毎日配信4日目。乙女ゲー?
【ドキドキ!?エンジョイ男根レジェンド3】
……なんというか……コメントのしづらいゲームを大真は持ってきた。
「レビューが良かったので」
理由を聞いてはいなかったが……俺の顔色を見て、慌てて大真は持っている理由を話しだした。
「……」
俺は何も返事をしないと、大真の顔は真っ赤になっていく。
「え、えと……あの…リ、リスナーが……えと…」
「……そうかぁ、ならしょうがないね」
このまま、大真を見て楽しむのも良いとは思ったが––配信をしなきゃいけないので、俺は適当な返事をした。
そして、もう一人のゲストに通話を繋げる。
「画面共有はできてる……?」
「あ、できてま……は?何ですかこれ?」
「だよねぇ」
俺が返事をすると、隣の大真は小さい声で唸っている。
それを察したのか、通話相手の四時プロの烈火さんはお口にチャックをするかのように––色々と察してくれた。
「てなわけで、配信開始しますね」
「はい」「はーい」
俺らは4日目となった、毎日配信を開始した。
「どうも~、夕焼空です。もう今日はゲスト来てくれてます~」
そう言って紹介すると、各々自己紹介を行い––
「ここからは私、大真が進行しますね」
主導権を大真に渡した。
俺はマイクを、大真がいつか使うはずだったASMR用のマイクに切り替え。
烈火さんは密着度の高いヘッドフォンを装着し、音量を上げてゲームの開始を待った。
「2人共準備はできました?」
俺の顔を見て、烈火さんの“はい”という返事が間もなく来た後––ゲームを開始させた。
ゲームはオープニングから凄く過激で、腰を振っている男がアイコンとなってスタートを促している。
「うわ…」「なんだこれ…」
俺と烈火さんはそんな感想を述べているのだが、大真は淡々とゲームを進めていく。
何かボタンを押すと“アッ”とか“うっふーん”と男のドスの聞いた声で言っているのは本当に萎えていく。
「名前はどうしましょ?」
このゲームの主人公となる––所謂分身の名前を入力するのだが……俺の名前は嫌だ。
「じゃあ、適当にいれ––」
「空さんでいいか」
大真は有無を言わせず、入力を進めていく。
烈火さんの方は何も言わないけど……まあ、こんなゲームは刺激が強すぎるもん。わかる。
そんなこんなで、俺の分身となったゲームの主人公は物語へと入っていく。
ゲームの出だしは……ベタな入学式からの入りだった。
「さ、読んで!」
大真の促しに……俺は抗うことはできずにセリフを言う。
「今日から入学式か~良い学校ならいいなぁ」
ベタなセリフだが…久しぶりに演じるのは恥ずかしいな……。
そこからは、色々なキャラとの出会いやデートとかを何度も繰り返していくことになるのだが……そこまで、最初のインパクト程のものはなかった。
だから、最初は恥ずかしかった俺も次第に慣れ––烈火さんも普通にコメントをしていた。
大真はというと……没頭するかのように無言でゲームを進めていたのだが、ある事にゲームの中盤辺りで気づいた。
「空さんの名前でやったらBLになるんじゃ……?」
ある一人のキャラを攻略する手前まで来ての失態に……3人共色々な声を上げて、配信は更に盛り上がった。
俺はそんな失態をした大真さんの顔を見るけど……あ、これわざとじゃね?
大真の顔は更にニヤニヤとしており、俺と烈火さんを弄ることに快感を覚えている感じがした。
「ってなわけで、空さん!ココからは本気の本気で読んでくださいよ?」
念を押された俺は––いつの間にか来ていた告白シーンを、専門学校の時代のスキルを全て使って、喋りだす。
「あ、アナタがす…す、好きです!私と付き合ってください!!!!」
……少しだけ棒読みになった気がするけど、俺の今できる全てを注ぎこんでいった。
「「キャーーーーーー!!!!!!!!」」
2人の同じだが違った反応に、俺とリスナーの耳は破壊された。
「……ってなわけで、ココで今日の配信は終わろうか」
キンキンする耳を抑えつつ、1時間程経った配信を俺は閉じた。
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