第33話

 朝ご飯を食べてアルを見送ったあとは、訓練をする。

 テンとレンを連れて魔法使いの里の周りを走る。走るのは久しぶりだから長く感じる。魔物使いは体力が求められるスキルだ。体力がないと魔力もないので使い魔とコミュニケーションすら難しい。だから、わたしは体を鍛えないといけないのだ。


 次は木の枝に飛び乗る練習だ。

 助走をつけて跳び上がり木の枝に手を伸ばす。テンもやりたいようで飛ぶ。昔は全然届かなかったのに今ではテンの方が上手にジャンプする。

 小さいサイズでも大きいサイズでも調整するなんてすごいな。


「あっ」


 手が滑った。

 久しぶりだから力加減がわからなかった。

「きゃん」

 テンが風魔法を使ってくれて落下スピードがゆっくりになる。そしてレンが落ちる前に受け止めてくれる。


 ふっかふか。


 テンが風魔法を使ってくれるから落ちるのはゆっくりだし、レンがいる時なら受け止めてくれるので安心だ。


「テン、レン、ありがとう。」

「きゃん」「ウォン」



 午前中いっぱい訓練して、宿に帰ることにした。


「ただいま」

「おかえり」


 宿に帰ると、アルたちが戻ってきたところだったみたいだ。


「アル、どうだった?」

「洗礼、成功したよ。」

「やったね!」

「おう。」



 お昼ご飯を食べた後は、アルは魔法の練習だ。お母さんとみっちり練習するらしい。私は午後はお父さんと剣術だ。テンも爪で戦う方法を練習する。今までは防御優先で訓練しているしこれからもその予定だが、たまには近距離での戦闘訓練も必要だ。あんまりサボるとアルに怒られるし。あんまり好きじゃないけど。


「ヤァ!」


 カキンッ!


 金属の触れ合う音はあまり好きじゃない。


「リア!腰がひけてるぞ!」

「はい!」


 わたしは本気でもお父さんは余裕だ。重心を変えられたらすぐによろける。


「よく見ろ!」

「はい!」


 うー!後衛です!って言って逃げたい。剣術はやっぱりあんまり好きじゃない。


「きゃん!」

「ウォン!」


 テンもレンにしごかれてる。終わったらまた泥だらけだろうな。




「ぜーぜー」

「はっはっ」


 限界まで動いた私たちは今倒れている。


「レン、水かけて…」「きゅん」

 暑いのでレンにお願いする。


「ウォン」

 仕方ないなという顔でレンが水を出してくれる。あー。気持ちいい。


「きゃん」

 テンが風を出す。涼んできた。


「ほら、お風呂入っておいで。」


 お父さんにひっぱり起こされ促される。汗だくだし今日はもう運動できない。テンもドロドロ出し、今日は洗浄魔法より洗おうかな。


「うん。」


 わたしはテンを連れてお風呂へ向かった。

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