初配信3~火種とオアシス~

 「空君~!!めっちゃ派手に散らしたねぇ!!!?」



 トイレで便器を熱く抱きしめた翌日…千里から連絡が来ていた。

 鈴さんからも連絡が入っていたが、何時でも連絡していいという事だったので…水でも飲んで楽になってから連絡しようと思う。

 しっかし、千里も配信見ているのかよ。

 「千里の事言ってすまんね。あんなので良いのかわかんないんだけど」

 正直な事を本人に吐露した。誰かを傷つけているような感覚ってのは…やっぱ目覚めが悪いよ。

 千里はハマっているのか知らないけど、ゆるキャラのスタンプを送ってきて––

 「まあ、良いんじゃないの?実際、アニメキャラの設定を私達“声優”に反映させてくる人は結構いるし。悪いことではないんだけどね…?それに、昨日の切り抜き結構凄い再生数行ってるじゃん!!…登録者もそれなりに行ってるみたいだし(*‘ω‘ *)」

 俺は未だに昨日の配信後の結果、成果を確認できてはいないけど…まあ、そうなんだね。結果オーライってとこなのか。

 「これからもガンガン攻めていこう!空君には革命を起こしてもらわなきゃ困るんでねっ!!」

 千里はそれとゆるキャラのスタンプを送って会話が終了した。仕事行ったのか。


 

 「あ~、もう12時過ぎてんじゃん」

 何気に一気飲みとかちゃんぽん(色々な酒を飲む事)をしているから、アルコール度数が低くても…まあ、飛ぶ時は飛ぶもんだよね。

 俺は何とかして持ってきた、女装道具と一緒に送られていたミネラルウォーターをがぶ飲みし––鈴さんに連絡をすることにした。

 「おはようございますぅ~。昨日はあの後記憶飛んでました汗 」

 すると、すぐさま鈴さんから返信が来る。

 「おはようございます!さっき、千里の方に連絡してましたよね!隣にいたので起きたのわかってましたw」

 「あー、マネージャーですしね。ところで…本当に大丈夫でしたか?そっちの仕事に影響とか…」

 鈴さんは千里の影響なのか、千里が送ってきたスタンプと同じもの(ゆるふわキャラがうざい)を連投で送って––

 「大丈夫です!!千里の仕事に影響が出ないように配慮してくださってましたし。それに、何かあったとしても…もみ消すくらいの力はありますので」

 「…流石、大手声優事務所」

 「ところで、今後の配信に関してですけど––」

 「あ、はい」

 「今後も女装Vの方で配信をお願いします。配信に関しては…んー、そうですねー…できるだけ配信は毎日してほしいのが本音なんですけどねぇ~…千里の件だけで引っ張るにしては“弱い”と思うので…もう少し火種が欲しいですよね」

 それはそうだ。何度も同じ炎上を繰り返しても結局飽きが来る。

 「千里の件は小出しで油をまいていて欲しいんですけどね!?ほかに何かあれば…」

 「まあ、もう一つ炎上してるっぽいんで…そこは大丈夫です」

 「そうですか!?じゃあ、お任せします!!」

 ゆるキャラのスタンプを連投してくる鈴さん…ウザい。

 まあ、千里が隣で打っているんだろうけど。


 


 さて、今日も炎上することをしなきゃいけないのか…慣れなきゃいけないんだけど。

 「ダークヒーロー…ってね」

 鈴さんからの連絡も終わり、俺は昨日の配信や切り抜きを見ながら呟く。

 


 自分の声を聞きながら、配信内容の確認とかコメントの確認するのは…恥ずかしいもんだ。前なら絶対にしなかった。

 でもさ、こうやって見ていると…案外暖かいコメントもあって凄く嬉しいもんだね


 ・その気持ち、わかります

 ・空さん可愛いです!


 あんな荒れているコメントの中で––砂漠の中のオアシスみたいで…めっちゃ嬉しいもんだ。

 …そして、俺の今日の問題も多く流れている。

 おかげさまで、今日のサムネとタイトルできたよ。ありがと。



□【ふざけるな!】Vtuberの定義ってなんだよ!【凸待ち有り】


 ……さ、今日の配信はどうなんだろ。

 俺は配信時間20時からに設定し、今日のご飯を買いに外へ出た。

 「あ~、3日ぶりか…マックとかでいっか」

 帰りに酒とコーラを買って––今日もやるか。



 俺が出かけている間––SNSには多くのVtuberからの賛否両論が届いていた。

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