第3話 王都ダンジョンに入ってみました

 次の日、再びダンジョンに来ていた。昨日はあれから王都をジーナに案内して貰った。仲良くなれたと思う。

 メンバーは僕、ジーナ、それから騎士見習いが3名、全員大きな荷物を背負っている。リーダーはジーナだ。

「我々の任務は、補給物資を10階層まで届けることだ。魔物との戦闘は極力避けるように。では出発。」

 ジーナの掛け声で、ダンジョンの中を進み始めた。僕はジーナと話しかけた。4層目までは、雑談しながらでも余裕だ。

「エッダさん達は最下層を目指してるんだよね。」

「そうよ、最下層は多分30階層程度、おばさんたちは今15階層ぐらいに居るはずだから、早ければ3日遅くとも5日で最下層に到達するはずよ。」

「最下層のダンジョンコアを破壊すれば、魔物が発生しなくなるんだよね。今回ははコアを破壊しちゃうってこと?」

「そうよ、ここは初心者訓練用に冒険者ギルドの管理下だったのに、管理できていないと判断されたから騎士隊によってこのダンジョンは閉鎖されると決まったわけよ。」

「魔石とか取れなくなってもいいの?」

「ここでは、大したものは取れないからねぇ~。まあ新しいダンジョンが発見される方が多いから、あんたも万一最下層まで潜れたら、どこのダンジョンでもコアを破壊して褒められることはあっても、文句を言われることはまずないわよ。」

「そうなんだ~。」

「まあ、昨日の4階層では守ってくれたし、あんたなら10年くらい修行すれば浅層のダンジョンくらいは討伐できるかもね。」

 昨日のゴブリンとの戦いでちょっとは認めて貰えていたようだ。

 エッダさん達の”掃除”のお陰か、6階層までは魔物を見ずに降りて来られたが、流石に7階層では魔物がいた。

「ジャイアントバットね。」

 でかい蝙蝠だ。あんまり強くは無いらしいが飛んでいるので剣での攻撃が届かない。近接攻撃しかできない僕らには相性が悪い。

「ジーナは剣戟を飛ばしたりできないの?」

「出来るわけないでしょ!」

「残念、じゃあ”走ろう”。」

 僕らは、ジャイアントバットが高いところを飛んでいるときを見計らって階段までダッシュした。


「はあ、はあ、はあ。って8階層は蜂ー!?」

「そうよ、キラービーは毒があるから要注意よ。」

「”走ろう”。」

 息が整うのを待って、再び全力疾走。


「はあ、はあ、はあ。って9階層はゴースト!?」

「そうよ、ゴーストは物理攻撃耐性があるから要注意よ。」

「”走ろう”。」

 息が整うのを待って、再び全力疾走。


「はあ、はあ、はあ。10階層は何ー!?」

「おうっ、よく来たな。待ってたぜ。」

 10階層では騎士が10人ほどキャンプを張っていた。10階層は所謂階層ボスのいるところで横道はなく、広間だけであり、階層に人が居る限り階層ボスはリポップしないため、この階層を安全地帯として下層へのベースキャンプとしているとのことである。

「7層からは既に魔物がリポップしているわ。今日は走ってこれたけど、明日はもう厳しいと思うわ。」

 僕たちを見て笑顔だった騎士が難しい顔になった。

「思ったより、魔物が多いな。隊長の方も魔物が思ったより多く、今日中に20階層制圧は難しいとの連絡があったところだ。」

「おばさ…いえ、隊長は大丈夫なんですか。」

「ははは、あの人は心配ないさ、あの人が5人、いや3人居れば、こんなダンジョンなんて、あっという間に討伐できちまうさ。」

「でも、今回は苦戦しているみたいですし…。」

「ま、ダンジョン主に備えてそれなりの人数を引き連れて行ってるからな。お前たちみたいに魔物と戦わずに駆け抜ければいいのかもしれんが、俺たち騎士の装備ではなかなか難しいからな。」

「……」

「まあ心配することはないが、ちょっと予定が延びるかもしれんから、補給に不安があるのは困る。上に戻ったら、魔物が多いことを伝えて補給体制の見直しを進言しておいてくれ。」

「……わかりました。」

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 帰り道も僕たちは一生懸命走って魔物との戦闘を避けた。

「はあ、はあ、はあ。もう大丈夫かな?」

 3階層まで戻ってきたところで、一息ついた。帰りは荷物が無くなったとは言え、全力疾走の繰り返しはきつい。ここから上層は不意打ちされるような魔物はでてこないはずだ。

「ジーナ、明日からはどうするの?」

「……」

 ジーナはエッダさんのことを心配しているようだ。しかし僕たちにできることはないし、無責任に「大丈夫だよ」なんて言えない。

「やっぱり近接武器しか持ってないのは辛いと思うんだよ。魔法とか弓とか遠隔攻撃が可能な人が必要だと思うんだよ。」

「…頼んでみる。」

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 2日目、

「”走ろう”。」

 息が整うのを待って、再び全力疾走。

「はあ、はあ、はあ。やっぱり人数増えただけじゃダメですよ!?」

 3日目、

「”走ろう”。」

 息が整うのを待って、再び全力疾走。

「はあ、はあ、はあ。もう矢がないです、もっと沢山持ってくるんだった!?」

 4日目、

「”走ろう”。」

 息が整うのを待って、再び全力疾走。

「はあ、はあ、はあ。走りながらスリングはムリだぁ!?」

 5日目、

「”走ろう”。」

 息が整うのを待って、再び全力疾走。

「はあ、はあ、はあ。パチンコは結構使えるぞ!?」

 6日目、

「はあ、はあ、はあ。重い…フルプレートアーマーだと10階層までの魔物の攻撃はほぼノーダメージだけど、歩くのが辛い。」

 そして7日目、

「「クラウディア姫様!?」」

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