6日目
水色ウサギが鳴っても起きようとしないユメちゃんは初めてだった。びっくりしながらなんとか起こそうとしても、ユメちゃんはベッドから出ようとしなくて困ってしまった。「どうしたの?」と訊いたら「熱があると思う」と言うから、リビングで見かけた救急箱を持ってきて、体温計を取り出した。たしか、これで熱を確認するんだ。脇に挟んで、音が鳴るのを待った。体温計に出てきた数字は「36.5」に見えた。熱があるのか分からなくて首を傾げたら、ユメちゃんは渋々学校に行く準備を始めた。
帰ってきたユメちゃんはランドセルをしょったままボクに抱きつくと、小さくぷるぷる震えた。ボクが「どうしたの?」と訊くと、「ユメにはウサくんがいれば良いんだもん」と答えになっていない応えが返ってきた。
違う、と、思った。
こんなの、ボクが人間になってまでしたかったことじゃ、ない。
――このままじゃ駄目だ。
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