第13話『掛け合い』

「そういう仕事の場合、どんな修法を使うんだ?」

 タイラーが聞くと、アロンが答えた。

「状態保存だから、タイムフリーズダークムーン闇月の時間凍結か、シャドウインアース地中での影で透視するのがいいかもな」 

「ふーん、なるほどね」

 リサがメモしたが、アロンは苦笑した。

「おいおい……他にも方法はいろいろあるからな?」

「参考意見として言ってみるわ。ありがと、助かったぁ!」

「ホント、手探りの仕事だよね」

 ナタルが難しい顔をすると、リサは人差し指をピンと立てた。

「でしょー! でも少人数向きの仕事だと思わない」

「そう言えばそうね……もともと、ウチに来た仕事だったから、少数精鋭で仕事してもらいたいのかもね」

 オリーブが言うと、ルイスがリサに尋ねた。

「トラディショナルオークツリーって、何人いるんだっけ?」

「15人よ。平均年齢27.5歳」

「若っ!」

 ポールが短く切って言った。

「リーダーじゃない私が中堅だもん。メンバーには10代もいるし、ホント若い団体なのよねぇ」

「あんたは平均年齢底上げしてんのね」

「冗談じゃないわよ、脂ノリノリに決まってるじゃない」

「おーっ、確かにノリにノッてるよな」

「濃い顔で悪かったわね。あんたこそ顔じゃいい勝負でしょ!」

「パーツが個性的だからね。俺はまぁまぁイケてると思ってるけど?」

「——おめでたいところがよかったの? トゥーラ」

 今や、ポールがトゥーラを落としたことを、童話の里で知らない者はいなかった。

「福笑いみたいで面白いから」

 どっと笑いが巻き起こる。

「そうだよね、見てて飽きないし」

「言うじゃないか、トゥーラ」

 ナタルとタイラーがおかしげに言った。

「いっそ作っちゃったら? ポールの顔の福笑い」

「新年祭にNWSで盛り上がりたいですよね、福笑い」

 オリーブが言えばルイスも続く。

「ちょっと、人の顔で遊んでんじゃないよ!」

 ポールがムスッとして言うと、さらにアロンが言った。

「人から笑われてナンボじゃなかったのか」

「ヒドイっ、アロン! 泣いてやるっ」

 ポールが両手で顔を覆った。

「笑いが止まらないくせに」

 アロンが言うと、ポールはバァッと舌を出した。

「カッカッカ! なんとでもおっしゃい。俺の人生薔薇色だし~」

 それ聞いて、アロンが呟くことには――。

「俺も方向転換しようかな……」

「春も盛りねぇ、NWSは」

 リサが肩を竦めると、タイラーが尋ねた。

「トラディショナルオークツリーこそ真っ盛りじゃないのか?」

「ウチは代表を反映して、地味な真面目ちゃんばっかり集まってんのよ。だからこそ、民話の里の仕事には向いてるんだけど」

「顔が派手なあんた以外はね」

「そう、なにしろ一人だけ浮いてて……うるさいっっての!」

 ポールの突っ込みに突っ込み返すリサだった。



















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