7日目-2

 ユミコちゃんが教室に入ってくる。

 わたしは今日も、ホナミちゃんとお話ししながらこっそりそんなユミコちゃんを見た。

「……?」

 変な感じがして、じっと見てみる。

 頭にいつものウサちゃんがいなかった。ランドセルもない。

 どうしたんだろう?

 今までのユミコちゃんはいつもつまんなそうに学校に来ていた。最近のユミコちゃんは、お楽しみが家で待ってるような、そんな様子で、少しだけ嬉しそうだったのに。

「やっだー、ななせさん、なんももってきてないじゃん」

 ユミコちゃんに気付いたホナミちゃんが小さく笑った。

「きょうは“たいく”もおんがくもあるのに。やるきないならこないでほしいよねー」

「う、うん」

 ホナミちゃんの笑顔が怖くて首を縦に振った。周りの子達もユミコちゃんを見ながらひそひそ話していた。

 チャイムが鳴って先生が来るまで、嫌なひそひそ話は続いた。

「はい、みんな席戻ってー。今日は最近ここら辺に出る不審者のお話からするよー」

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