毎日配信3日目。罰ゲーム

 「……あまり言いたくないけど、変な話はやめようね」

 大真は今日は俺の隣に座り、配信開始を一緒に待つ間––少しだけ怒った顔をしていた。

 まあ、当然なんだけど……。

 

 「毎日配信3日目です~。どうも、夕焼空です~。挨拶考えるのはリスナーに考えてもろて」

 「投げやりはダメだよ」

 「え~……」

 「あ、大真です。こんばんは」

 そんなこんなで、俺と大真はオープニング映像後に挨拶をリスナーに行った。

 今日は早速のゲスト……元四時プロのVtuberが新しいモデルの状態で一緒に配信をしているということで、リスナーは––

 ・題名との温度差w

 ・大真~~!!

 ・こう並ぶと…女装のお前と雲泥の差だわ

 色々なコメントが流れていく。


 「さってと……烈火さん来ると思う?」

 「どうだろ?」

 「昨日、イジリすぎたかなぁ~……」

 「女の子にあんなこと言っちゃダメなんだよ?」

 「反省、反省」

 俺はリスナーには見えないだろうけど––大真の膝に手を置いた。

 ……決して、やましい気持ちが……ほら、推しに触りたい衝動はあるわけじゃん。

 大真はそんな行動にビックリしていたが……少し汗ばんでいた感じがした。

 「……と、とりあえず、今日の配信が3日目なんだよね?一週間やって、次週がコラボウィークなんだよね?」

 「あと、デビューする奴の配信もあるらしいよ」

 「……私、あの子とコラボするんで……よろしくお願いします」

 「今の大真なら大丈夫だよ」

 そういえば、千里の配信日とかどうするんだろう?


 そんな、雑談にも宣伝にも似た話をしていると––

 「ど、どうも……」

 四時プロの爆弾女こと、烈火さんが登場してきた。

 「どうも」「あ、烈火さんだ」

 「もしや、大真さんもいるのですか!?」

 「そうですよ」

 「お~、安心しました」

 「おい、俺が悪者みたいなことになっちゃうじゃん」

 「だってねぇ~」「そりゃ、そうでしょ」

 「え~……」

 2対1となった状況で四面楚歌だ。

 それでも、俺は話をすることにした。

 「烈火さんは男性知らないんでしょ?」

 「……」「……」

 「……え?何この空気」

 「ふむ……」

 大真は隣で……何かを考えている。

 「烈火さんは面白いですね」

 「えぇ!?」

 「……あの」

 俺が面白がっていると、大真はある提案をしてくる。

 「今日の配信……じゃ、時間がないので。次回から私達でゲームしましょうよ」

 「「ゲーム?」」

 「そうです。乙女ゲームしましょうよ」

 「ほお」「別にいいですけど」

 「……私が四時プロの時から思ってたんですけど、烈火さんは乙女ゲーム系は何度もやってたと思うんですけど……今回は違う方法でやっていこうと思うんですよ」

 「なんだ?」「なんですか?」

 「空さんがボイスを担当してください。で、烈火さんはヘッドフォンで聞く…どっちに対してもwinwinですよ」

 「「なんでじゃ!」」

 ……ってなわけで、大真の提案はリスナーによって拡散され––それを実行せざるを得ない。

 ・めっちゃ面白そう!

 ・進行は大真?

 ・毎日の楽しみ増えた~

 きっと、俺にも弄った罰が下ったのだろう。



 そこからは、少しの時間だけ雑談をした。

 その時には、俺も烈火さんも明日以降の事を考えると……盛り上がることはなかったのだが、大真はニコニコと話していた。きっとSな部分あるんだろうな。


 「ではでは、この配信終わりましょうか」

 そう言って、俺ではなく––大真が配信を閉じた。

 その後は、今までにはなかった反省会が開かれたのだが……

 「空は少しやりすぎ!烈火さんも女性なんだし!!配信のキャラとかもあるんだよ」

 「そうだね」

 「で、烈火さん!」

 「は、はい!」

 「四時プロ時代は大事な仲間だと思って言ってなかったですけど、爆弾女だと自称することは良いです。でも、配信を壊すことが良いとは限らないんですからね?」

 「…ひゃい」

 「……まっ、次の配信で少しは皆のイメージも変わると思うんで……少しだけ我慢して頑張りましょ?」

 「がんばります」

 「終わったら、皆で遊びましょう!今度、確か同人誌の即売会とかもありますし」

 「行きましょう!」

 ……やっぱ、この子達は凄いわ。本当。

 

 

 ということで、俺達は軽い決起集会を行い。

 翌日、大真は少しだけ過激な乙女ゲームを持って……今回はコミュ限で配信を開始した。

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