前のエピソード――第2話初デート

　凛との初デートをした次の日、雄二たちと遊ぶ日となった。少し眠たいが二度寝で遅刻するのもよくないと思い、集合時間には少し早いが家を出ることにした。集合時間の30分前ということもあり流石にまだ誰も来ていなかったので近くのカフェでコーヒーでも飲みながら待とうとした時、丁度凛が改札口から出てくるのが見えた。急いで迎えに行き少し声色を変えて背後から声を掛けてみた。

「ねぇそこのお姉さん今暇？」

「ひまじゃないでs」

と振り向きながら少し強めの口調で言おうとして俺に気づいた。

「もう、奏君ひどいです。また昨日みたいなしつこいナンパが来たのかと思いました。」

そう言って凛は頬を膨らませた。正直言ってとてもかわいい。と言ってもこのまま眺めてたら凛が拗ねてしまっても良くないので

「すまんすまん、かわいい凛を見つけたからちょっとイタズラしたくなってな。昨日買った服来てくれたんだ、とても似合ってるよ。」

「あ、ありがとうございます。でも急にそんなこと言わないでください、恥ずかしいです。奏君も似合ってますよ。」

頬を膨らませたり、頬を染めたりと表情がコロコロと変わっててかわいいなと思っていた。そのようなやり取りをしていると

「おはようございます、凛さん、斎藤さん」

「今日もお熱いですね、お二人さん」

秋元と小林が来た。どうやら先ほどのやり取りは見られていたらしい。服装はイメージ通りで、秋元はデニムとブラウス、小林はショートパンツとTシャツだった。

「とってもかわいかったよ凛」

と言いながら小林が凛に抱きついていた。

「おはようございます。」と凛は小林を引き剥がしながら挨拶をした。そんなやり取りをしていると雄二が初めて見る女子と改札から出てきた。多分彼女の紗羅なのだろう。

「みんなおはよう。こっちが俺の彼女の紗羅。」

「初めまして、五反田紗羅です。」

「初めまして、俺は斎藤奏だ。」

「初めまして、私は清水凛です。」

「初めまして、ウチは小林ゆうかだよ。」

「初めまして、私は秋元沙也加です。」

互いに軽い自己紹介を済ませると、五反田が

「雄二の言ってた通りだね～二人とも互いに好き好きオーラ出すぎてて胸焼けしそうだよ」

とからかってきた。その言葉を聞き、凛は

「私ってそんなに分かりやすいですか？」

と顔を赤くしていた。雄二が

「今ほどではないけど最初の頃から結構分かりやすかったぞ、どっかの鈍感男以外は分かってたく位。」

そう言うと小林と秋元も「うんうん」と頷いていた。それを聞いて凛は更に赤くなっていた。駅で話していても少し暑くなってきたから早めの昼食としてファミレスに行くことにした。(何かソワソワしてたけどどうしたんだろう、凛)

ファミレスに入り注文する料理を決めた後、何かを決心したような顔で、

「根戸くんと五反田さんはどうして付き合ったのですか？」

と質問をした。(えっ！ソワソワしてたのってそれを聞きたかったからなのか？何かかわいいなぁ)等とどうでも良いことを考えていると五反田が

「中学2年の時にあたしの方から告白したんだよ。この通り、雄二ってイケメンだったからね～そしたら雄二がオーケーして付き合い始めたって感じかな。」

「そうなんだよな。紗羅ってかわいいからとりあえず付き合ってみるかって感じで付き合い始めた。今は紗羅の家庭的で献身的に支えてくれる所に惚れてるかな。」

「あはは、ありがとう、雄二だってチャラそうだけどきちんと人のこと見てるし、とっても優しいからあたしも好きだよ。」

と二人で惚気話が始まった。このまま続くとこっちが胸焼けしそうだと感じ、話を変えることにした。

「ドリンク取ってくるけどみんなは何がいる？」(端から見たら俺と凛もこんな感じに見えてるのか)

小林、凛、秋元、五反田の順番に

「コーラ」、「オレンジ」、「カルピス」、「ジンジャーエール」

「了解、雄二注ぎに行くぞ。」

「オーケー。」

ドリンクを注ぎに行っている時、雄二は

「さっきの紗羅との甘いやり取りはわざとやったが奏と清水さんはほぼ毎日、意識してるか分からんがやってるぞ。」

「まじか、結構普通の恋人と変わらないやり取りやってたつもりなんだが」

「端から見たらお前達はバカップルに見えてもおかしくないほどイチャ付いてるな～」

カップルの距離感について話ながらジュースを注ぎ、みんなの分を注ぎ終わったので自分のを注いでいるとき、雄二が全種類混ぜていた。

「雄二、そんなに混ぜて大丈夫か？」

「大丈夫、大丈夫。やっぱりドリンクバーは混ぜて遊ぶでしょ。」

(何故かセンブリ茶があったがそれに気付いてるのか？)

みんなの分の飲み物を注いで席に戻ると女性人は俺を見てニヤニヤしていた。凛を見ると顔を真っ赤にしてした。昨日のデートのことを根掘り葉掘り聞かれたんだろう。そんな皆に対して気付いてない振りをしながらジュースを飲んでいると、雄二が

「に゛、に゛げ～」と叫んでいた。

「そういえば何故か知らんがここのドリンクバーにはセンブリ茶があったぞ。」

((((本当に何で！？))))と女性陣が疑問に思ってると雄二が、

「知ってたなら教えてくれよ！」と言われたので

「雄二が『ドリンクバー全種類混ぜて飲まなきゃ死ぬ病気なんだよ』って言うからまだ死んでほしくなかったから言えなかったんだよ。」とふざけていると、五反田が

「本当、雄二はバカなんだから。私も半分飲んであげるから残さず飲みなさいよ。」

そう言って雄二からグラスを取り半分飲んだ。内心皆、(ツンデレか)と思っていると秋元が「ツンデレ」と小声で言うと五反田が「ち、違う」と顔を赤くして反論した。五反田の思わぬ一面が見えたりしているうちに注文していた料理が届いたので会話を程々で食べることにした。皆ご飯を食べ終わったので会計を済ませてボーリングに行くことにした。