第4話 決戦?王都のダンジョン
そして7日目、
「「クラウディア姫様!?」」
いつものように王都ダンジョンに、補給隊としてやって来たが、思わぬ人がそこに居た。
「ユーリさん、遅いですわよ。さあ、本日は最下層まで行きますわよ。」
「「「おー!!!」」」
クラウディア姫様が周りに居た騎士隊10名と共に進み始める。駆け足だ。僕たちはは慌てて後に続く。
「王族警護親衛隊よ。」
ジーナが教えてくれる。かなり重装備なのにペースが落ちない。逆に荷物を背負っている補給部隊の面々がどんどん脱落していく。7階層に着くころには補給部隊は僕とジーナだけになっていた。
7階層にもそのままのペースで突入した。
「ウィンドショットですわよ!」
クラウディア姫が剣を振ると風の斬撃が飛びジャイアントバットを切り裂いた。
「凄い!」
キラービーもゴーストもクラウディア姫の敵ではなかった。僕たちは10階層に到着した。今日は全力疾走はしていないがずっと走りっぱなしだ。
10階層のベースキャンプには怪我をした騎士が2人居るだけで、いつも荷物を受け取ってくれる人はいなかった。
「悪い、そろそろ最下層突入だから、戦える者はみんな下に向かった。……ひっ、姫様!?」
「皆さま、急ぎますわよ!」
「「「おー!!!」」」
20階層までの魔物も姫様の敵ではなかった。姫様を先頭に一団となって駆け抜けた。
20階層のキャンプには重症と思しき騎士が数名居るだけだった。僕らを見ようともしない。本当に動ける人はみんな最終決戦に挑みに行ったようだ。
「皆さま、急ぎますわよ!」
「「「おー!!!」」」
姫様無双が止まったのは27階層だった。
「ウィンドショットですわよ!」
「ガァァァァァ。」
「効かない!?」
「「姫様、あれはストーンゴーレムです。ここは我らに任せて先をお急ぎ下さい。」」
「あなたたち!わかりましたわ。必ず生きてもどるのですわよ!」
2名の騎士がストーンゴーレムの足止めに残った。
28階層、
「「「姫様、あれはロックゴーレムです。ここは我らに任せて先をお急ぎ下さい。」」」
3名の騎士がストーンゴーレムの足止めに残った。
29階層、
「「「姫様、あれはアイアンゴーレムです。ここは我らに任せて先をお急ぎ下さい。」」」
5名の騎士がストーンゴーレムの足止めに残った。
30階層、
エッダさんと数人の騎士がぴかぴか光るゴーレムと戦っていた。
「ウィンドショットですわよ!」
「ガァァァァァ。」
「やっぱり、効かない!?」
「「姫様??」」
姫様の登場に一瞬気を取られた騎士達にゴーレムのパンチが当たり、ダンジョンの壁に叩きつけられた。
「ウィンドブレイクですわよ!」
姫様がゴーレムに肉薄し、風の魔法を纏った剣を叩きつけた……
キンッと金属質の音がし、……姫の剣がぽっきりと折れた……
「へっ……?」
間の抜けた声を上げる姫様にゴーレムの振り回した腕があたり、姫様を庇おうとしたエッダさんを巻き込んで姫様が吹っ飛ばされた。
何とか立ち上がろうとする姫様の目の前にゴーレムの腕が振り上げられ、……
僕の剣がゴーレムを両断した……。
「ジーナ、(ダンジョン)コアは!?」
「分かってるわ!」
ジーナが剥き出しになったゴーレムのコアを破壊し、ゴーレムは煙のように消え後には大きな魔石が残された。
「……」
「倒したわね、ミスリルゴーレムを…」
「ジーナ、ダンジョンコアはある?ここが最下層?」
「あっ、きっとあれね!」
「どうすればいいの?先にコアを破壊したほうがいいの?先にみんなの手当?」
「手当を先にしましょう。」
ジーナと僕は背負ってきた荷物から薬を取り出し手分けして、応急処置を行った。
「ではクラウディア姫様、ダンジョンコアの破壊をお願いします。」
エッダさんに言われて、姫様がコアの前に移動した。
「ユーリさん、ご一緒にお願いできますですか?」
「えっ、僕ですか?」
「はい、こちらにお願いします。」
そういえば、姫様は剣が折れて武器がないんだった。僕は姫様の隣に行き剣を渡そうとするが、姫様は手を僕の手に沿え、僕に何かの呪文を言うように囁いた。
「「ここに神の恩寵を得、永遠を誓います。」」
呪文を詠唱するとともに2人でダンジョンコアを破壊した。
ポカーンとした様子のジーナが気を取り直したように、
「まだ後ろでゴーレムと戦っている騎士たちが居ます。加勢に行きましょう!」
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僕たちが戻ると騎士10名がアイアンゴーレムとまだ戦っていた。そのまま後ろから一太刀浴びせると、ゴーレムは動かなくなり、その隙にジーナがコアを破壊した。
ストーン、ロックゴーレムは既に騎士達の手によって倒されていた。
まだ元気な騎士達と力を合わせ、なんとか怪我人を20階層のキャンプまで運び、連絡のため、姫様、ジーナ、僕、護衛として騎士3人は地上に戻った。
「クラウディア姫様、私は任務完了報告と撤収作業の応援要請に行って参ります。ジーナ殿ご同行願いたい。お前らは姫様を宿舎まで送り届けるように。」
護衛の騎士のうち、一番偉そうな人が解散を宣言した。
「お疲れ様でしたわよ、ではユーリさん、参りますですわよ。」
僕はニコニコしている姫様の後を追い宿に向かった。後ろでジーナに何故かすっごく睨まれてる気がするけど…
『僕、今日は頑張ったよね!?』
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