閑話休題。俺と大真さんの生活談
配信終了後、ネットニュースが再度更新された。
【元大手Vtuber事務所に所属していたVtuberが奴隷契約だったことを告発&新事務所を設立する】
その見出しと、炎上Vtuberの俺や複数のVtuberがデビューするということや四時プロのVtuberの煙火吹雪の援助を受けているという内容が書かれていた。
「うわぁー…凄いアクセス数じゃん」
「四時プロのファンの方の拡散力のお陰ですね」
一緒に住む––中性顔で低身長の可愛い女子は––あの配信後からスッキリしたのか表情が明るくなった。
今日は、そんな美少女…成田大真さんと俺の生活の話をしようと思う。
……閑話休題ってやつだ。
『小説より奇なり』みたいな言葉が極たまに聞くことがあると思う。
それくらい、事の発端は急激に変化したのがこの生活の始まりだった。
一人暮らしの自宅警備員をしている俺は…声優の専門学校の友人だった“若手声優の山田千里”の名前を使っての売名をし––本人にバレ、なんやかんやでダークヒーローの女装Vtuberみたいなキャラで活動することになった。
その活動するために必要なママになったのだが……俺の推しでもあった––元四時プロのVtuber“大和大真”がママだった。後に本名が成田大真と知る。
その大真さんも四時プロ内での活動等の問題もあり……縁があって俺と千里達の計画に参加する。
……で、それから大真さんは俺の家に住むことになった。
……ね?意味わかんないでしょ?
さ、ここから一緒の生活になるのだけど…成人した男女が一緒の部屋に生活をするということは…アニメや漫画の中では確実に……そんなアレな展開を期待すると思うが…結論を言おう、あり得ない。
「これは現実なのかよ!」
そう思ってしまう時もあるけど、俺は配信、大真さんは絵描きで案外忙しい。
なので、別々の部屋にいることが多かったり––ダイニングテーブルで一緒に食事をとることはあっても
『キャー!空さんのエッチぃ!!!』
みたいな、某青色の狸みたいなロボットアニメのようなヒロインボイスは今のところない。
シャワーの音だったり、たまに聞こえる「んっ」みたいな声に……ドキドキはするけどね。
さてと…、俺の脳内で質問を受け付けよう。
『推しと一緒に暮らすことになってよく平然といられるよね』
……案外、アキバ女装事件から目まぐるしく変わる世界に少し俺がバグっているのかもしれない。はい、次。
『リスナーに一緒に住んでいる事は言わないのかよ』
……大真さん次第じゃないかな。俺自身は……もう炎上してることばかりだから別に構わないけど。
『一緒に生活して何か変化はあった?』
これは案外多かった。配信上の大真さんはどこか自分自身で解決するような…他人を寄せ付けない感じが時たまあったけど…生活をはじめると「助けて欲しい」と素直に言ってくれるのには驚いた。言葉は少なかったけど。
『…本当にエロな展開はないの?』
ない!本当にない!!
以上かな?
……
「空さん」
俺の脳内配信を、大真さんは停止させるように俺に問いかける。
「…お?」
「私のデザインなんですけど、どうでしょ?」
大真さんのタブレットには自分の2次元の姿が描かれていた。
四時プロの時よりも、表情が明るく“活発な女子”のような印象が目についた。
「いいですね!」
「よかった~」
大真さんは胸をなでおろすと、鈴さんにデータを送っていた。
それと、大真さんは「あ、ついでに」という事で複数のデザインも見せてくれた。
「これが千里さんのデザインで~…これが、鈴さんのデザインです」
ウキウキとした、幸せそうな表情の大真さんは本当に素敵な人だと再認識した。
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