第77話 乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)を読んで悪役令嬢について徹底的に解説しちゃいました。

このレビュー作品は自作品のキャラ愛から来る自己満足な作品です。


自分の書いた作品が終わってキャラ達が埋もれてしまうのは寂しい・・そんな想いからなんとかならないか考えて生まれました。


同時に他作品をしっかり読む事で、自己の今後の作品の向上にも繋がるとも思います。


それに埋もれている作品達に対してのPRにもなるのではないかと考えて、それぞれ目指す物があると思いますが、投稿している作者の方々に共感と敬意を表して・・・。


褒める作品、おこがましいですが改善点を指摘する作品あるとは思いますが、ただの馴れ合い読み合いレビューではなく、良い所も悪い所も含め素直な感想でお互いの向上になれたらいいなと思います。


よろしくお願いいたします。


●今回の読書作品


【作者】     藤原 柚月 様

【作品名】    乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)   


●今回の読書会参加者


加納友美:加納友美:動物と話せる高校生。オールジャンルOK なりきりスキル発動によりどんな作品も対応可能。

ヘビのヘビッチ:恋愛・ラブコメ担当。中二病のヘビ。

エリマキトカゲのエリマキッチ:流行に詳しいエリマキトカゲ。

イグアナのイグッチ:ゆっくり過ぎるイグアナ。かつて友美さんを数時間に渡って振り回し、絶望へと追いやった。



「………」


読書会開催時、私は爬虫類しかいない今日のメンバーに絶句しています。


(私、本来爬虫類苦手なんだけどな……)


「どうしたんだい?友美令嬢?そんな死亡フラグ確定みたいな、絶望の表情をして。君は笑った顔の方が愛くるしいぞ。笑顔でいたまえ」


私は、すかさずセリフ棒読み投げやりスキル【棒姫】を発動。


「あ、うん。わかったよ。ヘビッチ。ありがとね」


「友美ちゃん!久しぶりだね。今日初めてこのヘビ君に会ったんだけど、意気投合してね。この読書会に感謝感激雨あられだな」


(エリマキッチ……何?その昭和テイストのギャグ?)


「こ・・・・・・ん・・・・・・・ば・・ん・・・・・・・わ・・・・き・・・・ょ・・・う・・」


「あーはいはい。こんばんわ、今日は寒いね。でしょ?イグッチはいつもながらゆっくり過ぎて朝になっちゃうから、挨拶とか相づちはいらないよ。大事な事だけを単的に短く発言してね。あと何回も言ってるけど、小さい【ょ】は他の文字とくっつけてね」


「友美ちゃん。今回の作品の主人公は悪役令嬢だ。わかるかな?」

ヘビッチはトグロを巻き、こちらを鋭い目で睨み、舌をチロチロと何度も出しながら話しています。


「あ、うん。(やっぱ怖いよ……。それに、呑気にトグロを巻きながら舌をチロチロ出すの止めてくれないかな?)」


「悪役令嬢と言うのは、最近になり作品が多くなったと言う印象があるだろうが、実はその歴史はかなり古いんだ。そこでエリマキトカゲ君に歴代悪役令嬢のキャラをネットで調べてもらったから、聞いてくれ」


「う、うん。いいよ」

(さすがにそんなに数いないよね?てかエリマキッチ、ネットなんか使えるの?)


私は、一度語り出すと長くなるヘビッチに不安を覚えましたが、悪役令嬢と言う事でそんなに数はいないだろうとタカをくくり、ホッと胸を撫で下ろしていました。


「それではまず悪役令嬢の定義を説明しよう。そもそも悪役令嬢と言うのは、親の家柄・地位・名声・財産・権力を悪用し、取り巻き等の人的要員を使いヒロインの恋・人生そのものを邪魔をすると言うポジションのキャラだ。もちろんある程度の美貌を兼ね備え、周知の嫌われ者と言うのが前提だ。そして悪役令嬢と言う言葉で作品が現れたのが2010年頃だと言われている。そしてその後は独立したタグ、カテゴリーなどで小説・漫画投稿サイトで多くの作品が掲載されているんだ」


「そ、そうなんだ……」


「そして悪役令嬢は多くの作品で不遇な結果になる事が多い。追放、死刑、精神崩壊、顔面崩壊、破産など、ざまあと呼ばれる要素で言うと影の主人公と言ってもいい。そう言う要素から波及して、乙女ゲームなど現代の作品の世界に悪役令嬢として異世界転生してしまい、コメディ、ラブコメ、群像劇、戦記物等の様々なバリエーションの悪役令嬢物作品が存在するんだ」


「あ、うん……」

(やっぱ長いよ…)


「それではここからはエリマキトカゲ君に歴代キャラを教えてもらおう」


(え?やっと本題?)


