第28話

「明日、レオンのお迎えがくるわ。」


 晩御飯を食べてると、お母さんが言った。今日の夕飯はアルも一緒だ。


「もう、帰っても大丈夫なの?」

「ええ。昨日、全ての指示を出していたレオンの叔父さんとその仲間は逮捕されて王都に送られたわ。昨日の襲撃者たちは焦ったその人たちが依頼した人だったみたい。」

「そうなの。レオンが安全ならよかった。」

「明日の体調を見て、行けそうだったら学校に挨拶に行くことになったわ。」

「そっか。」


 いなくなると最初からわかっていたけど、いざ、そうなるとちょっと寂しいな。


「おばさん、レオンは話せるかな?」

「ええ。あとで話に行ってあげたら?」

「うん。」




 食後、私たちはレオンが寝ている部屋に行った。

「レオンー、大丈夫??」「きゃん!」

「うん。」


 レオンはもう体を起こしていて本を読んでいた。前もこんなことあったな。


「明日、帰るんだってな。」

 アルが言った。


「うん。」

「安全なのか?」

「犯人は捕まったらしいし、僕は次期領主を辞退しようと思ってる。」

「どうして?」

 わたしが訪ねる。


「弟が継いだ方が平和だと思うんだ。僕も別になりたいわけじゃなかったし。」

「いいのか?」

「うん。他にやりたいこと見つかったんだ。」

「何するの?」

「冒険者になって、本当の父上と兄弟を探そうと思ってる。」

「兄弟?」

「うん。いるらしいんだ。」

「そうなんだ。」

「僕と同じ金髪らしいんだけど……」

 と言って、レオンはアルをじっと見つめる。


「俺じゃねーぞ。」

「そうだね。とりあえずどこかにいるはずなんだ。」

「ふぅん。まあ、頑張れよ。」

「何年か経って、君たちもやりたいことが見つからなかったら一緒に旅に出ないか?」

「そうだな。考えとくよ。」

「ふふ。よろしく。」


「そういえば、どうして髪の毛の色を変えているの?」

「目立つから?」

「リアの髪の毛なんてキランキランだからな。」

「言い方。」

「え?それだけ?」

「うーん。私たちもあんまり知らないんだよね。旅してる時は元の色のまんまだったんだけど、ここに住むことになってから、染めることになって。」

「へえ。なんか秘密がありそうだね。」

「多分な。何かで元の色になったらすぐ隠せって言われてるし。」

「やっぱり僕の兄弟じゃ…」

「ちげぇよ。」

「アルは小さい時からずっと一緒だよ?」

「そうそう。お前の兄弟ならなんでこいつといるんだよ。」

「リアも何か秘密があるとか?」

「え?ないはずだよ?わたし普通の11歳…」

「そういうことにしといてあげるよ。」


「そろそろ寝なさい。」

 お母さんがドアを開けて入ってきた。

 じゃあまた明日とその日はもう寝ることにした。



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