デビューと結婚?
炎上のタイムリミット
「……もしかして、私……?」
大真の少女のような瞳が俺に向けられる。
俺は、配信言っていた事を思い出し––後悔と恥ずかしさで、言葉がでなかった。
ネットでは早速『炎上Vtuberが好きな人の暴露を始めた』と話題になり––
今まで配信に出てくれた方達の名前と、俺の年齢を予想して年齢に近い声優をピックアップするページが生成され––その方達に飛び火をする状況が生まれた。
……それを知るのは、数時間後となるのだが……近くに大真がいるから、事の始まりは何となく把握できた。
大真はそんな状況を……少しだけ嬉しそうにしていた。
「うわぁ~……皆に謝らなきゃなぁ」
酒に溺れるのはいけないな。本当。
とりあえず、今は水を飲んで––全て水に流そう。
自室の買い換えたベッドに飛び込んで––俺は就寝することにした。
翌日のことだ。
俺は酒の影響なのか、目覚めの悪い朝を迎え––炎上が段々と大きくなっているのを大真の泣きそうな顔と鈴さんからの多数のラインで実感した。
「ど、どうした?」
「これ……」
そこには、女装した俺の顔を今時の加工アプリで妖怪化された画像を大量に大真に送り付けている捨て垢があった。
他にも、リプで『君でしょ?』というのが何百という数で送り付けられていた。
「うわぁ……」
「空さんが悪い」
「えぇ~……」
「空さんがハッキリしないから」
「……うーん」
大真は煮え切らない返事をする俺に––少しだけ舌打ちしたように聞こえた。
「……とりあえず、鈴さんからの連絡に返信しな?」
そう大真はいうと、キッチンで朝食の準備を始めた。
……鈴さんか……久しぶりだな。
「連絡遅くなってすいません」
「やっときましたね。空君さん」
「どうしましたか?」
なんとなく、俺は何を語るのか知っていた。
「ネットニュースですよ!なんか、凄いことになってるじゃないですか!!」
「あー……」
「別に炎上することには何もいいません!でも、声優の方や同業者の方の活動の妨げになるのは良くないです!……千里は別ですけど」
「……すいません」
「あ、明後日以降に千里の初配信をする予定なんですけど……その前に、この騒動を治めてもらってもいいですか?ネタにしてもいいですし……本気で“すきな人”に告ってもいいですので」
「……あー…はい…」
「では!今日は現場に向かわないといけないので、後ほど!」
鈴さんからのラインはその言葉と、大量のスタンプで閉じられた。
「……配信かぁ」
俺は急に決まったタイムリミットに、若干の焦りが生まれた。
実際、告白するのって自分のタイミングとかあるだろ?
味噌汁の匂いが部屋に立ち込める中––現実逃避をすることに決めた。
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