第40話

 ある程度練習したあと、疲れてきたので空上競技場を見学してから帰ることにした。



 空上競技場には私たちより年齢が少し上の男女が、速く飛ぶ練習や、空中に仕掛けられた障害物を越える練習をしていた。


「速っ!」


 アルが興奮して声を上げている。たしかにすごく速い。私たちは、1番上手なテンでさえもあんなに速くは飛べない。


 もっと練習しなきゃいけないなあ。


「あれ?見かけない子たちだね。」


 いかにもスポーツマンという感じの爽やかなもっと年上のお兄さんに声をかけられた。


「旅行で、祠に来ました。」

「そうなんだ。君たちは魔法使いかい?」


 私たちはダブルスキラーだけど、魔法使いには違いない。魔法使いには契約獣がいるからテンもどっちかわからないだろうし。


「はい。」

「この子たちは、魔法学園の空上競技部の子たちでね。明日が大会だから練習しているんだ。君たちも魔法学園を受けるのかい?」

「まだ決めてはいませんが、受験資格は申し込みました。」

「そうなんだね。楽しいしオススメだよ。他にも色々な部があるしね。」

「はい」

「じゃあ、またね。」

「はい。また。」


 私たちはしばらく、空上競技部の人たちを見てから、空中騎乗競技場へ向かった。


 空中騎乗競技場には、箒や、似たような形の板に乗った人たちの集まりや、数人で絨毯に乗った競技などがあるみたいだ。小型の船を浮かせている人たちもいる。


 何個かの競技場があり、競技ごとに細かく分かれているのだろう。


「きゃん!」

「ん?テン、どうしたの?」


 テンがこっちこっちという方に近づいて行くと動物に乗って浮いている人たちがいた。


「きゃん!」

「え、どうかな?」

「きゅう」

「どうしたんだ?」

「テンがこれなら一緒に出られるね。って言うんだけど、テンって自分で飛んでるからどうなのかなと思って。」


 テンが指す方にいた人たちは、動物に魔法をかけて浮いている。テンは自分で飛行魔法が使えるのでずるくないだろうか。


「うーん。あっちならいけるんじゃね?」

「え?」


 アルの指差す方を見ると、羽の生えた動物たち、契約獣だろう、に乗って飛んでる人たちがいた。


「テン!よかったね!こっちにいれてもらおう。」

「きゃん!」

「アル、ありがとう!」

「きゃん!」

「おう。テン、頑張って大きくなれよー!」

「きゃん!」


 私とアルはテンを撫で撫でした。


 私たちはしばらくその競技を見学したあと、宿に帰ることにした。


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