第32話
部屋の中心には、複雑な模様が書かれた大きな光る円があった。
手前に台があり、そこで目的地を入力するそうだ。
お母さんが入力するのを覗き込む。行き先の地名を書くだけみたいだ。
-魔法使いの里-
「下に手をついて。せーので魔力を流すわよ。」
とお母さんの指示のもと、みんなで魔法陣の中に入り、下に手をつく。
「あ、目はつぶっていてね。」
「せーの」
魔力を流したら、瞼の向こうで強い光が起こった。
「もう目を開けていいわよ。」
目を開けると、光る前と何も変わらない光景が目の前にあった。
「どこも転移陣の間は一緒だからね。」
「そうなんだ。」
「こっちよ。」
部屋の奥に、退出専用エレベーターがあり、そこから外に出れるそうだ。
エレベーターを降りると魔法使いの里だった。8歳の時に来たきりだ。
平家の丸い屋根の家が並んでいる。道はグネグネ曲がっていて、思い思いの場所に建てた家に道をつなげたみたいだ。
「ここ、久しぶりだな。」
「だねー。懐かしい。」
中心にある1番大きな家に向かう。そこで家を借りるのだ。
わたしは外で待つことにした。アルとおじさんはお母さんと一緒に中に入った。以前、私が来た時も一緒に行ったから洗礼の申し込みでもするのだと思う。
「テン」
「きゃん」
テンをウェストポーチから出し、ふわふわと撫でる。
しばらくぼーっと待っているとお母さんが出できた。
「アルの洗礼は明日の午前中ね。。そのあと少し練習して3日後に祠に向かうわよ。難易度が低いところからリアとアルとテンで行ってきなさい。」
魔法使いの祠には、魔法使いしか入れない。テンは私の使い魔なので入れるらしいが。ダブルスキラーってお得だよね。
「はーい。」
「きゃん」
アルそんな短期間で魔法使えるのかな?
夕飯後は魔法使いの里の周辺にある祠の地図を見る。
わたしは、飛行魔法、時間魔法レベル1、空間魔法レベル1、錬金術の魔道具レベル1の祠に行きたい。
飛行魔法と錬金術の魔道具の難易度が低いのでそこから行くことになるのかな。と地図を見ていた。
「リアはどこに行きたい?」
アルに聞かれた。
「飛行1、時間1、空間1、魔道具1にはとりあえず行きたいかな。アルは?」
「俺はそれと、錬金術の魔法薬1も行きたい。」
「オッケー。どこから行く?」
「うーん。この地図によると飛行が1番難易度が低いな。」
「うん。そうだね。」
「じゃあ飛行から行こうぜ。」
「うん!連携は?」
「最初は勝手に倒して強くなってきたら、俺が前衛、リアとテンが後衛。」
「いつも通り?アル、魔法は?」
「慣れたら使う。リアのが慣れてるし、最初は、リアが魔法メインな。」
「オッケー。」
「俺、結界使いながら魔法使えるようになりたいんだ。」
「そうなの?わかった。」
「あと、俺らの連携魔法練習しようぜ。」
「私がテンとしてるみたいな?」
あれは、完全に私のオリジナルだ。お母さんの複合魔法を2人で分けて使っている。
「おう。洗礼受けたら教えて。」
「いいよ。楽しみだね。」
「うん。早く明日にならないかな。」
明日、アルは早いので、いろいろ決めたところでお風呂に入って寝ることにした。
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