第49話

 階段を降り切った先に行くと、何人かのエルフたちが待っていた。その中の1人が透明な石を持っていて、それに手をかざすように言われた。


 お母さんとお父さんは以前にエルフの国に来たことがあるそうで、わたしとアルとアルのお父さんの3人が順番に透明な石に手をかざした。すると、石が光った。バングルが反応したと思ったので見てみると、木の蔓のようなものが巻き付いている。


 冒険者証、錬金釜、そしてエルフの入国許可証どんどんとデザインが変わってきている。


「お母さん、これ…」


 お母さんにバングルを見せると、お母さんが木の蔓を指差して、


「これが許可証よ。これからもどんどんデザインが変わるわ。」


 許可証や、免許などが増えれば増えるほどバングルのデザインが変わっていくらしい。

 たしかにお母さんのバングルは複雑な模様をしている。


 レンもお父さんと一緒に来たことあるようで平然としている。テンがウェストポーチの中で、テンの冒険者証に木の蔓が巻き付いたのを見てびっくりしていた。


「ようこそ。同胞たちよ。今回の来訪の目的はなんですか?」

「人探しです。数日前に1人の少年が来たと思うんですが。」

「少年ですね。その少年がどうかしましたか?」

「彼の保護者からの捜索願いです。」

「たしかに数日前に1人で来た少年がいますね。」

「どちらにいったか、ご存知ですか?」

「彼は花の村に向かったみたいですよ。」

「わかりました。追いかけてみます。」


 お母さんと受付のエルフさんたちの話が終わったようだ。


「じゃあ行くわよ。今日はとりあえずこの村に泊まるから宿屋に向かいましょう。」


 わたしたちは出口へ向かった。


 外に出ると、エルフたちがたくさんいた。真ん中に大きな木があり、キラキラと輝いている。さっき窓から見た木の家々があり、音楽を奏でている人もいる。スパンっと音がする方を見たら弓矢の練習をしていた。


「こっちよ。」

 お母さんに呼ばれてついて行った先にあったのは小川の横にある家だった。


「いらっしゃい。何人だい?」

「5人と使い魔2匹よ。ベッドルームと応接室のある部屋はある?」

「ああ。空いてるよ。」


 宿屋のおかみさん、と言っても若そうだが、に案内されて部屋に行く。


「はい。これは世界樹の実でできたジュースだよ。これを飲むと長生きできるよ。」


 おかみさんがくれたジュースを一口飲むと甘酸っぱいベリーのような味でとても美味しかった。


「美味しい。」


 レンもテンも器に入れてもらい飲んでいる。


「おや、気に入ったかい?世界樹の実は広場の木に近づくと木が落としてくれるよ。」

「落としてくれるの?」

「ああ。その人に必要な分だけね。」

「必要な分だけ?」

「まあ、後で行ってごらん。」

「うん!」


 おかみさんは部屋の使い方を説明すると、部屋から出て行った。

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