第51話

「ただいま」

「おかえりなさい」


「お母さん、世界樹の実を食べると精霊魔法使えるようになるって本当?」


 わたしはさっきお姉さんに教えてもらったことをお母さんに聞く。


「そうね。でも、精霊魔法が使えるかはエルフの血の濃さに関係するからどれだけ食べれれば使えるかは個人差があるわよ。」

「そうなんだ。わたしたちエルフの血を引いているの?」

「そうね。わかりやすいわよ。エルフの血をひいてると、髪の毛の色が金や銀になるの。」

「そうなんだ。」

「昔は少なかったらしいのだけど、今は増えているわ。でも場所によれば珍しいからね。危ない目に合ったりもするし、あなたたちも普段は隠しておいた方がいいわ。」

「あ、レオンも?」

「ええ。王侯貴族はよくエルフと結婚するの。昔からよく結婚しているから寿命は能力も一般市民よりエルフに近いのよ。」

「そうなんだ。」


「おばさん」

「なぁに?」


 アルが何か決意があるようにお母さんに声をかける。


 アルは無口だから珍しいな。


「俺たちは?」

「え?」

「俺たちは何なんだ?昔から旅をしていたけど、俺たちみたいな髪の色の人はあまりいなかった。いても貴族だった。俺たちは昔からずっと旅をしていた。何か理由があるの?ずっと不思議に思っていたんだ。」

「そうね。理由はね、今は言えないの。言ってはいけないの。ただあなたたちは、特にアルは、強くならないといけないの。でも、出来るだけ普通に暮らさせてあげたいと思ってあの街にいたの。」

「いつ、言えるの?」

「きっともうすぐよ。こうしてエルフの国に来てしまったのだから。」


「お、リア、アル、おかえり。」


 お父さんが奥から出てきた。


「どうしたんだ?何かあったのか?」

「なんでもない。」


 アルは自分の寝る部屋へと行ってしまった。


「お父さん、わたしたちって何かあるの?」

「何かって?」

「わかんない。」

「何を知ったんだ?」

「私たちがエルフの血をひいていて、エルフの血をひいているのは王侯貴族ばっかりで、私たちが昔旅をしていたのには理由がある、ということ?」

「そうだな。俺から言えるのは、アルはこれから大変なんだ。俺とお母さんは昔アルを支えることを選んだ。だから、一緒に旅をしていたんだ。リアに強要する気はないけど、一緒にいるからには少しは巻き込まれてしまう。自分の身を守れるぐらいには力をつけてほしいんだ。」

「わかった。とりあえず明日も世界樹の実をもらいに行ってくるよ。」

「そうだね。その方がいいよ。」


 わたしはその場を離れ、テンと2人っきりになった。


「きゅーん」


 テンがわたしのことを気遣って体をすり寄せてくる。


「大丈夫だよ。テン。」


 わたしはテンを抱き寄せて、テンの体に顔を埋めた。


 アルには何かがある。いつも一緒にいたんだ。助けてあげられるようになりたいな。そう思った。

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