第11話 伯爵令嬢さまとお会いしました
エウスターキオにやってきてもうすぐ2ケ月になろうとしている。ダンジョンに潜り魔石を集める日々が続いている。レベルは上がらない。
異世界召喚、転移ものは、日々事件が起きるイメージがあったが、今のところ変わりない日々が続いている。いやダンジョンに行き魔物と戦う日々を日常と思う時点で既に何か間違っているのだろう。
今日は姫様のダンジョン接待がお休みとなり、お茶会に呼ばれている。
前にも、デルミーニオ卿の奥さんや娘さんと一緒のお茶会に呼ばれたことがあったので、今日もその顔ぶれかと思ったのだが、違っていた。
「姫様、今日はお招き頂きありがとうございますですわよ。」
「あなた方にこの街に来て頂いて、日々の楽しみが増えましたですわよ。」
「姫さま、一言頂ければ、もっと早くに馳せ参じましたですわよ。」
「今日の御髪は、ちょっと冒険致しましたですわよ。」
「今日のお茶は、フォルトゥナータから取り寄せましたですわよ。」
会話を楽しんでいるのは、クラウディア姫様、カブリーニ伯爵令嬢ジョコンダ様、カルヴィーノ伯爵令嬢ラウレッタ様。
高貴な方には話し方の作法でもあるのか、声が異なるのに、ずっと聞いていると誰が話しているのか分からなくなりそうだ。
「ところでジョコンダ、今日はユーリ様にお話しがあったのではなくって?」
もうそろそろお開きかと考えていたところで急に姫様から僕の名前がでた。姫様とジョコンダ様は年齢も近く、幼少のころからのお付き合いとのことだ。
「お初お目にかかります、ユーリ様。我がカブリーニ伯家は国王陛下とクラウディア姫とユーリ様に忠誠を捧げることをお誓い申し上げますですわよ。
わたくしたちは、ユーリ様の妾としてやって参りましたですわよ。」
今まで一言も喋らず、お茶にも茶菓子にも手をつけず、お人形のように座っていた2人の女の子たちが、
「ピッコローミニ家のルフィーナですわ!」
「ランディーニ家のルーチェです…わ。」
『???、何の話???』
ジョコンダ様はクルクル巻き毛の金髪にエメラルド色の瞳、プロポーション抜群な20代後半の美女で、衣装を揃えれば姫様と間違えるくらい姫様にソックリだ。ルフィーナとルーチェは服に着せられている感が拭えないが、非常にかわいい女の子たちだ、2人とも姫様達よりくすんだ色の金髪のショートカットに青い瞳、140cmくらいの小柄な体だが、胸だけは立派に成長している。双子?だろうか。
「我がカルヴィーノ伯家の忠誠は現国王陛下のみに捧げられていますですわよ。わたくしはこの街の様子を見に来ただけですわよ。」
ラウレッタ様は自分は立場が異なるとおっしゃる。ラウレッタ様はクルクル巻き毛の明るい赤毛に赤いちょっとつり目、姫様達に比べれば控えめだが平均以上の体形の20才くらいの、これまた美人だ。
「あらあら、ラウレッタちゃんはツンデレですわよ。」
「クラウディア姫様、わたくしそんなんじゃありませんですわよ。それとラウレッタちゃんは止めて頂けませんことですわよ。」
「ラウレッタ、カブリーニからユーリ様への忠誠の話を続けてよろしいこと?」
「えっ、ええお邪魔をいたしましたですわよ。」
「ではユーリ様、ユーリ様は小さい子がお好きとお聞き致しましたので、出来るだけお好みにあう子を探しましたですわよ。残念ながら、わたくしはちょっと育ちすぎですが、3人まとめて、いえ姫様を含めて4人まとめて可愛がって頂きたいですわよ。」
『小さい子って…どこ情報だよー!?』
「もちろん、2人とも十分子を成せまずから、何も心配はいりませんですわよ。更に、ルフィーナは回復魔法、ルーチェは火魔法の使い手ですわよ。」
「魔法ですか!!」
喋らないつもりだったのに思わず声がでてしまった。剣と魔法のファンタジー世界のはずだったのに、今までは姫様の魔法剣以外にはゴブリンの魔法しか目にしたことがなかった。
それが、魔法使いとヒーラーが一遍に現れたのだ、興奮を抑えられない。
「ええ、ユーリ様は魔女っ娘、魔法少女、ロリヒーラーがお好みとお聞きしましたので、カブリーニの総力を挙げて探しましたですわよ。」
「ちょっと情報が間違っているようですが、魔法には興味があります。魔法を使うところを見せて頂けるのでしょうか、」
「ユーリ様に気に入って頂けてなによりですわよ。2人共ユーリ様の妾ですから好きにして頂いて構いませんですわよ。」
「ちょっと認識の相違があるようですが、ありがとうございます!」
「ぬぬぬ~。」
僕の喜びようが予想外だったのか、ラウレッタ様が淑女に有るまじき変な唸り声をあげているが、”魔法”で舞い上がった僕のテンションはMAXのままだ。
「今日のところは、ラウレッタちゃんの負けですわよ。ユーリ様もお楽しみは、日を改めてですわよ。」
こうして、魔法使いとヒーラーが僕のパーティに加わった!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます