第27話

「アル!」

 知らせを聞いたおじさんが馬を走らせて来ていた。


「大丈夫か?怪我は?」

「どこもないよ。リアとテンが頑張って防いでくれて、レンがぶっ倒して終わりだよ。」

「よかった。リア、ありがとう。リアも怪我はないか?」


 途中で疲れて、レンの上に乗っているわたしにおじさんが顔を向けた。


「うん。」


「ウィリアム、ちょっと」


 お母さんがおじさんを呼んだ。

 髪の毛の話かな。ここに住む時に色を変えたんだよね。なんで変えないといけないのかわからなかったけど、なんか、お母さんもお父さんも真剣だったんだよね。


「ちょっと行ってくる。ギルバート、後で来てくれ。」

「ああ。レオンを寝かせたら行くよ。」


 おじさんは、警備隊の詰所に行くようだ。お父さんは客間にレオンを寝かせると出かけた。


「レン、家にいるか?」

「ウォン!」


 レンはいる!と返事をするとわたしの方に来て体をすりつける。


「あとは任せておいたら大丈夫よ。」

「うん。」

「美味しいものでも食べましょう。甘いものでも食べたら元気出るわよ。」


 私たちは、リビングでゆっくりすることにした。おやつを食べた後、絨毯の上でゴロゴロしていたらいつの間にか寝ていたようだ。


 ガチャ


 テンとレンに挟まれた状態で目が覚める。もふもふ天国だ。

 アルはレンの向こうで寝ている。


「おかえりなさい。」

 お母さんの声が聞こえる。


「子どもたちは?」

 お父さん1人のようだ。


「寝ているわ。襲撃者は?」

「タルタロス送りだ。」

「そう。なら安心ね。」

「ああ。」


 お父さんがリビングに入ってきた。お母さんはレオンの様子を見に行ったようだ。


「リア、起きたのか?」

「うん。」

「気分は?どこか気持ち悪くないか?」

「大丈夫。」

「そうか。今日はよく頑張ったな。」


 お父さんがわたしの頭を撫でる。


「うん。テンがすごい頑張ってくれたよ。」

 レンが起きて、わたしの顔を舐める。テンもわたしの膝の上に乗って体をすり寄せてくる。


「そうか。テンもよく頑張った。」

「きゃん!」

 当然!リアは僕が守るんだ。って言っている。

 お父さんがテンの頭も撫でている。


「ん。」

「悪い、アル、起こしたか?」

「ううん。」

「アルもよく頑張った。」

「リアとテンの力だよ。」

「アルがいなかったら弓矢でやられてたよ?」

「そっか。」

「うん。」


「2人ともよく頑張ったよ。自慢の子どもたちだ。」


 お父さんは私たち2人を抱きしめた。ちょっと照れくさいけど、安心する。


「さあ、ご飯までのんびりしてなさい。テンのご飯は今日はお父さんが用意してもいいかな?」

「きゃん!」

 いいよ!とテンが答える。


 お母さんが部屋に戻ってきた。


「お母さん、レオンは?」

「まだ、眠ってるわ。怪我は治療したから大丈夫よ。」

「よかった。」

「さあ、しばらくのんびりしてなさい。」

「うん。」


 私たちはふたたびのんびりすることにした。



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