥ずかしくて・・。」
「なんだそんな事!・・・でもオレも緊張してる・・・。」
いっちゃんはそっと私の手を握ってそのままサンシャイン通りに向かって歩き出した。
自分なりにおしゃれしてきたつもりだけど、サンダルに慣れなくて歩きにくい・・・・。
でも気付いている。
いっちゃんがさりげなく私の歩くペースに合わせてくれている事!
やっぱり大学生・・年上だからエスコートが上手なのかな?
映画の内容なんて正直どうでもいい。
(元々映画館とか苦手だし)
いっちゃんに握られたままの手に自分の全神経を集中させていた。
手に汗かいてきたから一回拭きたいけど急に離したら変に思うかな?
てか手を握るって事はもう私達付き合ってるの?
恋愛経験の乏しい芽衣は「好き」とか「付き合おう」とか明確な言葉を言われないと相手を信頼できない、もしくは安心出来ない状態にあった。
暗い館内でこんな気持ちなのは他にも居るだろうか?
後で映画の感想をきかれてもきっと答えられない。
ポップコーンなんて本当は好きじゃないけどいっちゃんが買ってくれたから置いてるだけ。
そんな事よりいっちゃんは私の事どう思ってるの?
映画を観た後にファーストフードにて2人は小さなテーブルを挟んで向かい合って座っている。
「ねぇいっちゃん、さっき私の手握ったでしょ!」
「だめだった?」
「だめじゃないけど・・・付き合ってるの?」
こういう時にもっと上手に訊けるようになりたいものだ。
いっぱいいっぱいでもっと他の話をしてから切り出そうとしたけど、余裕がない。
「芽衣はどう思ってるの?オレの事。」
樹はテーブルの上でも芽衣の手を取った。
いや、手を取るというよりも指の一本一本の感触を確かめているようだ。
芽衣の爪を自分の指でこすったり掌に乗せていじったりしている。
「どうって・・・質問してるのは私なんだけど。」
「バレた?芽衣は頭いいんだね!」
「ちゃんと聞きたいの!」
芽衣は触られていた手を振り上げた。
いっちゃんは芽衣の意固地な様子を見て観念したようにため息をついた。
「ごめん。ちゃんと伝えるよ。」
さぁ聞かせて!!ちゃんと!!
「芽衣、オレと付き合ってよ。」
キターーーーーー!!!!
これさえ聞けたら、この確定さえ聞けたら私は安心できるんだ。
確定が聞けたらある程度の「許可」をする事にしている。
だって都合のいい女なんて嫌だもん。
少女漫画で見たよ。
まず最初の許可は・・・・
「キスしていい?」
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