第6話 違和感
凛からメッセージが来て今日からまた一緒に登校出来ると分かりとてもテンションが上がった。少しでも早く凛に会いたいため、いつもより早く駅に向かって凛を待つことにした。
しかし、いつもの時間になっても凛が来ないことに不安を感じていると次の電車で来た。
「おはよう、凛。元気になって良かった」
「お、おはようございます。心配かけて申し訳ございません。」
凛も挨拶を返してくれた。しかし、病み上がりのせいなのか少し凛の声のトーンが低い気がした。一緒に登校して教室に行くと小林と秋元が、こちらに気付き駆け寄ってきた。
「おはよう、凛。もう大丈夫か?まだしんどかったら言ってよ~奏よりウチの方が頼りがいあるからね、ニシシ」
「ゆうちゃん、凛さんは病み上がりなのですからそんなに一気に話しかけては駄目でしょ。すみません、凛さん。でも皆それだけ心配してたので元気になって良かったです。」
「ありがとうございます。そして、ご心配かけてしまい申し訳ございません。」
と秋元たちと話していると、朝練終わりの雄二が教室に来た。凛が来ていることに気付き
「清水さん、元気になって良かった。どっかの誰かさんは会えなくてずっと脱け殻になってたからね~」
凛の心配をしつつ、俺をからかってきた。やっといつもの日常が戻ってきたと思っているとチャイムがなった。
昼休憩になり、いつものメンバーでご飯を食べていた。雄二が
「先週の奏はまじで酷かったよな~清水さんがいなかっただけでずっとボケーとしてて先生に指名されても反応なくて、『斎藤』って怒鳴られてから初めて『何でしょう?』て言ってたもんなw」
「それに凛に会いたいからって毎日、先生からプリント貰って家に届けに言ってたもんな」
「ば、馬鹿、恥ずかしいからやめろよ。そりゃ彼女が病気になったら心配するだろ、雄二だって五反田が病気になったら心配するだろ!」
「そりゃ心配はするけどあそこまで酷くはならんだろ。」
「そ、そこまで心配をかけてしまったのですね。ありがとうございます。」
先週の俺の状態について話しているとご飯を食べ終わった凛が
「用事がありますので席をはずしますね。」
と言って教室を出ていった。小林が、
「多分これは告白だね。凛はかわいいし、他学年は彼氏がいること知らない人多そうだしね。もしくはバスケ部のイケメンキャプテンみたいなナルシストとかが告白したりして」
(流石に凛なら大丈夫だと思うけど)
「ちょっとトイレ行ってくる。」
俺はそう言って教室を出た。
よく凛が告白されている校舎裏に行くと予想通り告白されていた。それも相手は、噂をしていたバスケ部のキャプテンだった。
「清水さん、斎藤ってやつと付き合ってるのはしってる。でもあいつより俺の方が格好いいし運動も出来る、俺と付き合ってくれ。」
「え、えっと」
(凛、何ですぐに断らないんだ!)
こっちからだと凛がどんな顔をしているのか分からないので見守っていると
「そんなに恥ずかしがって悩むくらいなら試しに付き合ってみないか?」
「えっと」
しびれを斬らしたのか凛に強引に迫ると
「きゃー止めてください。」
凛が悲鳴をあげたので俺は急いで助けに入った。
「先輩、凛が嫌がっているので止めてください。」
先輩は舌打ちをしながら帰っていった。凛を慰めようと近づくと凛が「すいません」と言って走っていった。(気が動転してるだけだよな?凛は俺のことがきらいになったということはないよな?)
俺が混乱していると昼休憩が終わるチャイムがなった。
凛のことが気になり、午後の授業に集中することが出来なかった。気付けばHRになっていた。HRでは入学して1か月以上経ったということで席替えをすることになった。少しでも凛の近くの席になれることを祈りながらくじを引いた。結果は俺は窓際最後尾の席になった。凛は窓際の真ん中となりそこまで遠くなかったことにほっとした。席替えが終わり、凛たちと帰ることにした。帰っているときの凛はいつも通りに見えたが、1度疑いをもってしまうとなかなか疑いを拭うことが出来なかった。考え事をしているうちにいつの間にか駅に着いていた。
「斎藤、斎藤!」
「うん?どうした?」
「どうしたじゃないわよ、何度も呼び掛けても反応しないからよ。」
「すまん、考え事してた。でどうした?」
「今週末のサッカー部の練習試合見に行くかの話をしてました。根戸君がベンチに入ってて試合に出れるかもしれないって言ってましたので。」
秋元が説明してくれた。
「はぁ、どうせ凛のことでも考えてたんでしょ。」と小林が呆れていた。
「本当にすまん。場所と時間は?」
「ウチらの学園で朝の10時からよ。」
「ありがとう。」
そういって皆と分かれた。
次の日の朝、駅で凛を待っていると小林たちと一緒に来た。
「おはよう、みんな。」と皆に挨拶してから学園に向かった。教室へ行くと凛に「おはよう」と挨拶する人がいた。確か
「今日、昨日話してた茶道部の体験入部どう?」
と話していた。凛も「行ってみたいです。」と言っていた。二人の会話を聞いていると、雄二が教室に入ってきたタイミングでチャイムがなった。
ふと凛を見てみると外を眺めていた。なにかあるんだろうかと思い連れて見てみると男子が体育の準備をしていた。2年でイケメンサッカー部の林がいた。林は凛と視線があったのか笑顔で手を振っており、凛は顔を背けていた。
昼休憩になり、少し雄二に聞きたいことがあったため凛達に
「今日の昼は雄二に聞きたいことあるから二人で食べるわ」
そう言って雄二を無理矢理連れ出した。連れ出したものの食べる場所は全然考えてなかったため、人が来なさそうな空き教室にとりあえず入った。
「奏、急に空き教室に呼び出してどうした?」
「サッカー部の林っているだろ?あいつって彼女とか好きな人いるの?」
「すごい藪から棒だな、分からんからとりあえず林先輩に聞いてみるわ」
雄二が連絡を取ってから数分後に林からへんしんがあった。
「林先輩は気になる女の子はいるみたい。ちなみに林先輩のことがきになったんだ?」
「今日の一時間目に2年が体育してたんだよ。その中に林がいて笑顔で凛に手を振ってて、凛もそれを見て顔を背けてたっぽいんだよ。それに昨日の昼休憩にバスケ部のキャプテンに告白されて強引に迫られた時助けたんだけどお礼も言わずに俺からも逃げたんだよ。」
「うーん、林先輩はともかく清水さんがお前以外を好きになることはないと思うけどな~告白の時も先輩に迫られて気が動転して逃げちゃっただけじゃないかな。あまり変なことばかり考えてると清水さんに愛想尽かされるぞ。」
雄二が話を終わらせると、今週末の練習試合のことについて話ながらご飯を食べた。教室を出るときに、雄二が「林先輩には俺からも少し聞いてみてみるわ」と言って教室を出ていった。
それからはいつもと変わらない日々を過ごした。唯一変わったことは凛が茶道部に入部し、茶道にはまりほぼ毎日茶道部に顔を出し為凛と一緒に帰ることが出来なかったことだった。雄二から林先輩は凛のことはかわいいとは思うけど、凛以外に気になる女の子はいるから狙っていないと教えて貰った。
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