エリマキッチはヘビッチの言葉を受けて、エリマキを全開に広げて語り始めました。


「友美ちゃん。悪役令嬢はおとぎ話や古典にも登場する程古いんだ」


「え?そうなの?」


「まずはシンデレラ。敵役にも登場しただろ?」


「え?あれって悪役令嬢なの?」


「もちろんそうだ。そしてその他にも、ガラスの城、伯爵令嬢、花より男子、メイちゃんの執事、執事様のお気に入り、ファンタステイックフォーチュン、ベルサイユのばら、家なき子2、ときめきメモリアルガールズサイド、アリエスの乙女たち、AMNESIA、アンジェリーク…これらの作品にも悪役令嬢が登場する。そして有名なのでは小公女セーラのラビニア、キャンディキャンディのイライザ。これも悪役令嬢と言っていいのではないかな?」


「そ、そうだね……」


「そして、商業小説・コミカライズ作品を一気に言うから聞いてくれ」


「え?(まさか?!)」


「乙女ゲームの悪役なんてどこかで聞いた話ですが、ある日、ぶりっ子悪役令嬢になりまして、ヤンデレ系乙女ゲーの世界に転生してしまったようです、悪役令嬢後宮物語、悪役令嬢に転生したようですが、知った事ではありません悪役令嬢時々本気のち聖女、俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで、悪役令嬢改め、借金1億の守銭奴令嬢です、お前みたいなヒロインがいてたまるか!、悪堕ち姫は実家没落をねらう、本編前に殺されている乙女ゲームの悪役に転生しました転生したけど、王子(婚約者)は諦めようと思う、転生してヤンデレ攻略対象キャラと主従関係になった結果、ヒロインな妹、悪役令嬢な私、婚約破棄系悪役令嬢に転生したので保身に走りました、悪役転生だけどどうしてこうなった、悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される、目覚めたら悪役令嬢でした!? ~平凡だけど見せてやります大人力~………」


「ちょ!ちょっと待って!!エリマキッチ!」


「どうしたのかな?友美ちゃん?」


「悪役令嬢の作品がいっぱいあるのはわかったから、キャラの話じゃないの?」


「友美ちゃん。話の腰を折るのは良くないぞ。最後まで言わせてもらえば納得してくれると思うんだが?」


「え?………あ、うん……わ、わかったよ。続けて…」


「よし。じゃあ行くぞ!いじわる令嬢のゆゆしき事情、オタクガール悪役令嬢に転生する、どうやら乙女ゲームの攻略対象に転生したらしい、悪役令嬢の取り巻きやめようと思います、悪役令嬢に転生したけどごはんがおいしくて幸せです!、悪役令嬢はドラゴンとは踊らない、婚約破棄られ悪役令嬢は流浪の王の寵愛を求む、悪役令嬢としてヒロインと婚約者をくっつけようと思うのですがうまくいきません…、悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました、悪役令嬢シンデレラ 騎士団長のきゅんが激しすぎて受け止めきれませんわ!!訳あり悪役令嬢は、婚約破棄後の人生を自由に生きる………そしてあのアニメにもなった、はめふらなど色々ある」


「………」


(え?終わり?ただ言いたかっただけ?)


「そ・・・・して・・・・・今・・・・・・・回・・・・・の・・・・・作・・・・品・・・・の・・・・タ・・・・イ・・・・ト・・・・・ル・・・・・・」


「あーはいはい。イグッチは今回の読書会のタイトル【乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)】を紹介してくれようとしてるんだよね?イグッチが紹介したら、カップラーメン出来上がる位に時間かかっちゃうから、余計な発言はしなくていいからね。さっきも言ったけど、必要な時のみ単的に私から話を振るから静かに読書しててね」


