Vtuberの枠組みを決める?

 地味な男…?なんか、これって学生時代の俺じゃね?

 千里から来た––ラインの添付画像を見つめながら思っている…と

 「うわ!」

 急に、ラインの通話がかかってきた。…これ、初めてだな。

自慢したくはないけど!?友達は学生時代から切れてるぜ!?

––っと、早く出ないと。まあ、こいつだし少し遅くてもいっか。


 「も…ただいま、電話に出ることが––」

 「アンタはマジで潰されたいの?」

 女性のどすのきいた声をはじめてきいた…さすが、声優。

 「…う…で、で?今は仕事じゃないの?」

 時刻は15時くらい。

 俺は配信前の息抜きとして、今はベッドで寝転んでいるのだが––声優ってこの時間は収録とかあるんじゃないのだろうか。

 「今日は別にゆっくりできるスケジュールだし。それに、空君に送った画像に誤りと訂正があったから報告しなきゃって思ってね?」

 「何かあったの?」

確かにこの画像って色々と間違ってるもんな。

 「えっとね~…あ、この画像ね?男性の方はこのままモデリングする予定ね?」

…はい?

「一応、アイデンティティの部分とかは詰めるけど?で、もう一つの画像の方ね?」

………?

「あれ?これも見た事あるでしょ?…あれ?バレてないと思ってたの?」

………あー…。

「で、ここから訂正部分なんだけど~…ごめん!Vtuber以外の事もしてもらうと思う!!」

「…はい?」

「いやね、マネージャーにも進捗伝えたんだけど––“おもしろそうじゃん!”ってことで企画が浮かんでいるみたいでね?多分、アマ〇ンで荷物届くと思うんで~よろしく!!」

 自宅警備員をしていると、物資は必ずといってもいいほど枯渇する。だから、俺は自身のSNSにて『欲芋』を載せて物資を募っていたんだけど…あれって、色々と送れるのかよ。

 「何が届くんだ?危ない物とかなら中身を見ないで捨てるかんな!?」

俺は届く“ナニか”に少しだけ怖くなった––いや、何となくは想像ついてるんだけど。

「大丈夫大丈夫。まっ、それをしないと採用は見送りかな~?失業保険ってそこまでお金振込されないでしょう?」

「…ぐっ」

 事実、色々な条件を満たすと国からお金を振り込んでもらえる…けど、働いていた給料の満額じゃない…約8割程度なんだ。就職のためとか言ってたけど。

 俺は何も言い返すことのできない事を電話の相手…千里に悟られる。

「多分、今日届くと思うから~それ、写真に撮って私に送っといて!!」

 スマホ越しだけど––千里が満面の笑みで言っているのが…腹立った。





 「今日も配信来てくれてありがと~!」

 パソコンのモニターには笑顔で、無限に手を振っている俺の分身が口をパクパクとさせて––閲覧者2人の配信を盛り上げていた。

 あの通話が終わったのち、直ぐにアマ〇ンから自分宛に荷物が届いたのだが……やはり、俺が思っていた通りだった。

 それを俺は丁寧に着込み、今は便利になった自撮りアプリで加工を施し…千里に送った。


 「これ、やりたくないんだよなぁ」

 俺は、自身が送った自撮りを見ながら呟くと––満面の笑みでピースしている自撮りアイコンがすぐさま返信してきた。

「空君の企画を発表しまーっす」

 自撮りとは関係のない––唐突の発表を俺は予知して––当てた。


「女装でリアル世界に飛び出すVtuberってことで都内を周りまーっす!!」

 



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