第7話 エウスターキオのダンジョンです
エウスターキオには幾つものダンジョンが存在する。
代表的なもので、”古のダンジョン””ミスリルのダンジョン””ドラゴンのダンジョン”が在る。
”古のダンジョン”はエウスターキオ周辺で一番古いと言われるもので、100階層以上あると言われている。出現モンスターは極一般的。
”ミスリルのダンジョン”はミスリルゴーレムが多数出現する。ミスリルゴーレムは魔石ではなくミスリルの欠片をドロップする。
”ドラゴンのダンジョン”は20階層にベビードラゴン、30階層にレッサードラゴンが出現する。最下層には龍が出現するという噂もあるが真偽は不明。
「で、どのダンジョンに入るんですか?」
僕は昨日聞いた難しい話については理解することは放棄して、とりあえずダンジョンでのレベル上げに専念することにした。道中エッダさんが悩んでいた借金問題はとりあえず先送りできそう、ということ以外はきっと忘れていていいことである。
「まずは無難に”古のダンジョン”の浅層かねぇ?」
エッダさんは、街の有力者との折衝で忙しく、ダンジョン潜るパーティは僕とジーナと騎士2名だ。他の騎士もレベル上げをする予定だが姫様は武器と防具の修理が済むまで待機のはずだ。
「ユーリは強いわよ。ミスリルゴーレムもワンパンだったもの。」
ジーナは王都のダンジョンの1件以来、僕を認めてくれている。
「ん~、その話は聞いたけど、わたしが見る限りユーリのレベルは30から変わってないはずなんだよね。王都のダンジョンでもそれほど魔物は倒してないらしいしね。」
エッダさんは”レベル鑑定士”という資格を持っていて、戦う姿を見るとその人のレベルが分かるらしい。異世界物定番の成長チートは僕には無かったらしい。
「じゃあ、”古のダンジョン”を行けるところまで行く、にしましょう。」
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”古のダンジョン”にやってきた。ジーナが入口で警備をしている人に許可証のようなものを見せて通してもらった。
『なんか自然にダンジョンに潜って、魔物を倒しているな。戦うことに違和感がないのは召喚された副作用だろうか。』
ダンジョンに入ったところで、ジーナが振り返った。
「ユーリのレベル上げが最優先だから、ユーリを先頭に進みましょう。次があたし、殿にあなたたちで魔石の回収もお願い。
ユーリ、どんどん進みましょう。29階層までは王都とダンジョンとそう変わらないはずよ。」
「りょーかい。」
スライムが現れた!ユーリの攻撃!スライムは倒れた!
ホーンラビットが現れた!ユーリの攻撃!ホーンラビットは倒れた!
グリーンキャタピラーが現れた!ユーリの攻撃!グリーンキャタピラーは倒れた!
……
キラービーが現れた!ユーリの攻撃!キラービーは避けた!キラービーは逃げた!
ゴーストが現れた!ユーリの攻撃!ゴーストは倒れた!
……
アイアンゴーレムが現れた!ユーリの攻撃!アイアンゴーレムは倒れた!
ジャイアントゴーレムが現れた!ユーリの攻撃!ジャイアントゴーレムは倒れた!
30階層で後ろを振り返ると誰もいなかった。
「あれ?ジーナーー、どこーー?」
返事がない。しばらく待つことにした。
「……」
ジーナが現れた!ジーナは怒っている!ジーナは怒っている!ユーリは茫然としている!
「あんた、何1人でどんどん先に行っちゃってるのよ!!」
「”どんどん進みましょう”ってジーナが言ったから…」
「限度っていうものがあるでしょう!!」
「ごめんなさい。」
「……分かればいいのよ、分かれば…やけに素直ね、ちょっと調子が狂うわ。あの2人は20階層に待たせているから、戻りましょう。
それより、ユーリの剣を見せなさい。これだけゴーレムを相手にしたら刃こぼれしてもう使い物にならないでしょう。
今日は予備の剣もあまり持ってきていないのに……
…ん?ユーリもちゃんと予備の剣を持ってきていたのね?それに何か小綺麗な恰好だし、装備の手入するぐらい、ここで待ってたの?」
「そういうジーナは、ちょっと薄汚れてるよね。……うげぇ。」
ジーナの攻撃!ユーリは避けられない!
「ぶったね!親父にもぶたれたことないのに!」
「うるさい!女の子になんてこと言うのよ!」
『2度はぶたないんだ。』
「ごめんなさい、ジーナは僕のことを一生懸命追いかけてきてくれたんだもんね。」
「…そんなんじゃないもの。」
「あっ、照れた?照れた?照れたジーナも可愛いよ!。」
「バカぁ!」
ジーナの攻撃!ユーリは避けられない!
『2度ぶたれた……』
「2人をあんまり待たせても心配させちゃうかもしれないから、そろそろ戻ろうか。」
「…そうね、戻りましょう。」
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