「それではそろそろこの作品について語ろうじゃないか?」


「あ、うん。そうだね。エリマキッチはどうだった?」


エリマキッチは全開に広げたエリマキをバサバサと震わせながら話始めました。


「なんと言っても主人公の女の子ソフィアさんがとても可愛い!」


「そうだね!なんかちょっと抜けてる所もあって愛されキャラって感じだよね」


「そうだ!友美ちゃん。よく言ってくれたな!君はまるで大魔術士の様に光輝いているな!」


「え?ヘビッチもそう思ったの?」


「無論だ。まずこの作品は主人公が語り手なんだが、心情描写を中心に構成されている。そしてそれが妙なリアリティと納得してしまう所が多いんだ。しかも可愛らしく、淡々としている所がある。変に冷静な部分も兼ね備えていて、作品自体もドタバタしていないんだ。しようとしても令嬢である事を常に意識していて、しかもその心情描写がちゃんとあるんだ。そして一見知的なキャラにも見えるが、空回りしてしまう。それが読者からするとツッコミ所が多い。しかし、ツッコミたくなると言うのは、ある意味感情移入していると言う事だろ?そこにこの作品の主人公の魅力が凝縮されているんだ」


「そ、そうだね!なんとなくヘビッチの言いたい事わかる!作品内での愛されキャラじゃなくて、あくまで読者にとっての愛されキャラって言う感じなのかな?」


「うまい事言うじゃないか?友美ちゃん。そうかも知れないな。僕は最初この作品のあらすじを読んで、テンプレ的な印象を受けたんだ。数ある悪役令嬢作品のいいとこどりをしているのかな?と思ったんだ。しかしその予想は木端微塵に砕け散ったよ。まずは設定がしっかりとしている。その設定についても早い段階で語り手による説明があるんだが、それがスッと頭に入ってくる。この作品に関しての感想では読み易いと言う意見が多く見られたが、それはなぜだと思う?」


「え?……えっと…段落がしっかりしているとか、改行のタイミング?とかかな?」


「もちろんそう言う校正的な部分もあるが、一番は語り手がソフィアさんだからだ。一話からの作者様の見事な表現力で、知らず知らずの間に感情移入しているからじゃないのか?それはさっきも言った様にリアリティのある心情描写が全開に生かされてるんだと思う。他の悪役令嬢物とはちょっと一線を画してしていると思う」


「そうだね!」


「物語の内容としては比較的スローテンポに話が進むんだが、きっちり伏線の回収もしている。自然の流れで絶妙のタイミングでだ。だから飽きさせない。僕が今まで読んだ悪役令嬢物の中でも群を抜いた完成度の高い作品だと思う。とても気に入ったぞ!エリマキ君もそうだろ?」


「そうなんだよ!とにかくこの作品は一にソフィアさん二にソフィアさん。三、四が無くて五にソフィアさん!巨人、大鵬、ソフィアさん!神様、仏様、ソフィア様!ハハハハ!」


(なにそれ?なんかエリマキッチって言う事がいちいち古臭いんだよね……)


「エリマキ君の言う事もごもっともだが、とにかくこの悪役令嬢作品が群雄割拠と言ってもいい状態の中に飛び込んで異才を放っている、この作品を応援したいと思う!この先もこのジャンルはしばらく廃れる事はないだろうな」


「そうだね。ヘビッチ!続きが気になるよね!!」



「友美ちゃん。僕も昔は子供たちの間で大ブームになった事があるのは以前話しただろ?」


「え?あ、うん。聞いたよ」


私は以前エリマキッチから、エリマキトカゲが一大ブームを巻き起こしたが、そのブームは早々に消滅。今では動物園でもほとんどもてはやされる事はない、と言う話を寂しげに話すエリマキッチの診察をした事がありました。


「だが、今となっては同じく流行したウーパールーパー君と同じで廃れて全く注目されなくなった。そして容姿がキモいなんて言う発言を受けた事もあるくらいなんだ」


「エリマキッチ………」


「だがこの作品を読んで僕もなんだか元気が出て来たよ!空回りしながらも自分を静かに貫き通すソフィアさんを見習って、僕ももう一度注目される様にエリマキを広げて、ガニ股で走り続ける」


「うん!わかった!私も応援してるからね!忘れないからね!」


「わ・・・・た・・・・し・・・・も・・・・エリ・・・・・マ・・・・キさ・・・・んと・・・」


「はいはい。イグッチは私もエリマキッチとこの作品応援するって言いたいんでしょ?こういう場合は応援って単語で言ってくれればわかるから、発言は良く考えてからしてね」

(あれ?なんか私、イグッチに対して悪役令嬢みたく冷たくない?……気をつけなきゃ)


その後、読書会が終わった後は、元気になったエリマキッチがふざけてテーブルの周りを、がに股でグルグル回っているのを皆で見て楽しく笑っていました。



作者 藤原 柚月 様

この度はご了承有難うございました。


今回の作品へはこちらから

https://ncode.syosetu.com/n0327go/ (小説家になろう)

https://kakuyomu.jp/works/16816927862647069754 (カクヨム)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る