第36話

 2階に出るところでまたドアがあった。ドアを開けて入る。

「わっ。」

「きゅん」


 今度は体が重い。


「アル、重いから気をつけて。」

「おう。こっちのが歩きやすいな。」

「そうだね。」


 わたしたちは割と体を鍛えてるのでこちらの方が歩きやすい。


「きゃん」


 テンが何が魔法を使っている。

 私も足に風魔法を使う。まだ少し重く感じるので、脇の下にも使ってみた。

 ちょっと歩きやすくなったかな。


「アル、足と脇の下に使うと歩きやすいよ。」

「ありがとう。そうする。」


 そのまま歩き出す。今度はコオロギのモンスターが現れた。初めて見る。


「テン!雷!」

「きゃん!」


 痺れながらもこっちへ向かってくる。

「げっ、水壁!」

 水で壁を作る。中級魔法だ。


「風!」

 アルが風魔法を使った。初級だがまだ詠唱が必要らしい。

 でも、まだ倒れない。


「テン!雷!」

「きゃん!」

 今度こそ倒れたようだ。


「わりぃ。風魔法使ってたら風しか出さなくて。」

「大丈夫!このままがんばろ!」


 洗礼を受けたばっかりなのだし当たり前だ。


 また歩いていく。何回かモンスターを倒していく。


「アル、休憩しなくて大丈夫?」


 普段はアルの方が体力があるが、今日はいつもより疲れて見える。


「ちょっと疲れてかもな。」

「休憩する?と言っても結界張るのはアルにしてもらうことになるんだけど。」

「結界は全然しんどくないから大丈夫。」

「じゃあお願い。」


 アルが結界を張っている。その間にレジャーシートをひき、お茶の入った水筒とおやつをリュックから出した。テンにも使い魔用ビスケットを用意する。


「魔法って疲れるな。」

「そう?」

「なんかイメージするのが大変。」

「そうかなー?あ、テンはよく自然の観察してるよね?」

「きゃん!」

「風なら風を感じながら走ったりするよ。だって。」

「そうなんだ。この祠でたらやってみる。」

「うん!やってみて。」


 テンをふわふわとしながら休憩する。肉球も気持ちいいな。最近お手入れしてなかったなと思いつき、軟膏を取り出して塗ってあげた。

 ぬりぬり、むにむに


 テンは風魔法で軟膏を乾かしている。


「そういう使い方もあるのか。」

「テンは器用だからね。」

「きゃん」

「慣れだって言ってるよ。」

「慣れかー。練習するわ。」

「うん。」

「そろそろ行くか。」

「もう大丈夫?」

「おう。この階終わったらゴールだろ?」

「そのはず。」

「じゃあ余裕だ。行こうぜ。」

「うん!」


 そのあと何度かモンスターを倒し、3階へ向かう階段へとついた。

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