僕には何もねえ

道に転がってる石ころに蹴つまづいて

僕は盛大にすっ転んだ

雑踏を行く人々が嗤ってるような気がした

いやもしくは「邪魔くせえ」と怒鳴ってるかもな


昔から何にもできない人間だった

「人間誰しも誇れるとこがある」なんて嘘だ

もしそうってんならこの苦しみは何なんだ

そんなことに怒り散らしても何にもならないのに


出来ない人間なりの努力はやった

でも結局世界は過程よりも結果主義で

「そんなこと学校で習わねえよ」

そんな恨み言すら宵闇に消えた


「焦るな」なんてよく言うよな

けど周りを見ればすっかり僕は置いてきぼりで

気がつきゃ小学校、夕暮れ家庭科室

僕だけ一人居残りで


「なんも出来ねえ」すら言えないのなら

とうとう僕は世界からも除け者で

今日も電子の隅で楽しそうな人々を眺めてる

僕はあっちには行けないな


諦めだけが人生ならば

そんな人生クソくらえだ

早くここから立ち去れよ

消えたはずの希死念慮が首を絞めてくる


「死にてえ」と言えば構ってちゃんだと言われ

「消えたい」と泣く人には冷酷で

笑顔で手を振るアイドルには人が集って

そんな世界さっさとおさらば


文面ならどうとでも言える

「死んでやる」と書き置き残して

天井から下げた首輪の前に立ったとて

僕には死ぬ勇気すらなかったんだ


今日も電子世界の隅っこで

楽しそうに話してる人々を遠目で見てる

「ここにいる理由なんかないんじゃないか」

どうしたってそんなことを考えてしまうんだ


「そんなこと考えるなよ」って

そう言える奴は相当幸せ者だ

友達多いくせに「友達少ない」なんて言うなよ

そう言いたいけど黙ってる


「悲しむ人が少ないうちに死んでやるんだ」

いつかの僕が泣きじゃくりながらそう言ってた

ごめんな、その願いすら叶えられそうにないよ

死ぬタイミングだって掴めなかったから

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