8・類友イベント使いになってやる!

 俺はわかばから【朝日】に変えた。

 類友イベントを自由自在に起こすことができれば、F カップとのイベントも夢ではないと考えたからだ。

 この名前でまずは、ビール仲間に遭遇してみようと思う。

 何にしようか非常に迷った。

 しかし、有名といえばアサヒスーパード〇イ。きっと仲間はいるはずだ。  ハードルは低いに越したことはない。


 前回の俺は、わかば仲間と不倫して自分の名前の付け方の間違いに気づいた。

 しかし! 今回俺はコツを掴むことに成功。

 これで、俺の三フリライフは向上だ。Fカップも間近だ。

(気のせいじゃないのか?)

 イベントを自由自在に操る男。

 これでFカップ美女も俺の虜に違いない。

(そうは問屋が卸さない)


 少し未来の自分を想像してみる。

『きゃっ! なんでも操れちゃうのね。わたしのことも操縦して♡』

(そんなこと言う奴いるか?)

『ああ♡ Fカップ。さいこーです!』

(目を覚ませ)

「あああああ! みなぎってきた!」

(それはなにより)


 時刻を確認する。22時。

 ビール好きとの出逢いを求めよう。

 ほろ酔い気分の、仲間と遭遇だぜ!

 俺は、仲間と楽しく飲み明かすことを妄想しながら、すごろくの箱を開けた。前回の場所に転生され、前々回と同じところであることに気づく。

(進まないすごろく(笑))


───22時。今宵も俺は三歩く。


『ようこそ朝日、三歩の世界へ』

 さあ、来い! 朝日仲間よ。


 さて俺の実力を試す時が、来たのだ。

 前を見る。

 おお! 誰か歩いてくるぞ。

 しかし、その格好で呑み屋に居たのか?


 後ろを見る。

 相変わらず、おとんが居る。動かないのは、何故だ。


 右を見た。

 誰か近づいてくる。上手くいったか? 

 しかし、大荷物じゃないのか?


 左を見た。

 うんうん、順調。夜なのに、その帽子か?


 三方から人が歩いてくる。

 一人は全身高い装備で身を固めた、IT企業の社長っぽい方。

 一人は大きなリュックを担いだおばさんだ。

 一人はがっちり体系のお兄さん。

 呑む面子としては申し分ないが、なんだか雰囲気が違う。


「やあ。君もこれから登るのかい?」

 登る?

「やっぱり、富士山は最高よね」

 そんな銘柄あったか?

「何回登ってる? 頂上で見る朝日は最高だな」

 まて、何かが違うぞ!


『朝日、類友イベント発生中! 朝日、エンカウント成功! 朝日、おめでとう! これより朝までうっふん♡語り尽くし不倫に移行しますよ!』

 俺は、登山家と遭遇。


「OH! NOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」

 漢字がいけなかったのか、ビール仲間ではなく登山家と不倫することに。

 俺は言うまでもなく、悶絶した。

「アサヒ違い……」

 自由自在にイベントを操る日々は遠い。


 何故か登山家たちと不倫することになった俺。

 全く話について行けず、拷問のような時間を過ごすと、モザイクチャンネルに直行した。

 もう俺を癒してくれるのはここしかない。


モザイク3:こんばんは!

モザイク1:よう、モザイク。

(モザイク以外になることはない)

モザイク2:どうだった? 類友イベントは。

モザイク3:全然ダメでしたOrz;

モザイク1:そう簡単にはいくまいよ。裏の裏の裏をかかなきゃ。


 つまり、裏か?


モザイク2:君、実質ビギナーだもんな。俺なんか、名前変えたことないぜ。

モザイク3:ええ? なんて名前なんです?

モザイク2:モザイクよ。類友イベントで、顔にモザイクかかってる人とエンカウントしたときは、ちょっと怖かったね。


 何という、ホラー!


モザイク3:1さんは、イベントとかは……。

モザイク1:俺は、類友イベントで禿おやじに遭遇したな。

(どんな名前をつけたらそうなるんだ)

モザイク2:お前、禿おやじまみれじゃないかよ。

(そういえば、禿おやじと77回もエンカウントしていたな)


モザイク1:おでんって名前にした時、発生したイベントだ。

(何を思ってそんな名前にしたんだ、君は)

モザイク3:おでんだけは辞めておこう。

モザイク1:バーコードとザビエルとタコだったがな。

(よりどりみどり)

モザイク2:相変わらず、わけの分からないイベントばかり発生させてるな。


 そこへ、一人参入。


モザイク103:やあ、愉快なモザイクたちよ。

モザイク1:おー昨日ブリ。

モザイク2:最近暇してんの? とーさん

モザイク3:こんばんは。

モザイク103:暇ではないが、話し相手が欲しい年頃。ところで、先日1000円バージョンを買ったんだが。

(こんなゲームによく払う気になったな)

モザイク1:おお! ついに。どうなんです? そっちのバージョンは。


モザイク103:いやーこれがさ。一日10歩進めるんだが、呑み屋街目指して進むと、小学校の通りが途中にあるんだが。

モザイク2:ふむふむ。

モザイク103:毎回小学生にエンカウントするから、振り出しに戻されるんじゃい。

(何という、鬼畜ゲー)

モザイク103:500円バージョンのほうがおススメじゃな。


俺は、1000円バージョンの鬼畜さを学び、とりあえず名前を変えることにしたのだった。

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