第43話

 階段を登り、三階のドアを開けると大きな水たまり、湖のようなものがあり、真ん中に金属の一本道があった。水の向こうにある壁には色々な素材が光っている。


 三階のドアを開けてすぐにある看板には、


 光るまで触れ続けること


 と書かれている。


 金属の道の中心には石が置かれている。おそるおそる金属の道へ足を踏み出す。テンは剥がれたら嫌なので、ウェストポーチの中だ。


 アルが最初に足を踏み出し、わたしが続く。この金属の道は2人とも乗れるようだ。

 薄暗い静かな空間に水の音だけがする。どこからか風が吹いている。隙間なんてないような気がするがどこからだろうか。

 何事もなく石のある湖の真ん中についた。


「先に触るぞ。」

「うん。」


 わたしはテンと一緒に一歩下がる。


 アルが石に触った。しばらくなにも変わらない。ウェストポーチから出ているテンの頭をふわふわとする。そのまま見つめていると石がほんのりと光りだした。


 結構時間かかるんだね。


 ほんのり光出したと思ったら、だんだんと光が強くなった。三階中を光らせたと思ったら光が消えた。


 まぶしかった…


 目をしぱしぱと瞬きながら、また暗くなった世界に目を慣らす。


「アル、成功した?」

「…ああ。」

「おめでとう。」

「結構疲れるぞ。」

「そうなんだ。じゃあ次は私だね。」


 アルとわたしは場所を交代する。

 石に手をつけると、手のひらからずわっと魔力が吸われるのがわかった。魔力が吸われていくと体力が消耗されていく。


 これは結構、体力勝負だな。


 それでもここまで来たのに失敗しましたなんて残念すぎる。そう思って手のひらに魔力を集める。

 魔物つかいでもある私は、パートナーの使い魔と交流するために魔力が必要だから、体力には自信ある。そんなわたしでもつらいなと思い始めた頃、石が光り始め、だんだんと光が強くなった。

 テンは目をつむっているようだ。わたしも目をつむろう。


 光が消えたのがわかったので目を開く。左手首には新しい腕輪ができていた。これが錬金窯なのだろう。


「きゃん」

「え、テンもしたいの?」

「きゃん」

「はい。頑張ってね。」


 そう言って、テンを下ろす。

 テンはちょこちょこと小さい足を動かして石の前へ行った。

 テンが肉球で石に触れる。

 しばらく待っていると石が光りだした。


「使い魔でも行けるんだな。」

「ね。でもここまで来た魔物は少ないよね」

「そうだな。てか、テンは錬金窯なんに使うんだ?」

「ただ欲しいだけじゃない?」

「欲しいだけ?」

「うん。私がすることよく真似するよ。」

「そっか。」


 わたしと同じことをしたがるテンって可愛いなと思いながら見守っていると、光が強くなり消えた。

 嬉しそうに走り寄ってくるテンは口に輪っかを咥えていた。それを私に渡し、


「きゃん」

「わかった。よく頑張ったね。」


 ウェストポーチにつけてあるテンの冒険者証の上につけてと言われたのでつける。

 それを見るテンはとても満足そうだ。


 私たちは祠を後にした。

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