魔物つかいリア、エルフの里へ行く
第48話
今日からエルフの国へ向かう。魔法使いの里に来る時に使ったダンジョンへ向かい、特別に魔法陣のところまで移動させてもらった。
魔法陣のそばにある石ににエルフの国へ行くパスワードをお母さんが入力し、魔法陣にみんなで魔力を流した。
一呼吸置いて目を開けると、大きな木の中ような部屋にいた。
「さあ、着いたわ。」
お母さんに促されて魔法陣から出る。部屋の出口には木でできたような鎧に身を包んだ兵士が2人いた。
そのうちの1人が近づいてきて言う
「ここはエルフの国だ。そなたたちに入国の資格があるか検査をする。」
「サーチ!」
わたしたちの周りを虹色の泡が包む。
泡がなくなった頃にはお父さんを除くわたしたちみんなの髪の色が元の色に戻っていた。
「あ…」
「大丈夫よ。こっちの色の方が受け入れられるから。」
「そちらの方は?」
「私の夫です。」
もう1人の兵士さんがお父さんについて聞く。
「いや、そちらの方も資格はある。」
「そうなのか。」
「ああ。他の方よりは薄いだけだ。」
「そうか。わかった。」
「資格?」
わたしはまたお母さんに聞いてみた。
「エルフの血が混ざっているかどうかって話よ。」
「え?わたしまざってるの?」
「少しだけね。」
そうなんだ。初めて聞いた。
「でも他の人に言っちゃダメよ。」
「わかった。」
また秘密が増えちゃった。
兵士さんたちに促されて、部屋の出口へ向かう。
「階段を降りたところに入国受付があるので、そこに行ってください。」
「わかったわ。ありがとう。」
「ありがとうございました。」
口々にお礼を言い、部屋を出ると、下へ向かう階段があった。階段も壁も全て木でできているが、板ではない。木をくり抜いたみたいな作りになっている。
「テン」
「きゃん」
ウェストポーチのなかに入っているテンを呼んだ。
「一緒に見よう。」
階段の途中にはくり抜いた窓があり、エルフの国が見渡せた。
大きな木がいっぱいだった。
大きな木の下の方に入り口らしい場所がある。あの木が家なのだろうか。木の幹の真ん中あたりで、枝の生え際のところに穴があり、そこから人が出入りしている。枝の上でくつろいでいる人もいる。初めて見る光景に釘付けになってしまった。
「リア、アル、ついてきなさい。」
はっと横を見ると、アルも放心状態で窓から景色を眺めていた。2人で目を合わせて、急いでお母さんたちの後を追った。
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