第2話クリスマスーアルティシア視点
可愛らしい歌声が聞こえてくるからと部屋に入ってみたら、ユーリが楽しそうに歌っていましたわ。
聞いた事のない曲で歌詞はよく分かりませんでしたが、メロディは楽しそうな感じでしたわね。
曲まで作れるなんて、ユーリは天才じゃないかしら。
可愛らしいだけじゃなく、曲も作れるなんて本当に凄いと思いますわ。
これで三歳だなんて、我が弟ながらに驚いてしまいます。
これからの将来がどうなるのか楽しみですが、どのように成長したとしても私の可愛い天使である事には変わりありませんからね。
何時でも全力で愛でますわよ!
今日ももう少し時間に余裕がありましたら、抱きしめてほっぺたすりすり出来ましたのに……。残念ですわ。
「イザベラ」
「はい」
「貴女、ユーリが言っていた『サンタサン』の事をどう思いますの?」
部屋を出た後、私の背後を護るかのように歩いている侍女のイザベラへと、常々気になっていた事をこの機会に聞いてみる事にしました。
──因みにユーリの侍女のエリーナに聞いてみましたが、全くお話になりませんでしたわ。
『私は、夢があっていいと思いますー』何て、私の問いの答えになっていないと思いません?
父様に侍女の変更を進言するべきかと、本気で考えましたわ。
ユーリが気に入っているようでしたから、断念しましたけれど。
私は、ここ最近ユーリがよく言う『サンタサン』というのが気になって仕方ありませんの。
だって、人知れず枕元にプレゼントを置いていくらしいのよ?
誰にも気付かれずなんて、相当凄い事ではなくて?
「もし、相見えましたら……。対処にかなり悩むと思われます」
「そうですわよね!」
さすが、私の侍女ですわ!
私の言わんとしている事をちゃんと分かっておりますもの!
そう、『サンタサン』はかなり注意が必要な人物だと思いますわ。
ユーリ曰く、お歳を召されている男性との事ですが、誰に気付かれる事もなく部屋へと侵入し、人が寝ている頭上へと物を置いてそしてまた、気付かれる事なく出て行くなんて所業、並大抵の人物ができる事ではありませんもの。
──きっと、相当な武人なのでしょう。
「イザベラ。もし相対しましたら、必ず私を呼んで下さいませ!
私、是非とも『サンタサン』と一戦交えたいですわ!」
公爵家の鉄壁の護りを掻い潜って侵入するのです。
間違いなく相当な手練れ。そんな人物と一戦交えたら、絶対楽しいですわ!
『サンタサン』是非是非私の元まで来てくださいませ。
剣をよーく研いでお待ちしておりますわ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます