4日目-1

「はーい、じゃあ男女分かれて二人組になってーっ」

 先生が言ってすぐ、ホナミちゃんがわたしの腕を掴んだ。

「とあちゃん、いっしょにやろっ」

「う、うん」

 首を縦に振ると、ホナミちゃんはわたしの腕を掴んだまま地面に座った。

 慌ててわたしも座る。周りを見てみると、少しずつ、二人組になった子達が座っていった。しばらくすると、立っているのは女の子三人と男の子三人だけになった。その中にユミコちゃんがいた。

「ななせさん、やっぱりボッチだ」

 ホナミちゃんがにやにや笑った。

 先生が六人を呼んだ。グーパーで決めることにしたみたいだ。女の子の一組と男の子の一組がそれぞれ安心した顔で座る。ユミコちゃんは男の子と一緒に座った。

「昨日は跳び方を教えましたね? 今日は、パートナーがちゃんと縄跳び出来ているか、互いに教え合ってもらいます。相手の子が跳べてなかったら、跳び方を教えてあげてください」

 みんなが「はーい」と手を上げた。

「とあちゃん、さきにとんでいいよ」

「う、うん。わかった」

 立ち上がって、縄跳びを構える。他の子達が跳び始めたのを見てから、わたしも跳んだ。でも上手に跳べなくてすぐに引っ掛かった。

「とあちゃんヘタだね。あたしがおてほんみせてあげる!」

「……うん。ありがとう」

 ホナミちゃんが立ち上がったので、わたしは地面に座る。いつになっても引っ掛かる気がしないホナミちゃんのジャンプを見ていたら、ユミコちゃんのことが気になってしまった。

 ユミコちゃんがいた方を見てみると、ユミコちゃんはずっと座って男の子のジャンプを見てい――あ、男の子が引っ掛かった。ユミコちゃんは立ち上がると、両手をぎゅっと握り締めながら、男の子になにか言った。男の子の顔が嬉しそうに赤くなる。ユミコちゃんが構えると男の子は地面に座った。そして――ユミコちゃんは盛大に転んでしまった。

「あ――」

「とあちゃんっ!」

 びくっとして振り返る。ホナミちゃんが怖い顔でわたしを見ていた。

「ちゃんとみてなきゃダメでしょ!? せんせいにいっちゃうよ!?」

「ご、ごめんね」

 ホナミちゃんは「もうっ」とほっぺを膨らませると、どっすんと座った。

 わたしはまた立って縄跳びを構えながら、もう一度だけ、ユミコちゃんの方を見る。ユミコちゃんは涙目で首を横に振りながら、男の子に「立って立って」と手をぱたぱたさせていた。

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