第55話

 三階に行くとモンスターとのエンカウント率が上がった。ガンガン倒して、素材を拾う。


「テン!雷!」

「きゃん!」


 バリバリバリ!


 ふぅ。ちょっとひと段落だ。そろそろ休憩したいな。


「アル、そろそろ休憩しない?」

「いいぞ。じゃあしばらくモンスターが来ないようにしといてくれ。」


 アルに結界を張ってもらうために少し端に移動する。アルが結界を張る場所を背にして、モンスターが来ても防げるように構える。


「うわあ!やめろ!」


 ちょっと離れたところから叫び声が聞こえた。


 わたしはアルと目を合わせる。


「リア」

「うん!テン!行くよ!」

「きゃん!」


 私たちは声がした方へ走り出した。しばらく走ると、カブトムシのモンスターの大群に囲まれた男の子がいた。


「大丈夫か?手伝おうか?」

「助かる。」


 アルが声をかけると、男の子が返事をした。アルが男の子の横に剣を構えて立った。


「テン!風!」

「きゃん!」


 何匹かは倒したがカブトムシのモンスターは硬めだから難しい。


「テン!雷!」

「きゃん!」

「水流!」


 テンの雷と水流魔法で感電させる。バタバタとモンスターたちが倒れていき素材に変わっていく。

 男の子は体勢を立て直したようだ。近くにいたモンスターたちを次々と倒していった。


「ありがとう。助かった。」

「大丈夫?」

「ああ。わたしはエドワード。君たちは?」


 エドワード?わたしたちは目を合わせる。探していた子かもしれない。


「セバスって知ってるか?」

「ああ。うちの執事だ。君たちうちのセバスの知り合いか?」

「セバスさんが君を心配して派遣した冒険者の子どもだよ。」

「セバスはお見通しだな。」


 ハハッとエドワードが笑った。


「俺はアル、こっちはリア。あとリアの使い魔のテン。」

「よろしく。」

「よろしくね。」


「とりあえず、途中だけど出るか?」


 アルが、男の子の様子を見て提案する。男の子はちょっと疲れているみたいだ。


「そうだね。出ることにするよ。君たちは余裕そうだね。」

「まあ、鍛えてるからな。」


 わたしたちは途中退出のルートから出ようするエドワードについていく。このダンジョンは子どもの遊び場なだけあって簡単に出ることができる。


 外側の壁の内側にたどり着くと、穴が開き滑り台が現れた。滑って外に出はということだろう。


「テン、おいで。」


 わたしはテンを抱き上げ、ウェストポーチに入れると滑り台を滑った。


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