起承転結の.....転!

貴方へ

第3話 アイドルになった本当の理由

喫茶店でバイトを始めた理由としては俺があまりコンビニバイトとか得意じゃなかったから、だ。

発達障害も多少あり。

鈍感で。

喫茶店でアルバイトをしていたのだが。


そんな働いていた喫茶店にいきなり昔働いていた場所の教え子がやって来て結婚してほしいと言ってきた。

俺はその事に解けない問題を出し。

それが解けたら結婚してやると言った。

何故そんな事をしたかといえば簡単である。


教え子の石橋には別に恋人を作って幸せになって欲しかった。


それだけが理由だった。

だから俺なんかというクズと一緒になる未来が想像出来なかったのだ。

その為にミレニアム問題という問題を出して解けなくしてから。

俺は泣いて去って行った石橋を見送った。

これで良かったのだ。


そう思っていたのだが。


何故か知らないが胸が苦しい。

俺は思いながら喫茶店でバイトを続ける日々を過ごしていた。

のだが.....1週間後、また石橋が俺の元にやって来る。


それから俺を真っ直ぐに見てくる。

この前の様な顔では無い。

何というか泣きに泣いた顔じゃない。

決意の表れの様な感じである。


「先生。.....私に歌を歌うチャンスを下さい」


「.....歌うチャンスだと?」


「.....はい。この裏に空き地があります。私は.....そこで歌を聴いてほしいです」


「.....それで俺が.....どうなる?」


「先生。お願いです。.....その歌で感動したら.....是非結婚して下さい」


俺は愕然としながらその姿を見つめる。

真っ直ぐに決意で見てくる石橋。

101回目の告白だった。


その姿に、分かった、と言って真っ直ぐに見る。

俺が....感動する事が条件だな、と思いながら。

それから店長に許可を貰ってから外に出て行く。


「先生。感動させます。必ず」


「.....そうか。じゃあ歌ってくれ」


「.....はい。あまり大きな声で歌えませんが.....」


そしてゆっくりと少しずつ歌い始める石橋。

それから俺は愕然とし始める。

何とその歌声は。

あまりに透き通っていたから、だ。

通行人も足を止め始める。


「.....おい?あれって石橋花苗じゃないか!?」


「マジかよ!?プロアイドルの!?」


そんな会話が聞こえるが。

そんな野次馬の声を聴いている暇すらなかった。

何故なら俺は.....泣いていたから、だ。

そして号泣していた。

何でこんなに素晴らしい.....過去を思い出させる様な。


「.....ど、どうで.....した?」


「.....良いのかお前。こんな場所で歌って。それこそマジに.....アイドルってバレるじゃないか」


俺は涙を拭きながら見つめる。

野次馬が既に50人ぐらい集まっていた。

俺はその姿を見ながら石橋を心配そうに見る。

すると石橋は、計画通りです。大丈夫です。.....私、SNSでこの事を全部公表するつもりでした、と言う。

それから、私はアイドルを引退しますから、と。


「.....!?」


「.....私はせん.....じゃなくて。これから先はお爺ちゃんお婆ちゃんになるまで達英さんの為に生きて行くつもりです」


「.....」


涙を拭いながら俺は、は?い、引退?、と唖然としている野次馬を見ながら。

そのままジッと見てくる石橋。

俺は石橋に溜息を吐いた。

それから、分かった。俺の負けだよ、と切り出す。

そして、付き合うか、と言った。


「ほ、本当ですか!?達英さん!!!!!」


「分かった。俺の負けだよ」


「.....う、嬉しい.....!」


「.....あのな。しかしこんな多くの野次馬の前で告白するなんて.....」


「良いんです。私は.....もう引退しますから」


それから俺に抱きついて来た石橋。

そして.....俺の唇に唇を押し付けてくる。

はぁ!?!?!、と思いながら石橋を見る。

石橋は満面の笑顔で、好きです、と言ってくる。

赤くなりながら、だ。


「私は達英さんの為に居ますから」


「お前.....」


周りを不安げに見る。

だがその周りは嫉妬ではなく。

拍手をしながら俺達を迎えていた。

信じられない感じだが。

石橋も笑顔を浮かべて俺の腕に寄り添っていた。


「.....ねえ。達英さん」


「.....な、何だ。離してくれ。恥ずかしいぞ」


「とっても幸せです。嫌な事もあるかと思いますが。.....でも私はそれを超えるぐらいに幸せです」


「.....そうか」


そして俺達は晴れて付き合う事になった。

将来の結婚を目指しながら、だ。

それから石橋はマジにアイドルを引退した。

何故なら、第一目標の夢は叶ったから、だそうだ。


それからあっという間に3年が経過した。


俺達は結婚し.....そして。

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